アクロス福岡店にて8月21日(水)～9月9日(月)まで開催します！

食べたり編んだり削ったり 竹の実力恐るべし 

竹は古来より日本人にとって身近な植物です。暮らしの道具や仕事の道具、建材の素材や楽器、武具に至るまで、暮らしに必要なあらゆるものが竹で作られていました。そして竹は食べられる上に紙にも燃料にもなります。用途に合わせて幅広く使える柔軟性、生育の早さ、伐採から加工まで、少ない道具で一人で全ての工程が完結できるところも竹が重宝された理由です。気づけば身の回りのあれもこれも竹。竹の実力恐るべしです。 

竹細工ほどシンプルで奥深い工芸品はありません。そこにあるのは竹という素材とつくりての技量のみ。実用性や耐久性が追及された原始的で素朴な美しさがあります。それはわたしたちの暮らしにすっと馴染んで、暮らしも心も豊かにしてくれます。ものの魅力は機能や外形だけでなく、そのものの背景、歴史や土地性、つくりてにもあると思います。竹細工の歴史は縄文時代にまで遡ります。長い間わたしたちの暮らしに寄り添ってきた工芸品であるがゆえに、その背景もまた奥が深く魅力的です。ものを通してその背景にもまた思いをめぐらせていただければと思います。 

期間中アクロス福岡店では、竹細工の技の更新に取り組み続けるてんごや（福岡県八女市）の竹編みのスツールをはじめ、竹の伐り出しも自ら行う石田淳さん、長岡由記さん（いずれも福岡県八女市）の丈夫で実用的な竹細工、竹にまつわる仕事を持続可能なものにするべく循環を大切にしながら実直に竹の箸をつくり続けるヤマチク（熊本県南関町）の箸など、竹製品を多数ご紹介します。ぜひ店頭で竹の実力とその奥深い魅力を体感いただければと思います。 

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「竹と暮らす」特集 

会期 ： 8月21日(水) ～ 9月9日(月)
場所 ： うなぎの寝床　アクロス福岡店
住所 ： 福岡市中央区天神１丁目１‐１　１F 匠ギャラリー内 

日本の暮らしを支えてきた竹 

タケはイネ科タケ亜科に属する常緑性の多年生植物で、日本に生育している代表的な種は、マダケ、モウソウチク、ハチクの3種類です。毎年地下茎の節にある芽からタケノコが生じ、半年もすると立派な若竹に成長します。一般に春の味覚の王様といわれるタケノコはモウソウチク種です。樹木で幹に当たる部分は稈（かん）と呼ばれ、節があり中は空洞になっています。竹材には3～5年目の竹が最良です。伐り出してきた自然のままの竹を用いる竹細工は「青物」、竹の油を抜いて白っぽくした竹を用いるものは「白物」とよばれます。旺盛な成長力と繁殖力をもち、しなやかで丈夫、かつ裂きやすいといった加工の適正もあり、竹は古くから道具づくりの主要材料として日本の暮らしを支えてきました。 

竹のこれまでとこれから 

1967年以降、マダケの一斉開花による枯死のため、竹の国内供給量が激減します。結果、輸入量が増加、プラスチック製品の普及も相まって、国内の竹材生産は著しく減少しました。それに伴い、管理を放棄された放置竹林が増加し、竹が腐って倒れたり、周囲に侵入して植生の衰退を招くなど、深刻な竹害が社会問題になっています。生産者の高齢化、後継者不足も深刻な問題です。そんな中、従来の用途にとらわれない新たな竹材の活用も始まっています。国産竹100％を原料とした竹の紙の製造や竹を原料とした次世代素材セルロースナノファイバー（CNF）の開発、竹をバイオマス発電の燃料に活用する取り組みなど、竹の可能性をさらに広げる研究開発が進められています。また、竹産業全体を正しく循環させ、持続可能なものにしていくための取り組みを始めている企業も増えています。良質な材料を適正価格で買い取ることで、生産者が確保・育成され、放置竹林による竹害も解消し、良質な竹材が安定的に供給されるという正しい循環を生み出す取り組みです。そしてその循環にはわたしたちつかいてが欠かせません。つかうことでこそ、そのものの背景が見えてきます。みて、さわって、つかって、竹のこれまでとこれからに思いをめぐらせていただければと思います。 

地域文化商社として、
福岡の工芸の「これまで」と「今」を知る そして「これから」の風景を考える 

うなぎの寝床アクロス福岡店では、福岡の工芸品を中心に多種多様なものづくりを扱うことを通して、現代の暮らしに、また未来へとつながっていくものづくりのあり方を紹介しています。 

何気なく手に取ったものが伝統的工芸品だった、気がついたら民芸品を使っていたというように、ものづくりが日々の暮らしに寄り添うものであってほしい、そして未来につながっていくものであってほしい。そういった思いを届けるべく、季節に合わせた特集を織り交ぜながら、福岡の工芸品を紹介しています。 福岡の工芸品を身近に感じていただき、日々の暮らしと工芸をつなぐきっかけを提案できればと思います。