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【織元インタビュー】 もんぺ、この1本 vol.2 / 丸亀絣織物(2023. 6)

~伝統+革新、挑戦し続ける久留米絣の織元たち~

このコラムは、「第10回 もんぺ博覧会(2023年6月開催)」に付随した特集記事を転載しています。

不測の事態で立ち止まっても、考え続け、織元として新たな道を切り開く開拓者

今回で10回目となる「もんぺ博覧会」。
参加いただく織元それぞれに今回の一押し「久留米絣のこの1本」を選んでもらい、その特徴や魅力を存分にご紹介いただきました。織元がこの1本に選んだのは、大柄のレンコンが目を引く、特徴的なもんぺ。5代目丸山重俊さんにお話を聞いてみました。

「絵羽模様」を実現した、難易度高めの柄

「久留米絣、この1本」教えてください!

丸亀絣織物のシンボルマーク「レンコン柄」のゆったりワイドなつくりのもんぺです。
レンコンは、昔から「先を見通す」「見通しが良い」と言われる縁起物を柄。ワンポイントのレンコン柄を大柄にしているところも丸亀織物ならではの技術を使っています。

 

丸亀織物の久留米絣の特徴は?

「もんぺ」の形は、先代からずっと変えていません。サルエル、ワイドパンツなど、「もんぺ」を起点に枝分かれして作っているパンツデザインも色々ありますが、丸亀絣織物では、このかたちが久留米絣の「絣」という生地に一番マッチしたベストのかたちだと思っているからです。

一般的なもんぺと比較すると、ゆったりめの作りです。ゆったりしているともんぺの内側に適度な空気を含むので、夏は涼しく、冬暖かく着られるのが良いと思っています。また、ゆとりがあることで、(着心地の良いデザインになっています。)
今回、「絵羽模様(えばもよう)」という日本に受け継がれた技術をもんぺに落とし込んでみたのです。
柄を出す部分をしっかりと考えて生地作りをし、もんぺが綺麗にできるように仕立てています。

「絵羽模様」というのは、もともと着物の絵付けが由来となる言葉ですが、縫い目をまたいでも模様が途切れず、ひとつの絵のように見えるのが特徴で、その模様合わせは難易度が高く、高度な技術が必要とされます。

このレンコン柄は、もんぺの特定の位置に柄が見えるようにするため、無地の部分も織っているんです。要するに柄を出す部分、無地になる部分が緻密に計算され、生地の無駄を出さずにもんぺが仕立て上がるように考えてつくったものです。ひとつとして同じ柄にならないのが絣の面白いところでもあります。

【この一本、レンコン柄もんぺ/ポイント】

  • サイズ展開:S~LL
  • 黒、グレーの2色
  • うなぎの寝床「farmers’」よりワイドなつくり
  • 1か所だけの大きなワンポイント、このもんぺを作るために仕立てた生地

5代目丸山重俊さんのお話から久留米絣やもんぺに関する、印象的な言葉をまとめてみました。

丸亀絣織物語録 その1:
もんぺは「最強の普段着」

家でこのまま寝ることもできる、コンビニへちょっと買い物にでかけることもできる、お出かけにも着ていける。
どこにでも着ていける良さ、穿き心地の良さはもちろんですが、そこまで万能に着まわせるタイプの衣類ってなかなか少ないのでは?と思っています。最強の普段着です。
もともと服飾デザインを勉強してきた経験もあったので、デザインなど色々変えてみようとたくさん作ってはみたけれど、最後に結局たどり着いたのが今の形のもんぺです。ずっと作ってきた形に、原点にもどりました。

もんぺは、はき心地が一番大切!窮屈に感じないつくり、ゆとりがあることによって、絣の良さをより引き出すことにもつながります。

丸亀絣織物語録 その2:
「伝統」あるもので進化していないものはない

保守的にかたくなに過去のやり方を守ることではなく、時代にあわせて進化していくものが「伝統」になっていくことだと思っているし、進化していくことが生き残り続けることにつながっていくと考えています。

コロナ禍、久留米絣の織物生産や販売がストップしている状況だったこともあり、思考し続ける時間がかなりありました。考え続けたその先に、生産量を増やしてどんどん販売していくことよりも、もっと独自性にこだわり、面白い久留米絣の織物をみせられるようにしていきたいと思い始めたのもその頃からです。何よりつくりてである自分自身が楽しめるようなものづくりをしていきたい、そう思うきっかけにも。以前までのやり方、考え方をがらりと変えたタイミングでもありました。

丸亀絣織物語録 その3
変化・挑戦し続けることで「価値の創生」へとつなげる

久留米絣の生地の価値を高めていくことが大事だと思っています。そのためには、かかわる人たちの意識改革も必要だと思っています。物の良さをしっかりと伝え、適正な価格で販売し、久留米絣の価値を高めていくことが大切です。これはとても大変なことで、一軒の織元だけでできるとこではありませんし、時間をかけて、絣業界自体を今後牽引していく自分たち世代の織元、そのまた次世代が担っていく重要な部分でもあると痛感しています。

様々な試行錯誤を繰り返し、たどりついたもんぺの形、そして新たにシンボルマークとしたレンコン柄。ほかにはあまり類をみないほどの大柄の久留米絣に、丸亀絣織物らしさを感じます。

レンコン柄だけいにとどまらず、カラフルで種類豊富な丸亀絣織物のもんぺが、アクロス福岡店には並びます
どんな久留米絣に出会えるか?ぜひお楽しみに~。

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