【つくりて訪問記】宝島染工・後編|ブレない強みの裏側。保ち続ける「精度の高さ」のヒミツ

うなぎの寝床では、MONPEの型を用いながら、宝島染工のさまざまな染色技法を施したMONPEを制作し、実際に穿き比べていただくことで、その違いや魅力を伝えてきました。

この春、新たに登場した、宝島染工の現代風MONPE「THORN」
染めの技法による表情の違いを見比べながら、実際に穿いて体感してもらえるよう、宝島染工とともに制作した一着です。

前編では染めの作業工程をご紹介しましたが、この後編では、中量生産を行う製造工程や、新作の制作現場についてお話を伺いました。

 

「小さいことを足し算して、柄にしていく」製造工程

下準備は、大籠さんだけでなくスタッフもできる分業制。スピードも大事だけれど、最後まで同じリズムで作業を続けることも大事。だからスピード向上を求めている訳ではないそうです。たたむ方向や幅のサイズを何センチ程度と決め、もんぺ1枚あたりのたたむ時間も算出しています。どうしても時間がかかってしまう場合は、どこかに無理が生じていると判断し、工程を見直して再度時間を算出するという緻密さです。

中量生産体制を基本としながらも、手仕事ならではの宝島染工の感性が、細部にまで感じられるものづくり。
作業工程の一部では、効率を高めるために、誰が担当しても同じような仕上がりになり、失敗が生まれにくい工夫を重ねることで、持続可能な生産体制を実現しています。ただその一方で、手仕事ならではの機微が現れるところは、やはり大籠さん自身が進めたほうがよいと思われている部分もあるそうです。

染め作業との向き合い方には、宝島染工ならではのひとつ芯の通った姿勢があり、染め工程に対する飽くなき挑戦もまた個性的です。作業量と各工程にかかる時間配分を緻密に数値化して計画を立て、都度見直しながら、より良い流れへと微調整していくこと。

「どうすれば誰もが無理なく、製造作業を進めていけるのか」

日々の作業工程を積み重ねていく中で、一定の生産数と商品精度を担保しながらも、いかにして「宝島染工らしい商品」を生み出していくのか。その問いは、大籠さんの頭の中で、いく度もいく度も練り直され、整え磨かれ続けているようでした。

 

染め上がった生地、広げたときの高揚感

「細やかで地道な作業の連続なんだな」と感慨深く思う一方で、現場を見ているこちらまで思わず息をひそめ、神経を集中させられるような染めの作業。シンと澄んだ空気の中で、一枚一枚の生地と、藍と、時間と向き合う大籠さんとスタッフの真摯な姿に、宝島染工が生み出す商品の深みと強みを見た気がしました。

 

後日再び、染めの現場を訪問。

この日は藍染めではなく、MONPE 宝島染工 墨 柿渋 ミロバラン THORNの染めの現場を訪問。

「棘」模様を表現するための墨染めが行われており、ちょうど乾燥させる工程の真っ最中でした。藍染めとはまた異なる魅力をもつ、墨や草木染めの工程です。広げて並べられたMONPEは、まだ媒染前の状態で、最終工程には至っていません。日光に当てる必要はなく、風が通る場所ならばどこでも乾燥させられるそうです。この状態から鉄媒染を経て、うなぎの寝床の店舗に並ぶ新作MONPEへと姿を変えていきます。

中量生産を続けつつも、一つひとつ手仕事としての生産工程に手を抜かず丁寧に向き合う真摯な姿。そんな姿勢が随所に垣間見られた「宝島染工」の現場でした。

オンラインショップ 上山

 

今年2026年の新作コラボMONPEは、こちら

MONPE 宝島染工 墨 柿渋 ミロバラン THORNは、藍染の様々な技法を草木染めで行った応用編です。MONPEのサイズ感にあわせて模様の原案から調整されたそうです。
棘(とげ)という意味の「THORN(ソーン)」は、んぺ生地をプリーツ状に細かく折り畳み、柿渋のみで染めるパートと、墨とミロバランを合わせた染料を用いるパートを組み合わせ、プリント技法を応用しながら染め上げることで、棘のような模様を生み出します。 

〇今回の技法

墨 ミロバラン 手絞り手捺染

手で折りたたみ絞った生地に、柿渋、墨とミロバランを配合した染料を線状に手捺染していく技法です。ベースには、柳絞り染めの技法を使用し、さらに柿渋のみ、墨とミロバランを配合した染料と染め分けし、手捺染の応用で棘を表現した後、鉄媒染で仕上げています。墨にひよこ豆の粉を混ぜて適度な粘度をもたせることで、針で描いたようなシャープな線を生み出しています。

〇今回の新作で使用している染の原料 ~宝島染工HPより引用

ミロバラン/インド・ビルマ原産:
モモタマナ科の樹木で、実を染料として使用しています。ピロガロールタンニンと云う色素を含みます。

墨:
日本人には書道や水墨画で馴染み深い墨は松など油分の多い木と菜種油などの油脂を不完全燃焼させて得た煤と膠(動物の骨や皮に含まれるゼラチン質状のもの)を練り合わせて作ったものです。墨が染料に用いられはじめた時期は不明ですが、布を染めたのは室町時代以降であると言われています。墨汁の濃度によって仕上がりをコントロールし、色の濃淡を表現します。

その他、柿渋も今回のMONPEには使用されています。

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