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リサーチャー
渡邊

【#6】 陶器 – 土が化けたもの – UNA DIGTIONARY vol.6

【化ける】
1. 本来の姿、形を変えて別のものになる
2. 素性を隠して別人のさまをよそおう
3. 全く別のものにかわる

陶磁器と呼ばれる「やきもの」を「やきものはなにもの?」ということで、うなDIGTIONARY #2では「磁器」について、原料本来の姿・形や性質を変えて別の物になっているものを「化けたもの/化けもの」と呼び、「磁器 – 石が化けたもの –」をご紹介しました。今回のうなDIGTIONARYでは「陶器 – 土が化けたもの -」をご紹介したいと思います。

うなぎの寝床は、多くが九州のつくりてのものですが、少しずつ他の地域の取り扱いも増えています。九州含め全国の、産地として地域の特徴を紹介できるものや、個人のつくりてのもの、技術を紹介できるもの、材料の違いや、生産方法の違いなど。また、それによる値段の違いまで。このように色々な特徴を持ったものを集めることで、より色々な幅が見えてきます。「もの」を「選択」するときに参考にできるようなことや情報をお伝えしていければと思っています。

目次
◯ 陶器の正体とは?
◯ 土地との繋がり
◯ 土が陶器に化けるまで
・形を作る「成形」
・陶器の装飾
・焼く「焼成」
◯ 終わりに
◯ 陶器のお手入れ
◯ つくりていろいろ (陶器の商品一覧はこちらから)

陶器の正体とは?

前回紹介した「やきもの」の分類「土器・陶器・炻器(せっき)・磁器」。その中で磁器は「石もの」と呼ばれ、ガラス質を含む陶石「石」を主な原料として作られていました。今回紹介する陶器の主な原料は「土」です。「土もの」と呼ばれ、土が化けて陶器になります。土の中でも、地中の粘土層から掘り出される「陶土」と呼ばれる粘土から作られます。この陶土に水をまぜてこね、形を作って焼き上げます。陶土は磁土と違って様々な有機物を含んだ「有色」のものが多く、焼き上がった時の色は元の土の色味をもっています。磁器に比べるとぽってりとした厚みがあるものも多く、ほぼ白色の磁器とは違って素地の色味も茶系やグレー系など使われている陶土によって様々な種類があります。身の周りで採れる材料の土を水と火を使って化けたさせたものが「陶器」の正体です。

「土」というごく身近なものを原料に、これもまた身近な「水」と「火」を使って作られる陶器は、昔も今もそれが変わることなく作り続けられています。日本のやきものの歴史は古く、縄文時代の縄文土器がはじまりとされています。古墳時代の頃には朝鮮からろくろの技術と窯が伝わり、ろくろの技術で様々なかたちのものが作られるようになり、窯が伝わったことで1000度以上の高温で焼くことができるようになりました。野焼きのようにして作られていた土器に比べると、硬くて水漏れしにくく壊れにくいやきものが焼けるようになり、ここが転換点となって陶器の技術は発展していきます。戦国時代になると茶の湯の流行もあり、陶器つくりは更に盛り上がっていきます。戦国時代以降は朝鮮から来た陶工の技術によって陶器生産は発展していきますが、それ以前の中世(鎌倉時代や室町時代の頃)から現在まで続いている代表的な6つの陶器の産地もあり「日本六古窯」と呼ばれるものもあります。陶器は、江戸時代に日本で初めて有田で焼かれたとされている磁器よりも更に古くから作られてきました。

土地との繋がり

土を原料に作られる陶器ですが、土は採れる場所ごとに含まれる成分や成分量に違いがあります。見た目にも褐色のものや灰色がかったもの、ベージュっぽいものなどの色味があり、また、低い温度でも焼き締まる土や、高温にも耐えられる土、粘りがあり焼くときに変形しにくい土、薄く作ってもへたれない強い土などもあります。白い土が手に入りづらい時代や地域においては、磁器の白さを目指して作られた陶器もあります。白化粧(刷毛目や粉引など)と呼ばれる陶器の技法がそれにあたりますが、白化粧を施したとしても土台となる陶土の影響が少なからず出るので、それによって地域ならではの白さが特徴となって現れたようです。このように、土の違いがその土地で作られる陶器の個性にもなっていきました。

