イケウチオーガニック

タオルメーカー/愛媛県今治市

IKEUCHI ORGANIC株式会社は、1953年に前身となる池内タオル工業を創業しました。愛媛県今治地方は江戸時代から綿花の栽培が始まったといわれ、今治平野は綿花栽培に適した土地で、有数の綿花生産地でした。江戸時代の後半には綿織物が農家の副業として発達し、現在の今治地方のタオル産業に繋がっています。創業当時は主に輸出用商品を手がけ、その後国内向けへの生産へと移行し「赤ちゃんが口に含んでも安心」な品質でタオルの生産を続けています。手摘みのオーガニックコットンを使用し、その後の染め・織りなど製品が完成するまでの全ての工程で、国際的な検査機関の認定を受けています。1999年に自社ブランドとして初のオーガニックシリーズとなる「オーガニック120」の販売を開始しました。環境対策への取り組みも積極的に行い、風力発電システムを導入するなど、生産活動を行うこと自体が環境負荷にならないよう、本当の意味での環境に配慮した商品を作り続けています。

■ 歴史:手織りから機械織りへ、アイデアで繋がる今治タオル

日本で初めてタオルが生産されたのは、1880年頃、大阪の井上コマが手織りでパイルを織り出す手法を考案したことが始まりとされています。それから大阪に遅れた1894年、阿部平助が綿ネル機4台を改良して作り始めたものが、機械織りの今治タオルです。その後、1910年には今治の麓常三郎がタオルを2列同時に織れる「二挺バッタン」を考案、当時不況に悩む白木綿業者が次々とタオル産業に投じました。しかし、この頃はタオル産業が日本中に広まり、今治の産業としては振るわなかったと言われています。転機となったのは、中村忠左衛門が原糸を先に晒すか染めてから製織する、単糸先晒縞タオルという製品を開発、現在の今治タオルの基盤が作られたことでした。先晒しは後晒しに比べ手間もコストもかかりますが、綿本来の柔らかさを引き出すことができ、さらにこれまでは白一色と決まっていたタオルが、糸を先染めすることにより縞柄のタオルを作れるようになります。質、デザインともに優れたタオルは文化織りと呼ばれ、人々から大変人気を集めたそうです。その後、今治市は目覚ましい成長を遂げ、綿織物で栄えたイギリス・マンチェスターになぞらえ「四国のマンチェスター」と呼ばれるに至りました。第二次世界大戦では空襲では壊滅的被害を受けましたが、1960年には今治で開発したタオルケットが爆発的に売れ、大阪のタオル産地を抜いて日本最大の生産量となりました。

■ 素材:徹底した管理で、綿花の作り手からタオルの使い手まで安心を保証

IKEUCHI ORGANICが使うコットンは、綿花が育てられる畑だけでなく紡績工場や生産者の労働環境までを審査対象とする、スイスのbio.inspecta (バイオインスペクタ)から認証を受け、インド、タンザニアで有機栽培されたオーガニックコットン「bioReコットン」です。このbioRe PROJECTを管理するREMEI社の認定を受けるには、遺伝子組み換えでない種を、3年以上化学肥料や農薬を使用していない畑で栽培・収穫していること、認定工場での紡糸であること、そして正当な価格で安定的に購入し続けることができるフェアトレードであること、という複数の条件が課せられています。さらにIKEUCHI ORGANICは染色加工に世界最高水準の浄化施設を採用、その全行程を風力発電による電力でまかなうなど、環境保護にも配慮しています。こうして「風で織る」とも表現されるIKEUCHI ORGANICのタオルは、世界基準エコテックス規格100の中で最も基準の厳しいクラス1をクリアし、安全性を約束しています。

■ 技術:一つひとつの過程にも優しさを欠かさない、技術と職人

ひとつひとつ手摘みで収穫されたコットンボールは、現地のオーガニック認定工場で種と繊維に分けられ、繊維から糸へ紡績の工程を経て、コーンと呼ばれる管に円錐形に巻かれた状態で今治の港へ届きます。さらにその原糸に、より良い風合いにするための撚糸(ねんし)加工、細かい不純物や油脂を取り除く精錬漂白、さらに織機で加工しやすいよう環境負荷の少ないでんぷん糊をつけ、IKEUCHI ORGANICの本社工場へ届けられます。円筒系に巻かれた約3000〜5000本にもなる原糸を「伸べ(ビーム)」という糸巻き機に巻き、伸べ師が手作業で1本1本適度な張力(テンション)を緻密に調節して成形、すでに織機にかかっている糸とつなぎ合わせると、いよいよタオルの織りが始まります。織り上がった真っ白な生地は糸についた糊を洗い流し、重金属を含まない反応染料で染色。石鎚山系地下水をたっぷり使い染色、洗浄、乾燥を終えるとパイルが立ったしっかりとした風合いに仕上がります。生地を機械と手作業で裁断し、それぞれ両端の耳、上下端のヘムを縫い終わると、一枚のタオルの形となります。最後に織り傷がないか、パイル抜けがないか、汚れが注いていないか、変形していないか等、丁寧な検品を経たものがIKEUCHI ORGANICのタオルとして出荷されるのです。

■ 土地性:自然と大都市に恵まれた場所、今治だからこそできた製法

今治は古くから綿栽培が行われており、さらに京阪神という大市場に近く交通の便も良かったことが大きな特徴です。「日本後紀」には平安時代、三河国(現在の愛知県)に漂着したインド人が綿花の種を日本にもたらしたとの記述がありますが、当時栽培には成功せず、戦国時代になってから綿花づくりが普及したといいます。江戸時代には伊予国(現在の愛媛県)を含め、日本各地で綿花栽培の最盛期を迎えました。江戸時代には伊予絣の原型となる今出鹿摺(いまずかすり)も考案されていたそうです。当時の今治では、町人が原綿や織機を提供し婦女子が賃織りをする「綿替木綿」制度が盛んになり、木綿の生産も増加。伊予木綿と呼ばれ大阪市場で人気を得ていました。しかし明治維新がおこり、機械織布が台頭すると手織りの今治木綿は衰退していきます。そこで1886年、矢野七三郎らが8台の木綿織機で綿フランネル(コットンネル)の製織を始めたことが、今治タオルの原型だそうです。また、今治タオルの特徴である「先晒し」という製法には、不純物の少ない軟水が必要です。昔から綿花栽培が盛んであり、伊予木綿や伊予絣という下地ができていたことに加え、自然が豊かな瀬戸内海や蒼社川の伏流水に恵まれた今治だからこその、タオル産業なのかもしれません。

参考文献

イケウチオーガニック公式HP
TEXPORT今治 タオル&ライフミュージアム
今治おもしろ百科
愛媛県生涯学習センター データベース「えひめの記憶」愛媛県史・社会経済3
今治市立図書館『タオルびと』制作プロジェクト

愛媛県のつくりて 全2社

愛媛県今治市
タオルメーカー

イケウチオーガニック

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