思い、巡らし、行動す 坂田織物 / もんぺ博覧会2026

うなぎの寝床が久留米絣と関わりはじめて10年以上が経ちました。
その間に良いことも、そうでないことも様々なことが起こり、変化がありました。ただ、変わらないのは、織元も私たちもみな、久留米絣を伝えたい、久留米絣を繋げていきたいと日々模索し、葛藤し、動こうとしていることです。久留米絣に関わるそれぞれが「今」考えていることや取り組んでいることを記してみたいと思います。

「伝統工芸」という言葉には、功罪がある

「伝統工芸」という言葉には、功罪がある。代々続いてきたという時間の積み重ねの価値が伝わる反面、その過去に受け手も作り手も無意識に縛られる。もちろん制約や縛りは創造につながることも多くあるし、歴史には無限のヒントがある。そういう意味でも伝統に「価値」があるのは間違いないが、同時にその価値に甘んじて、更新を止め未来を見ることを怠ってしまう落とし穴も存在する。

この10年余り、久留米絣という伝統的な織物産地と関わり、移り変わりに間近で立ち会うことができたのは、本当に幸運だったと思う。たった10年という短い間にも、未来あるキーマンが亡くなったり、何件も織元が廃業されたりしながらも、世代交代が進み、新しい取り組みも次々に生まれてきた。一進一退に思えるときもあるけれど、10年前には有り得なかった連帯や取り組みが産地内に広がっているのを見ると、着実に前には進んでいるのを実感する。

 

「絣を身近にする」と掲げるミッション

坂田織物はそんな久留米絣産地の更新を象徴している織元の一つだ。「絣を身近にする」と掲げるミッションでは、あえて久留米絣と限定していない。久留米絣という産地以前に、そもそも絣(かすり)=Ikatという技術が、あまりにも知られていなさすぎるという危機感を持っているからだ。
生産の主である、シャトル織機による機械織り・化学染料による染めだけにとどまらず、代表の坂田和夫さん自ら重要無形文化財の技術保持者の修行もされ、伝統的な手括り・藍染・手織りの技術も継承しているのは、絣を伝えなければという強い信念があるからこそだ。

そんな絣の技術を伝えるべく、UNAラボラトリーズで一緒に企画させてもらった久留米絣の弟子入りプログラムには、この春だけで4カ国6名の方が参加してくれた。怒涛の受け入れの中、括り糸を使ったレジデンス制作に発展したケースもあり、絣という技術を起点に多様な文化背景をもつ参加者とのディープな交流も生まれた。坂田さんが「絣のテーマパークにしたい」と数年前に語られていた構想が、目の前で具現化されているのを見るのは、とても感慨深いものがあった。

久留米絣産地がこの時代まで残ってこられた一因には、それぞれの織元の強烈な個性と多様な生存戦略があってこそだと思う。その個性はそれぞれの生地にも現場にもあらわれていて、何度訪れても、味わい深いし新しい発見が必ずある。だから久留米絣産地に来たら複数件訪問するのが絶対おすすめだ。

藍染やストール作りなどの体験プログラムはもちろん、新たにUNAラボラトリーズでリリースした「久留米絣オープンファクトリー」の工房見学では、各織元さんが本当に丁寧に案内してくださるので、おすすめ!ぜひ現場に足を運んでみてほしい。

UNAラボラトリーズ 渡邊

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