現代は物流が発達し、様々な場所から材料を運ぶことができますが、物流が発達していない時代は、材料が採れるその場所で物は作られてきました。良い材料の採れる所へ人が動き、そこに住み、作ることで「産地」となっていきました。このようにして産地となっていった場所でつくられたものが、陸だけではなく、川や海を使って運搬され、流通していきました。どんな粘土でもやきものをつくることは可能なようですが、よりやきものに適した粘土が豊富に採れる場所へと人が集まり、窯が開かれ、燃料となる薪を周辺から集め、薪をくべ窯を焚き、その土地で陶器は作られるようになりました。陶器は現在も全国各地で作られていますが、それぞれの土地で採れる粘土や使う材料が違うので、同じ器でも作られるその土地の特徴があらわれるものとなっています。

土が陶器に化けるまで

陶器は土をこねて形を作って焼き上げられます。このシンプルなイメージはなんとなく想像が出来ますが、ではどんなふうに土が形作られ、どのように焼かれるのでしょうか。

◯ 形を作る「成形」
◯ 陶器の装飾
◯ 焼く「焼成」

土が化けて陶器になる、というイメージをなるべくしやすくなるように陶器が作られる様々な工程を大きくこの3つの工程に分けてみていきたいと思います。

– 形を作る「成形」-

陶器の成形をする前に、まずは原料となる粘土を形を作るのに適した状態にする必要があります。

1. 砕いてふるいにかける

2. 不純物を取り除き精製する

3. 脱水

4. 寝かせる

5. 土練り

山から掘り出した土は固まっていて、余分なものも含んでいるのでそのままでは使えません。掘り出された土は細かく砕いてふるいにかけられた後、さらに「水簸(すいひ)」と呼ばれる工程で土の中の不純物を取り除き、粒をそろえます。水に沈む重さの違いを利用して、ふるいにかけた土を水の中に入れてかき混ぜると、軽いゴミは浮いて重い不純物(砂や鉄など)は沈み、粘土はその中間に浮遊します。この水簸の工程は、昔は桶を使い手作業で行われ、その後動力化・機械化されていきました。水簸によって精製された後は、泥状になった土から水を抜きます。昔は天日干しで自然に水分が抜けるのを待つのが主流でした。こちらも動力化・機械化が進み、プレス機を使った脱水が行えるようになりました。また、素焼きの甕に入れて素焼きの吸水性を利用して脱水する方法などもあります。脱水された土は、成形する前に一定期間貯蔵されて寝かされます。期間は数か月から、長い場合は一年近く寝かされます。寝かすことで粘土の中の水分が均一化して適度な粘りも生まれます。寝かされた後は、使う直前に土練りを行います。よく練って粘土の硬さを均一にし、また粘土の中に含まれている空気を抜きます。空気が入っていると、乾燥して焼き上がりにひびが入ってしまったり、割れてしまいます。土練りは手作業や機械を使って行われます。このようにして土を適した状態にすることから陶器作りは始まります。窯や作り手ごと、産地ごとに一貫して土づくりから行っていたり、現在では作業は機械化、分業化され、製土工場で精製された土を手に入れることもできます。

土の準備が整ったら次に成形をします。作るものの形や、用途、土の性質などで用いられる成形技法は変わります。

手びねり・・・粘土を手でこね伸ばしながら形を作ります。昔から使われている技法で、粘土をひも状にしたものや、球状、板状にしたものなどを繋いだり、くり抜いたりして形づくられます。形状に制限が少なく、自由に形作りができる一方で成形に時間がかかり、また、同じ形を作るのは難しい方法です。

ろくろ(轆轤)・・・「ろくろ(轆轤)」と呼ばれる丸く回転する台の中心に粘土を置き、台を回転させながら水を使い手で形をつくる方法。回転する台の上で粘土を押したり潰したり、上方向や外方向に引くなどして、器の形が作られていきます。回転を使って作られる器は円形のもので、棒や手でろくろを回す「手回しろくろ」や足を使って回す「蹴ろくろ」、回転速度を制御できる「電動ろくろ」などがあります。高い技術を必要とする方法です。一定の同じ形のものを作ることは出来ますが、一つ一つが手で成形されるため、ぴったり同じ形のものを作ることは難しいです。同じ形の物でも一つ一つに趣のある器になります。

