【雑感にょろり】禁断の漆ルームを覗き見。ラッカーゼとウルシオールの化学反応。

【雑感にょろり】禁断の漆ルームを覗き見。ラッカーゼとウルシオールの化学反応。

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初めて入る、漆の間。仏壇カトラリーのプロジェクト。

仏壇技術でカトラリーを作るプロジェクトが、進んでいます。サンプルが無事にできあがり、先日パンフレット用の写真撮影を行いました。美味しそうなスイーツと食事の写真もばっちり撮りましたが、まずは仏壇の職人さんの作業風景の撮影のため、今回制作にご協力いただいている、近松辰雄商店の近松さんのところへ伺いました。

この1年、近松さんのところへは何度も伺っていますが、漆を塗っているところは、実は一度も見せてもらったことがありませんでした。というのも、漆塗りの工程は、「室(むろ)」と呼ばれる秘密の部屋で行われます。温度・湿度管理が難しい漆は、特殊な環境でない塗ることができないのです。人が出入りしすぎると、天敵のホコリが入ったり、かぶれる人などもいるということで、入ることができませんでした。

それが今回、撮影のためにということで特別に許可いただき、中を見せていただきました。ひたすらに漆のことを考え、調べ、聞いてきた、この一年・・・室(むろ)を見せてもらって、ようやく漆に出会えたようなひそかな感動がありました。

化学反応が生まれる部屋。ぷっくりとした水分たっぷりの漆。

漆は日本を象徴する工芸技術として、情緒的に語られることも多いですが、科学的に見て、とても優秀かつ特殊な塗料です。自然の素材でありながら、高い強度と耐久性を持っています。漆を塗ったあと「乾かす」という工程がありますが、利便上わかりやすく言っているだけで、実際には、水分が蒸発して乾く通常の「乾燥」とは全く違います。漆液の主成分である、ウルシオールとラッカーゼ酵素の化学反応によって、硬くなるという現象なのです。

この化学反応が一番起こりやすい環境を作ってあげるのが、室(むろ)の役割。理想的な環境は、湿度70〜75%、温度20〜25℃で、夏でも冬でも同じです。十分な温度と湿度がない限り、漆は固まることがありません。あのぷっくりとした光沢のある質感は、水分が蒸発するのではなく、むしろ水分を中に閉じ込めているからこそ生まれているのです。だから漆液を顕微鏡で見ると、ウルシオールの海に水滴が島のように浮かんでいるのだそうです。

温度計と湿度計がかけられた室(むろ)は、とても静かな場所でしたが、ウルシオールとかラッカーゼ酵素が動き回っているような気配を感じました。漆は表面が硬くなれば、十分使用できる強度がありますが、実は芯の部分は何年もかけてゆっくりと硬化していきます。まさに呼吸し続けている、生きた素材なのです。そんな漆を身近に使ってもらえるよう、準備を引き続きがんばりますので、どうぞお楽しみに!渡邊

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