私は食べることが好きです。そんな中でよく思うのが、「よくこの食材を食べようと昔の人は思いついたなぁ」ということ。例えば、タケノコがそれで、竹になる前の限られた時期で採れたものを、しかも米ぬかを使って灰汁とりをするとえぐみがなくなるなんて一体いつの時代の誰が発見したんだろう??と思うとなんだかワクワクしてくるんです。
荒尾市のシンボル・小岱山の麓にあるふもと窯は1500年後期に朝鮮人の陶工が日本各地で開窯(かいよう)した小代焼のうちの一つ。小岱山の登山道入り口の脇に構える小代焼の中で一番大きな登り窯をもつ窯元です。
”これですこれ!“小代焼のルーツに感じるワクワク

「男のロマンしかないですよ、その中には」と語られた二代目・井上尚之さん。ふもと窯販売所の2階は小代焼資料館になっており、指差したショーケースの中には遺跡で発掘された土器のような器の欠片が飾られていました。聞くとご近所の方が大昔に裏山を掘っていた時に出てきた小代焼の器の欠片ではないかとのこと。いつの時代のものかを鑑定していないからはっきりとはわからないとワクワクしながら話されていた目が輝いていたのがとても印象的でした。“これですこれ!”私が食材に感じているのと同じワクワクを尚之さんは自身の小代焼のルーツに感じていたのです。資料館には先代・泰秋さんが収集された昔の小代焼やそれに関連する焼き物、泰秋さんの絵画などが並べられいて小代焼の力強さが所狭しと感じられます。


ろくろを回す・焼き上げるだけじゃない手仕事の多さ

私たちが訪れた日はもう焼きは終わっていましたが、窯元の仕事はろくろを回す・焼き上げるだけではありません。ふもと窯の大きな登り窯の中を掃除されていたり、次の焼きを待つ2代目の代名詞スリップウェアの器に黙々と化粧土を施したり、小代焼の特徴である青色・釉薬をつくるための藁灰を唐臼を使って準備されていたりしました。『デジタル化』『全自動』とは真反対の人の手が絶対に必要な作業がまだまだここには存在しました。

敷地内には焼き上げに必要な薪となる木材を集積している場所、小代の土を盛っている場所があり、「たまに家屋の木材をいただくんですが、釘などが残っているから怪我をしないように大変ですが、全部取らなければいけないんです」と三代目の亮我さん。
伺った日は平日ではありましたが、ふもと窯は惜しみなく作業場を開放しているため、数組の訪問者もいらっしゃいました。亮我さんはその方々に丁寧に説明をされていて、その目が生き生きとしていました。買い付けた品を梱包する際、お弟子さんが手慣れた様子で次々と新聞紙に包んでいく、いい機会だからと私も一緒にやらせてもらいましたが、やはり割れ物の扱いには相当気を使っているようで、「ここに入って一番に覚えさせられたことが梱包です」と仰られていました。尚之さんのお姉さんが販売所で器のお手入れ方法などを丁寧に教えてくださいます。つくりてさんへお邪魔する際はいつもみなさんのキラキラした目やワクワクしている熱意に感動を覚えます。そのことを思い出しながら小代焼の器で食事をするとみなさんの表情が思い出されて一つの隠し味となってワクワク感が広がりました。
八女本店 田畑
小代焼ふもと窯
熊本県荒尾市府本字古畑1728-1
0968-68-0456
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