型打ち・・・型打ち用の型に素地をかぶせたり挟んだりして形を作る方法。いくつかの方法があり、ろくろだけでは作れない、八角や六角の面がある円形の器や、楕円形、四角など不定形の形を作ることができます。例えば、ろくろで大まかな器の形を作った後に、生乾きのまま型打ち用の型の上にかぶせて、手で押さえたりコテを使って押し、器を型に沿った形に成形します。また、叩いたり伸ばしたりして板状にした粘土を、丸めて筒状にしたり、貼り合わせたり、型に押し付けて形を作ったりする「タタラ作り」と呼ばれる方法などがあります。型打ちで使われる型は、昔は木型や素焼きの型が使われていましたが、現在では石膏型が主流となっています。

このような方法で陶器は成形されます。日本で陶器が作られ始めた縄文時代の頃は、手びねりの方法で作られていたのだと思いますが、ろくろが古墳時代頃に伝わってきてから現在に至るまで、ろくろでの成形方法は変わらずやきものつくりの中心として発達しながら続けられてきています。

成形が済むと、焼く工程「焼成」へと入っていきますが、その前に装飾技法について紹介したいと思います。

– 陶器の装飾 –

前回紹介した磁器は、素地の色が基本白いので、白い色をそのまま活かしたり、白を活かして鮮やかな色絵を施すなどして装飾されました。では素地の色が有色である陶器の装飾にはどんなものがあるのでしょうか。

釉薬(ゆうやく)
「釉薬(ゆうやく)」は陶器の大きな特徴の一つです。釉薬とは、器の表面を覆っているガラス質の膜のことで、「うわぐすり」ともよばれ、器の強度を上げたり吸水や汚れを防ぎます。また、配合される成分や火の加減、焼き方や窯の種類によって様々に色の違いや文様の違いがでるため、器の色合いや質感など装飾の役目も担います。陶器は磁器に比べるとガラス質の少ない粘土で作られている為、焼いた後も水分を吸収してしまいます。そのため吸水や汚れを防ぐために必ず釉薬を掛けて焼かれます。素地が有色の陶器に更にそこへ様々な種類の釉薬を掛けて焼くことで装飾を施します。磁器はガラス成分を多く含む陶石で作られているため、焼くと半ガラス化して吸水性はほぼなくなりますが、白い表面に色絵を施すために透明の釉薬が掛けられます。

昔の釉薬は、粘土を水で溶いたものの中に木灰やわら灰を加えて作られ、窯の中で灰や粘土の中に含まれる金属成分が熱との化学反応を起こすことで色がついていました。わらや木など生活の身近なところで手に入るものが使われていました。釉薬の代表的なもののひとつに「灰釉(はいゆう・かいゆう)」があります。草木を燃やした灰と砕いた土石類を混ぜて水で溶いたものです。他にも、磁器にも使われ石灰などを使った「透明釉」や透明釉に銅を加えた「緑釉」、また、鉄分を使う「鉄釉」には「柿釉」「黒釉」「飴釉(あめぐすり)」など様々な釉薬があります。柄や模様のあるものは複数の釉薬を組み合わせるなどして作られています。同じ釉薬でも焼き方や、使う窯の種類によって色の出方が変わります。例えば「酸化焼成」と「還元焼成」の焼き方の違いによる変化です。
酸化焼成・・・燃料が完全燃焼するだけの十分な酸素がある状態で焼かれる焼き方)
還元焼成・・・酸素が足りない状態で燃焼が進む焼き方。不完全燃焼)
透明釉に銅の成分を加えた釉薬をかけた器を酸化焼成で焼くと「緑色」になり、強めの還元焼成で焼くと「赤」になります。また鉄成分の鉄釉は、酸化焼成では「黄色」から「褐色」になり、還元焼成で焼くと「青緑色」になります。このように様々な成分の釉薬や焼き方によって、色や文様をつけるなどの装飾が施されます。


