ゴムのあるネイティブスケープ【3】 「ゴム」にまつわる書籍のセレクト

「地域文化って何だろう?研究会」の企画展テーマ毎に、関連書籍もご紹介していますが、このセレクトを担ってくれているのが、うなぎBOOKSの本間です。
数ある書籍の中から、厳選して数十冊に絞り込んでもらっているのですが、どんな風にセレクトをしているのか、気になるところ。ゴムをテーマにした企画展の研究ヒントになるかもしれないので、話を聞いてみました。

 

■ 本の選書ってどうしているの?

「ゴム」の企画展にまつわる本を選んでくださいと言われたとき、一番初めに思ったことは?

本間: かなり大きな書店でも「ゴム」という見出しを本棚に掲げているところは、そんなに多くないでしょう。「ゴム」という言葉で頭に浮かんで来るのは、絵本と、いくつかの専門書ばかりで、選書の難しさを感じました。ゴム、のびる、はずむ、ぐにゃぐにゃ、形をかえるもの……?

 

確かに。ゴムと本を結びつけて考えるのって難しいですよね。
選び始めるときの基本、ルール・流儀などはありますか?

本間: 「ゴム」という単語から、連想ゲームのように想像を膨らませていきます。
その時は単語よりも、(のびる、ぐにゃぐにゃなど)抽象的なイメージの方が先行して浮かびます。その道々で、いくつかの本が連想され、これが「ゴム」の本として紹介されていたら面白いかも!というひらめきとときめきがリスト化されてゆきます。

私以外の第三者が見ると「これはなぜ選ばれたの?」となるものも多分に混入しているので、より「ゴム」に密接した機能的な本を「思考の隙間を埋める」ように入れてゆき、全体のバランスを整える……という感じです。

 

まるで頭の中をのぞかせてもらったみたいです(笑)

本間: いつも何気なくやってることですが、はじめて言葉にしました!

 

うなぎBOOKSこだわりのラインナップ・おすすめ本をすこしご紹介

興味深いラインナップのゴムにまつわる10冊を今回選んでもらいましたが、
どういう点にこだわって選びましたか?

本間: あまりにも「ゴム」に関する知識がなかったので、今回は「ゴム」の町である久留米のことを私なりに調べ、選書に入れ込みました。

調べる中で知った、久留米という土地でゴム産業が栄えた理由や、ブリヂストンの成り立ちはとても興味深かったです。

うなぎの寝床で「ゴム」と言えば、ムーンスターさんに代表される「靴」への目線も不可欠です。靴底が「ゴム」であることって、普段はあまり意識しませんが、様々な場面で生活に密接しているのだなと、改めて感じました。「スニーカー」という切り口でも、数点の本を選びました。

 

10冊とも全ておススメ本だと思いますが、特にこれは読んでほしい3冊を教えてください!

本間: 一冊目は、『ゴムあたまポンたろう』です。
「ゴム」が登場する絵本は他にもいくつかあって、他の作品も選びたかったのですが、バランスを考えて絵本は泣く泣く一冊に絞りました。あたまが「ゴム」という一つの設定を貫き通す力強さと、「ゴム」という素材の持つ「可能性」や「おおらかさ」が感じられる絵本です。

続いて二冊目。池井戸潤さん著『陸王』は、テレビドラマも大ヒットしたとても有名な作品ですので、今更紹介する必要は……と思ったのですが、原作を読まれた方は実はそんなに多くないのかも知れないと、リストに加えました。ドラマでは敵対する大企業のいやがらせや、社内の人間関係に焦点が当てられていました(その方がドラマとして面白いからでしょうが)が、原作では著者の綿密な取材のもと、老舗足袋メーカーの商品開発が丁寧に描かれています。ブリヂストンは「足袋」からスタートした会社です。ものづくりの目線から読んでいただきたい名作です。

最後に三冊目。『スニーカーの文化史』は、運動競技用として機能性を重視されていた、いわゆるスポーツウェアだったスニーカーが、いかにファッションアイコンとなったのかを紐解く一冊です。同じく、一部の人たちの作業服だった「ジーンズ」やうなぎの寝床の「もんぺ」とも、類似する文脈があるように思います。時代の分岐点となった様々な出来事、カルチャーの象徴となった商品を振り返りながら、スニーカー史を深堀りすると、新たな発見があるかも知れません。

 

■ 企画展の書籍ラインナップの楽しみ方

これからの企画展でもテーマごとに選書をしてもらうことになると思いますが、
見にこられる方にどんな風に企画展の書籍を楽しんでもらいたいですか?

本間: うなぎの寝床や、企画展でピックアップされている商品に紐づく本はもちろんですが、一見すると関係性が薄いのでは?と思われる本もあるかも知れません。そんな時は、「これはどのような視点で選んだのだろう」と、選者の意図を想像してみて下さい。選ばれている本たちと「対話」をすることで、また新しい本の選び方や楽しみ方を体感していただけるのではないでしょうか。

訪れる皆さん(人)と本を新しい視点でつなぐ。これは、八女市の寺崎邸の本棚においても、うなぎBOOKSの本棚においても、共通の目標であり、目的です。
企画展の選書が、本との新たな出会いの場となりますように。

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「人と本をつなぐ」うなぎBOOKSのセレクションが、ゴムについて深堀し研究するときや違った側面から考えるときのヒントをきっと与えてくれることになるでしょう。(研究員U)

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