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【織元インタビュー】 もんぺ、この1本 vol.1 / 野村織物(2023. 06)

~伝統+革新、挑戦し続ける久留米絣の織元たち~

このコラムは、「第10回 もんぺ博覧会(2023年6月開催)」に付随した特集記事を転載しています。

久留米絣の逸品を作り出すのは、高度な目利きと洗練された職人技

今回で10回目となる「もんぺ博覧会」。
参加いただく織元それぞれに今回の一押し「久留米絣のこの1本」を選んでもらい、その特徴や魅力を存分にご紹介いただきました。織元がこの1本に選んだのは、野村織物の「看板柄もんぺ」。
4代目野村周太郎さんにお話を聞きました。

125周年という節目だからこそ決めた野村織物をイメージする柄

「久留米絣、この1本」教えてください!

野村織物の看板や名刺にも添えられている「花菱格子(はなびしこうし)柄」。久留米絣の技法でも難度の高いたてよこ絣の技法を使っています。花菱の文様は、高貴・上品などの意味合い、そして格子は、魔除けを意味するとも言われています。また、同じ柄を繰り返すのは「永遠の幸せ」をも意味します。

 

野村織物の久留米絣の特徴は?

2023年4月に創業125周年を迎え、改めて「野村織物のイメージ柄とは?」と考えた時に、社内でもお客様からも「野村織物=花菱格子柄」という意見が一致しました。野村織物にとって想い入れの強い柄です。この柄は、花菱と格子の2つの柄を組み合わせる技術を必要としますし、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)それぞれの仕込みにも時間がかかります。また、柄を美しく出すという点にも心配りが必要です。作り上げることが大変な分、この柄を完成度高く織れるようになると、職人としての腕も、そして満足度も高まります。

また、自社で染色を行う数少ない織元の1つとして、色づくり・柄づくりにも力を入れています。
一般のお客様には常時150~200の色・柄をご覧いただける展示棚があり、シーズンごとに入れ替わる新色や新柄を楽しみにされているお客様もいらっしゃいます。

【この一本、花菱格子のもんぺ/ポイント】

  • サイズ展開:S~LL
  • ストレートパンツ仕様で、すっきり着こなせる
  • 右前・右後ろポケット付
  • 125周年を記念する「花菱格子柄」、同じ柄を繰り返すのは「永遠の幸せ」の意味も

4代目野村周太郎さんのお話から久留米絣やもんぺに関する、印象的な言葉をまとめてみました。

野村織物語録 その1:
柄のゆらぎの美しさは、基本ありき

しっかりと柄を作るもの、柄の揺らぎを良しとするもの、わざと崩して柄をつくるもの、組み合わせによって偶発的にできた揺らぎのあるもの、できあがりは様々あります。日々、試行錯誤とチャレンジの繰り返しです。220年以上前から伝わる「柄づくり」にこだわりを持ち続け、柄を生み出す際のかすかなズレ(かすれ)の美しさを追及していることも、正統派の織元と表現していただく理由なのかもしれません。

野村織物語録 その2:
職人の手先、目先、機械のメンテナンスで決まる

機械の調子、職人の手先、目先の違いも野村織物らしい久留米絣をつくる要素だと思っています。
機械織には機械織ならではの、難しさや職人技があります。織り職人が1人で4台の織機を同時に動かし、リズミカルなスピードで柄を合わせながら織ることが出来るのは、そこに至るまでの各工程を担当する職人たちの細やかな配慮と確かな技によるもの。職人個々の技法・技量はもちろん、感度や判断力も野村織物の久留米絣を作るための手仕事リレーに欠かせないものなのです。

野村織物語録 その3
20年後に向けて、次世代へ向けて

まだ幼い息子が跡を継ぎたいと言い始めたこともひとつのきっかけとなり、次の世代に引き継いでいくために「20年後へ向け」新たな取り組みも始めました。

オーガニックコットンを使用した久留米かすりブランド「ノムラコットンオーガニック」の立ち上げに際し、クラウドファンディングにも挑戦しました。また、20代~40代の職人が7割以上を占める野村織物では新たな機械を導入するなどインフラ設備や職場環境を整えることにも力を注ぎ始めています。
野村織物らしさとは?を常に問い、先代から守り続けてきたことを伝え繋げながら、現代に馴染む新たな久留米絣の魅力を発信し広めることで20年先も愛される久留米絣を造り続けます。

色とりどりの久留米絣が美しく並ぶ野村織物の店内。どれにしようかな、と迷い悩む時間も楽しめる空間です。

そんな野村織物が造り上げた久留米絣の数々。花菱格子柄はもちろん、古典柄から現代のライフスタイルに馴染む色や柄。もんぺ、七分丈もんぺ・ワイドパンツ・ハーフパンツなど種類豊富にもんぺ博覧会には並びます。「おすすめは?」と聞かれるとつい「どれもオススメです!」と答えてしまうスタッフに、会場で出会えるかもしれません。ぜひお楽しみに。

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