装飾技法
釉薬以外に、絵や模様を描いたり器の表面を掘ったり削るなどして装飾する技法もあります。代表的なものをいくつか紹介します。

・櫛目:竹串や櫛状の道具を使って素地を引っ掻いて筋を刻む技法。素地を直接削ったり、釉薬をかけてから削ったりする
・刷毛目:成形後、ろくろで回転させながら釉薬をつけた刷毛を打ちつけて模様をつける技法
・飛び鉋(とびかんな):成形後、ろくろで回転させながら金属製の鉋をあてて細かな刻みを入れる技法
・打ち掛け:打ち水をするように、釉薬や化粧土を素焼きした器に流しかける技法
(化粧土・・成形に使われた土とは違う質感や色の土)
・イッチン:スポイトや竹筒などで、釉薬や化粧土を絞り出して文様を描く技法。筒描きやポン描きとも言われます。
・三彩:一つの器に2〜4種類の色の釉薬をかける技法
・しのぎ:厚めに成形した器の側面を削って全体を多角形にする技法。面取りとも言われます
・象嵌(ぞうがん):地の素材を半乾きの時に彫って、そこに素地の色と違う色の土や化粧土を埋め込んで模様を作る技法
・掻き落とし:成形後の器に化粧土を掛け、少し乾かした後陶器の表面を削って違う色を出し模様にする技法

これらの装飾は、成形後に施されたり、素焼きした後に施されたりします。

 – 焼く「焼成」 –

土を作り、成形し、装飾を施し、ゆっくりとよく乾燥させた後、素焼きから本焼きへと「焼成」の工程に入ります。器を窯で焼く作業ですが、窯の種類はいくつかあり、種類によって焼き上がりに違いが出てくるそうです。磁器は白い素地を活かし絵付けを施すことも多いため、どちらかというと安定した焼き上がりが求められます。陶器はそもそも使われている土ごとに素地の色も質感も違い、掛けられる釉薬も多種多様です。さらに最後に器の表情を決める焼き上がりの違いは大きな特徴となります。焼き上がりの色や表情、作りたい器、環境、燃料などで、作り手や産地ごとに使われている窯は異なります。窯に使われる燃料は主に、薪・ガス・電気・灯油があります。使用する燃料、温度の上がり具合、釉薬の時に例に上げたような酸素量の違いなど、様々な理由によって、窯の中で起こる化学反応に違いが出て、それが器の色や表情の違いになっていきます。

例えば、薪を燃料とする窯は、燃えた薪が灰になり、その灰が器の上に降りかかって溶け、釉薬のように器の表面の色や模様となります。また、窯の中の位置による温度の違いで器を窯の中のどこに置いたかで焼き上がりに違いがでたり、使う燃料によっての温度の上がり具合や、炎の有無で、違いが出てきます。このように窯の中で器に変化が生じることを「窯変(ようへん)」と呼びます。器を窯入れするときにある程度予測はできますが、実際に窯から出してみないとどんな変化が起こっているか、どんな表情の器になっているのか分からないそうです。また、逆にこういった変化の仕組みを利用して、意図的に変化させることもできる、という何というかとても身近な「土」からできている「陶器」に、こんなに「奥」があるのだと驚くばかりです。

終わりに

磁器に続き、今回は陶器について紹介しました。陶磁器と言われる、陶器と磁器。この2つの違うところ、似ているところ、それぞれの特徴など色々ありました。まずは、ざっくりとでも「やきもの」について知る手がかりのようなものになって、何となく手に取った、好きだなと思う器について、少しでもその奥にあるもの、その手に取ったものがどんな「やきもの」なのかについて、読む前と違った印象や違った見方が付け加えられたらいいなと思います。

2020年12月記

うなぎの寝床とやきもの

現在うなぎの寝床で取り扱っている陶磁器は、約30件ほど。うなぎの寝床は元々九州のものを集めて紹介するところからスタートしたので、現在多くが九州の作り手さんのものですが、全国のものも扱い始め、少しずつ他の地域の取り扱いも増えています。以前のものづくりは物流が発達していないこともあり「産地」と言われる所ばかりでした。良い材料があるところに人が移り住み、そこでものづくりをする。今回紹介する「やきもの」であれば、良い土があるところに窯を開いてそこでものづくりをする。一定の地域に窯が集まることによって、それにまつわる仕事、例えば生地屋や絵付師、型を作る人などが生まれて産地となっていったような、土地と産地に関係性があるものがあります。一方、産地といった大きな流れとは異なり、個人の、作家と呼ばれるような作り手で、より自由な、近年のものづくりの仕方というものもあります。また、日本的な重厚感のある陶器や、朝鮮の流れを汲む染付の磁器。そして西洋のライフスタイルが入ってきた今の生活スタイルや食文化に求められる器や、若い世代の人達も興味を持って手に取って取り入れやすい器もあります。技術的な部分や材料の違い、個人一貫生産、産地分業、社内分業、焼き方など、どんなふうに作られているのか、それぞれの違いが値段の違いにもなってきます。今後はこれから先の材料・資源の問題やエネルギー問題などと「やきもの」というものづくりという視点で開発された素材なども出てきます。

