トウキョウレザーファクトリー
トウキョウレザーファクトリーは東京都墨田区で皮革・革製品事業を行なっています。前身となる会社から約70年にわたる革作りは、豚皮を中心として、準備・なめし・再なめし・染色・可脂・仕上げまでの工程を行ないます。墨田区はものづくりが盛んな街で、関東近郊に養豚場が多かったことから、墨田区のなめし工場に豚の皮が集まりました。明治末期から豚皮の生産が始まり、国内外で高く評価され、東京を代表する皮革素材となっています。豚の皮は3つの毛穴が裏まで貫通していて、吸水性・水の放出・乾燥性に優れています。現在では「洗って、使って、育つ皮」の洗える皮、形成後に染める「製品染め」、絞り出しや型押しなどタンナーならではの特殊な仕上げ加工に特化。暮らしを豊かにする「Made in Tokyo」のものづくりを目指し、引き継がれた技術と経験と、天然皮革の素材感を大切に、様々な加工方法の企画・開発を続けています。
※トウキョウレザーファクトリーは有限会社ティグレより2021年11月に独立して、皮革事業を行なっています。
■ 歴史・土地性:食文化の副産物 東京で発展した豚の製革業
日本の皮革文化はもともと朝鮮からの渡来したものであり、5世紀頃に革を鞣(なめ)す高度な技術をもった工匠を高句麗から招いたことが「日本書紀」に記されています。皮革技術は兵庫から関東へと渡り、東京では明治末期から木根川地域で豚革の生産が始まりました。そして現在、日本で代表的な豚革の生産地は東京都墨田区となっています。製革業は水、塩、技術といった資源の他に、食文化とも密接に関係しています。海外では豚の皮は食肉として流通することや、牛革の生産が中心になっている場所が多いことなどから、東京のように豚革のタンナー(製革業者)が集まっているエリアは世界的にも珍しいそうです。豚革は革製品で唯一、国内の自給ができている素材と言われており、日本の豚革の品質は国内外で高く評価され、ヨーロッパでは東京産の豚革は、高級ブランドの製品の素材として利用されています。
■ 素材・技術:通気性に優れた豚革を活かし、洗える革を実現
豚革は軽く摩擦に強いことが特徴です。毛穴に3つの穴があり、皮膚の層を貫通していることから、吸湿性・放出性・乾燥性をそろえ「呼吸」をする通気性に優れた革になるのです。トウキョウレザーファクトリーの「洗える革」シリーズにも、100%国産のwashable pig suedeを使用、豚革の優れた通気性を活かした製品になっています。生の革では腐敗して板のように硬くなってしまうため、革製品を作るには、革を柔らかく腐らないように加工する「鞣し (なめし) 」の工程が必要です。初めに、原皮から脂肪や毛といった不要な成分を除去し、植物タンニン、もしくはクロム (塩基性硫酸クロム) と呼ばれるなめし剤を使用し、革特有の耐久性をもたせます。次に、染料で色を染め、脂で柔軟性を加えます。最後に、製品に合わせて様々な方法で外観を整えると完成です。生き物が原料であることから、原皮にも個体差があり、部位によっても皮の厚さや強度が変わります。商品としての安定した品質を保つためには、職人の高い加工技術が求められるのです。
■ 思想:経年変化まで楽しめる「暮らしが豊かになる革製品」
トウキョウレザーファクトリーは、素材の持つ魅力を最大限に引き出し、それを活かしたものづくりで暮らしを豊かにするため、天然皮革の魅力を探究し続けています。前身の有限会社ティグレでは、2011年に立ち上げた自社ブランド leatheria (レザリア) で、革作りの製法を基に染色や独自の仕上げ加工を施し、「唯一のレザーアイテム」を追求しました。2018年にはleatheriaからブランドを一新し、TOKYO LEATHER FACTORYを始動、2021年にはトウキョウレザーファクトリーとして独立しました。ロングセラー商品である「洗える革」シリーズは、洋服を洗うように皮革製品も洗うことができたら、より暮らしに溶け込むのでは、というアイデアで開発されました。「洗って、使って、そだつ革」として、デニムと同じように洗って使ってを繰り返すと、時間を経て革の表情が変わっていくところまで楽しめます。天然皮革の素材感を大切にしながら、革の新たな価値や魅力を探求し、様々な加工方法での付加価値の高い制作に取り組んでいます。
※あくまでもうなぎの寝床が解釈する、つくりてのものづくりへの思いや思想です。
参考文献
ティグレ公式HP. (n.d.).
トウキョウレザーファクトリー公式HP. (n.d.).
川上 隆志. (2006). 日本の皮革地帯--姫路・龍野と木下川を中心に. 専修国文, 79, 61–80.
商品一覧
Washable Drop Tote Bag マスタード
天然の豚革本来の風合いを生かした「洗える」トートバッグ
Washable Drop Tote Bag ピンクベージュ
天然の豚革本来の風合いを生かした「洗える」トートバッグ
Washable Drop Tote Bag ネイビー
天然の豚革本来の風合いを生かした「洗える」トートバッグ
Washable Drop Tote Bag グレー
天然の豚革本来の風合いを生かした「洗える」トートバッグ
Lantern Bag ナチュラル
豚革本来の風合い・個性をそのままに生かした巾着型バッグ
Lantern Bag ブラック
豚革本来の風合い・個性をそのままに生かした巾着型バッグ
東京都のつくりて 全8社
日本最初のTシャツは銀幕に映るTシャツ姿のハリウッド俳優に憧れた少年により始まります。久米莫大小(メリヤス)製造所は繊維産地として知られた東京本所区で1935年…
株式会社ZIKICOは、東京都多摩市でジルコニアカトラリーを製造しています。代表の山瀬光紀さんはプラスチック成形業などを行う、かねひろ株式会社(現 多摩ウッドベ…
トウキョウレザーファクトリーは東京都墨田区で皮革・革製品事業を行なっています。前身となる会社から約70年にわたる革作りは、豚皮を中心として、準備・なめし・再なめ…
yohakuは衣服の製造・販売を行う株式会社サンカーベの自社ブランドです。1969年メリヤス(肌着類)のメーカーとして創業。秋田の自社工場で肌着の生地の生産、卸…
帝国繊維株式会社
帝国繊維株式会社は100年以上の歴史をもつ日本のリネン産業のパイオニアであり、消防用ホースのトップメーカーです。麻は天然繊維の中で最も強靭で水に濡れると強さを増…
C& | 大地 千登勢
C&代表の大地さんはフランスでのバイヤー経験などを経て、アートジュエリー分野のキュレーターとして、東洋と西洋の融合、自然と人間の関係性をテーマに、アー…
TSUKUMO
株式会社TSUKUMOは、1995年以来途絶えていた日本製を復活させた中島広行さんが2013年に創業した日本製ビーチサンダルメーカーです。ビーチサンダルは195…