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【4】 紙のあるネイティブスケープ Chapter four - the "Nativescapes" with paper

【第四回】紙のあるネイティブスケープ展
ららぽーと福岡: 2022年7月13日(水)~7月25日(月)※会期終了
旧寺崎邸   : 2022年7月30日(土)~8月8日(月)※会期終了

「紙のこと、知っていますか?」

日常の様々なシーンで使われている「紙」。
紙がもし私たちの身の回りになかったら、手紙を書くこと、新聞や雑誌を読むこと、さらにはIT技術の発展もなく、今とは違う言葉の伝達方法だったかもしれません。

そもそも「紙」は植物から作られており、その木から繊維を取り出して和紙も洋紙も作られます。その手法を一番初めに発見し、作り出した人たちがいなければ、私たちは「紙」という存在を知らずに生活していたはずです。

日本に仏教が伝来し、仏教の経典を書写する写経に「紙」が用いられることからはじまり、その後、平安時代は文学とともに発展し、書きやすく美しい紙が求められるようになります。

「書く」だけのものから、障子や襖、うちわに行灯など「日々の暮らしの必需品」や張り子の玩具、花火といった「娯楽品」まで多様な進化を遂げていきます。

今盛んに行われているリサイクルも、実は平安時代から人びとの生活の中に浸透していた工夫や知恵だったようです。また、お祭りや年中行事で使う灯籠や提灯をはじめ、地域やその文化との相互関係においても「紙」は、切っても切り離せない存在だったようです。

「紙のあるネイティブスケープ展」では、福岡の「八女和紙」、佐賀の「名尾和紙」、福井の「越前和紙」を取り上げて和紙の地域性や特色その歴史をはじめ、紙そのものの成り立ち、あまり知られていない「紙」の機能性や可能性などを調べ、「紙のNATIVESCAPEとは何か?」を探していこうと思います。

八女和紙が使われている商品、例えば山鹿灯籠の技術で作られた「インテリアモビール」や古くから伝わる「来民渋うちわ」、名尾和紙が使われている「便箋や封筒」や越前和紙で作られた石のように見える「紙箱」などがご覧いただけます。

 

◯Nativescape (ネイティブスケープ)とは
「ネイティブ(その土地固有の)」と「ランドスケープ(風景)」を足した造語。
うなぎの寝床では、地域固有の文化と物語(ネイティブ)を重んじながら、未来へとつないでいく人々がいる風景(ランドスケープ)をネイティブスケープと定義しました。

◯企画展の開催情報はこちら

 

– 紙のあるネイティブスケープ –

【1】「和紙」はどこでつくられる?

【2】 紙の機能性、紙の可能性

 

 

− 研究後記 −

■ 企画展開催時の様子

ららぽーと福岡店
2022年7月13日(水)~7月25日(月)

 

旧寺崎邸
2022年7月30日(土)~8月8日(月)

 

■ 企画展を振り返って

「紙のあるネイティブスケープ展」を終えて、研究員が感じたこと、学んだこと、今後に活かしたいことなどをまとめてみました。

研究員コメントより:

・伝統工芸館からお借りした映像や道具、また原材料の展示で、いままでテキストでしか知らなかった紙漉きについてのあらたに理解を深められたし、紙、和紙にまつわる用途の多様さをあらためて知り、理解することへとつながった。

・装丁に使われる紙から書籍を紹介するという新しい切り口での紹介によって、1冊に使われる紙の種類の多さ、ナナロク社さんの取り組みに対する興味関心などを持つことができたように思う。

・企画展と店内でワークショップをひらくこと、研究員が(つくりてのところで)現地研修を行うことなど、今後さらに新しい企画展内容を実現していきたい。

・ほかの企画展と同じくらいの長さの会期であれば、もう少し展示を通して自身への学を深める機会にできたのではないか。

 

■ 総括

主に和紙をメインのテーマとして企画が進んでいった「紙のあるネイティブスケープ展」は、八女伝統工芸館の協力のもと、手すき和紙を作る工程を詳細に見ていくことから、「紙、和紙」についてのネイティブスケープを紐解いていきました。

手すき和紙製造の際に用いる簀桁(すけた)という道具や和紙を作る際の原料となる「楮(こうぞ)」「三椏(みつまた)」「雁皮(がんぴ)」「梶(かじ)」など、和紙にまつわる貴重なものを展示することで、実際に見てふれることもできました。さらに和紙の地域性に特化し、福岡県八女市をはじめ福井県越前市、佐賀県佐賀市の名尾地区など、手すき和紙の産地で作られた和紙の特徴や製品を紹介しながら、和紙についての情報や知識を深めていく機会となりました。産地の土地性を見ていくと、産地の近くには必ず「川」の存在があること、そして、その土地に自生する植物を用いて紙づくりがされていたという気づきもありました。

手作業で行われてきた紙づくりの伝統や長きにわたる「紙」の歴史に触れることで、今私たちが毎日の生活において何らかの形で手にしている「紙」に対して、興味関心がじわじわと広がっていくように感じています。

また、紙の機能性、可能性などの点において、日本独自の生活や文化の中でその必要性に応じて改良を重ね、紙自体の機能性を向上させ続けてきたこと。そして、利便性を高めるための工夫を講じることで紙の秘めた可能性を導き出してきたことについての学びへとも結びつきました。過去の歴史を遡ると、文化を記録していくために使われてきた紙。家の中を暮らしやすく、生活に灯りを取り入れるためにも使われてきた紙。水や火、重さなどへの耐久性も高くなってきた紙。リサイクルを繰り返して使い続けられている紙。

私たちの日常生活において、古くから紙の存在というのは、地域やその文化との相互関係において、切っても切り離せない存在であったことは間違いないように思います。

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