このような色々な特徴をもったものを集めることで、より多様な幅広さが見えてきます。どんなものづくりをしてきて、どんなことを考えて作っているのか。そして自分たちはどんなことを考えて選んで取り入れることができるのかなどの「選択」をする時に参考にできるようなものを紹介していきたいと考えています。モノそのものだけではなく、他の産地や違う土地、違う物に興味をもつ入り口になるようなきっかけを生むことができればと思っています。      キュレーション 春口

陶器と磁器

個人的には暮らしで使う道具なので、毎日のストレスは極力なく、日々が楽しくなるような器が理想だなと思います。うなdigtionaryで2回にわたって取り上げてきた通り、磁器と陶器は性質が違います。同じように扱いたくてもそれはできません。使う人の性格と器の相性は当然あると思います。料理得意・苦手、お茶派・ジュース派、細かいこと気にしない・する、掃除得意・苦手、きっちりさん・うっかりさん、凝り性・飽き性、手洗い派・食洗機派、口当たりは厚口好き・薄口好き、和風・洋風、新しいもの好き・アンティーク好き、ガスコンロ派・IH派、ミニマル好き・装飾好きなどなど。色んな方の琴線に触れる相方が見つかるように少しずつ特徴の違う器を揃えていきたいと思います。飾り眺めるのも良いですが、道具なので使って下さい。使って使ってたまには割らないと新しい器が買えないですし、作り手も儲からないと続けられないので気に入ったものはどんどん使いましょう(笑)。割れたら断面を見て土感を味わってみるのも良いかもしれません。金継ぎという割れ欠けを治す日本の古来からの方法もありますのでご安心を。
ポテチとコーラに合うお気に入りの器をスタンバイさせて、Netflixで映画鑑賞なんて休日はいかがでしょうか。
おしまい                                            春口

【陶器のつくり手いろいろ】

陶ぼう空(府川和泉) / 佐賀県唐津市
https://unagino-nedoko.net/product/tax_maker/fukawa/
1. 作為と自然に委ねた作陶 自然との対話から生まれる器
2. つくりて8分 つかいて2分 使い方によって変化する景色を楽しむ器
3. 唐津の土を使い、釉薬も自らつくる
4. 古唐津や李朝を手本に唐津の技法 鉄絵、朝鮮、斑、黒、三島など
成形:ろくろ / たたら / 手びねり
焼成:登り窯(薪)

鬼丸豊喜窯(鬼丸豊喜 希峰) / 福岡県東峰村
https://unagino-nedoko.net/product/tax_maker/onimaru/
1. 器つくりの職人としてひたむきに作陶
2. 古典にならった奇をてらわない仕事を志す
3. 小石原焼の技法 飛び鉋、刷毛目、イッチンなど定番を定番としてつくっている
4. 取扱いしやすい形状と適度な重さ
成形:ろくろ
焼成:ガス窯(稀に薪窯)

瑞穂窯(福田るい) / 熊本県荒尾市
https://unagino-nedoko.net/product/tax_maker/mizuho/
1. わら灰やもみ灰、土灰を使った、青・白・黄の小代焼らしい色
2. 青を進化させたオリジナルの藍色
3. 印花、しのぎなどを使った、和洋どちらにもはまるバランスの良い器
成形:ろくろ / 板物(型打ち)
焼成:灯油窯 / 薪窯


まゆみ窯(眞弓亮司) / 熊本県和水町
https://unagino-nedoko.net/product/tax_maker/mayumi/
1. 確かなろくろ技術で作られる、骨格のしっかりした安定感のある器
2. 姿形の印象と手に取った重量感が合致して扱いやすい器
3. 加飾が少なく造形を活かした呉須、黄、糠白(あめしろ)や象嵌(ぞうがん)、しのぎ、刷毛目など
4. 小代焼ふもと窯で修行
成形:ろくろ / 型打ち
焼成:ガス窯

ふもと窯(井上尚之) / 熊本県荒尾市
https://unagino-nedoko.net/product/tax_maker/fumoto/
1. 地元の土と釉薬で江戸時代から変わらない作り方で安定した器
2. 小代焼らしい青白く白濁した器と土色を生かしたスリップウェア
3. 流し掛けや化粧土で装飾(スリップウェアやぽん描き、いっちんなど)
4. 釉薬の二重掛けによって得られる独特の白い肌を持つ器
成形:ろくろ
焼成:登り窯

大村剛 / 福岡県うきは市
https://unagino-nedoko.net/product/tax_maker/omura/
1. 薄造りで金属のような質感と造りマットな釉薬
2. 洗練された造形、日常に使いやすいサイズ、形、重さのバランス
3. 表現としての器と用のバランスの取れた器
4. 古道具のような朽ちた美しさが根底に
成形:ろくろ
焼成:ガス窯

龍門司焼企業組合 / 鹿児島県姶良市
https://unagino-nedoko.net/product/tax_maker/ryumonji/
1. 窯場から半径4キロ以内から陶土、化粧土、釉薬の灰などすべての原料を調達
2. 企業組合という形態で運営
3. 三彩、黒釉青流し、飴釉や蛇蝎(だかつ)、鮫肌など独特の表情になる天然釉や流し掛けなどの多彩なしごと
成形:ろくろ
焼成:登り窯 / ガス窯

風見窯(杉田貴亮) / 福岡県八女市
https://unagino-nedoko.net/maker/2693/
1. 八女の立花町周辺から粘土や釉薬の原料などを調達
2. その土地の資源を研究しながら、古典を手本にした独自の器づくり
3. 小代焼ふもと窯 井上尚之師に師事
成形:ろくろ / 型打ち
焼成:ガス窯 / 登り窯

育陶園 / 沖縄県那覇市
https://unagino-nedoko.net/product/tax_maker/ikutoen/
1. 壺屋焼窯元
2. 会社組織として運営 チームで作陶
3. 日用の器と獅子づくりなど、それぞれに担当する職人がいる
4. 沖縄の土と釉薬を原料に、線彫やいっちん、赤絵などの技法を駆使
5. 素材・技法を継承しつつ、伝統に縛られない新しい器つくりにも取り組む
成形:ろくろ / 型抜き(シーサー)
焼成:ガス窯 / 灯油窯

源太窯(山本源太) / 福岡県八女市
https://unagino-nedoko.net/maker/2635/
1. 久留米藩の御用窯で80年途絶えていた茶器の産地「星野焼」を再興
2. 茶を注ぐと黄金色に光る夕日焼を復元
3. 八女市星野村の土着的な器を作っている
4. 星野村の土を使い、釉薬の材料も自ら調達
5. 伊勢と小石原で修業
成形:ろくろ / 手びねり
焼成:登り窯 / ガス窯(近年はガス窯がメイン)

俊彦窯 / 兵庫県丹波篠山市
https://unagino-nedoko.net/maker/2780/
1. 中世(平安末期から鎌倉初期あたり)から続く日本六古窯のひとつ「丹羽立杭焼」の地域で作陶
2. 丹羽の地元で取れるものから素材(土や釉薬)をつくる
3. 糠釉(ぬかゆう)や黒釉、縞や面取りで加飾した日用雑器
4. 生田和孝氏に師事
成形:ろくろ / 型打ち
焼成:薪(丹羽・登り窯・穴窯) / ガス窯 など

栗田荘平 / 兵庫県丹波篠山市
https://unagino-nedoko.net/maker/2781/
1. 工房周辺の土地から、陶土や釉薬(木灰・鉄・銅)などの原料のほとんどを賄う
2. 昔からの作り方と向き合いながら、自然な成りを大事に作陶
3. 篠山 柴田雅章氏に師事
成形:ろくろ
焼成:登り窯

 

陶器のお手入れ

陶器は磁器に比べると吸水性が高く、食材や液体の影響を受けやすく、また強度も弱くなります。磁器に比べると少し手がかかるかもしれませんが、その分長く使い込むことで味のある風合いになっていったりと、変化を楽しめるやきものでもあります。陶器の基本的なお手入れについて簡単に紹介し、お手持ちの器やこれから手元に置きたい器を長く使っていただけるように。

使い始め
吸水性のある陶器は、汚れを着きにくくしたり、水が染み出るのを防ぐために、使い初めに「目止め」が必要な場合があります。でんぷん質で器の隙間をコーティングして、粗い土の目や貫入をふさぎます。使い込むうちに馴染んでいき、味わいのある器に変化する様子が陶器の楽しみ方の一つではありますが、少しでも最初の状態を維持したい場合なども「目止め」をしておくといいかもしれません。面倒と感じられる場合は、米のとぎ汁や水にしばらくつけておくだけでも大丈夫な場合もあるそうです。
※釉薬や土の種類によっては、目止めが不要なものもあります。また、自身の器との付き合い方で目止めをしたり、しなかったりは個人差もあるようです。

目止め・・・鍋に米のとぎ汁か、水に片栗粉か小麦粉(大さじ1~2杯位)を溶かし、器をその中に入れ弱火で沸騰させます。沸騰したら、火を止めて冷まします。冷めたら、器にぬめりがついているので、ぬめりを落とし良く乾かします。
※土鍋は目止めをしてからの使用が推奨されます。土鍋に向く耐熱性のある土の性質上、隙間ができるので使いはじめは水が漏れてくる可能性があります。目止めがされていないと沸騰しにくくなることもあるようです。土鍋は上記の方法以外に、おかゆを炊いて炊いて目止めする方法もあります。

日々の使い方
・器の色の変化や、表情の変化が少ない方がいい場合は、毎回使用する前に水にサッとくぐらせて拭いてから使用したり、5分位水にひたしてから使用したりすると、匂いや汚れがつきにくくなります。
・匂いの強い食材や料理に長い時間使用すると、匂いや色がうつってとれにくくなることがあります。
・土鍋は濡れたまま火にかけたり、使用後鍋が熱いうちに水を入れたり、水につけたりすると、急な温度変化で割れてしまうことがあります。冷ましてから、洗うなど気を付けたほうがいいでしょう。

使い終わり
・使用後は、なるべく早く洗いしっかりと乾かします。
・やわらかいスポンジを使って洗い、食器用洗剤は使用しても大丈夫ですが、すすぎをしっかりと。
・陶器は吸水性が高いので、長時間のつけおき洗いはさけましょう。カビやシミの原因になってしまいます。

保管・収納
・水分が残ったまま食器棚などにしまうと、カビの原因や匂い付きの原因になるので、しっかり乾かしてからしまいます。
・土鍋など、シーズンが終わり長期間しまうときは、風通しのよい場所で天日干しをしてからしまうといいそうです。

よくある質問:Q 電子レンジは使えるの?
温め程度であれば使用可能なものもありますが、大事な陶器の器の使用は控えたほうがいいようです。素地が膨張するなどして徐々に器をいためてしまう可能性があります。急な温度変化にも弱く割れてしまうこともあります。金彩や銀彩などの色絵が施されているものは使用不可です。

よくある質問:Q 食洗器は使えるの?
食洗機で洗うことはできますが、陶器は磁器よりも強度が弱いので、食洗器の中で器同士がカチカチとぶつかって破損の原因になってしまう可能性があります。また、陶器は吸水性が高いので水量の多い食洗器内で器に水分が吸収されてしまい、シミや匂いの原因となる可能性もあります。大事な器には使用は控え、手洗いがおすすめです。

【うなDIGTIONARY】とは

うなぎの寝床が掘って掘って(調べて聞いて)得た情報や知識を、うなぎの寝床の視点を通しつつ記録していくものです。日々活動していく中で、商品やつくり手、産地、素材について調べたり、聞いたりすることで情報を得ていきます。ある情報を知ると、そこから別の情報を知るきっかけを発見したり、疑問が浮かんできたりします。そして、また調べて情報や知識を得ることができます。リサーチして得た情報は次へ次へと繋がっていきます。今後も深く深く掘り続けていきたいと思うので、手にした情報は随時更新していきたいと思います。この「うなDIGTIONARY」を通して、何かを掘り始めるきっかけを手にしてもらうことができれば幸いです。

* DIGTIONARYは、DIG(掘る)とDICTIONARY(辞書)を掛け合わせた造語です。

 

 

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