創意工夫を続ける国産靴メーカー・ムーンスターの新ラインナップ
これまでに培ってきた技術と知識を生かした4種類の新ラインナップ
1873年に創業した国産靴メーカー・ムーンスター(福岡県久留米市)。日本人の足に合う靴の型の研究を重ね、スニーカーの他にも、学校の指定靴や上履き、業務用の靴など、高品質な製品を真摯に作り続けてきました。
今回は、この春からうなぎの寝床で取り扱わせていただくようになったムーンスターの新ラインナップ4種類ご紹介します。
- 靴のラスト(靴型)を見直し、より良い履き心地にリニューアルしたスリッポンタイプのスニーカー「SIDEGOA」
- 革靴みたいなスニーカー。ヴァルカナイズ製法の幅の広さを示す「PLAIN COURT」
- 長年にわたって学校用の上履きや革靴をつくってきたノウハウを生かした「LITE BALLET」と「SK STIP」
靴の型から考え直してリニューアルした靴。長年続けてきた製法の幅を感じさせる靴。これまでのノウハウを生かした靴。創業して148年目を迎える今もなお、培ってきた技術と知識を発揮しつつ、創意工夫を続けることを忘れないムーンスターの商品をぜひご覧ください。
①SIDEGOA(サイドゴア)
「以前の型をリニューアルしてより良い履き心地に。着脱楽々なスリッポンタイプのスニーカー」
ムーンスターの靴は、数多くの工程を経てつくられています。靴づくりの第一歩となるのが、ラスト(靴型)づくりです。ムーンスターでは、木の塊から足型を削り出した後、自社の鋳物工場でアルミニウムを溶かし、型に流し込んでラストをつくっています。日本人の足に合う型の研究を重ね続けており、今までにつくったラストは約16,000種類にも上ります。
履き心地の良さを探る中で、ムーンスターはスリッポンタイプのスニーカー SIDEGOAの型をリニューアル。以前のものは、紐靴用のラストでスリッポンをつくっていたため、甲が高くて幅が狭く、履く人によっては指先が窮屈に感じる場合がありました。リニューアルしたSIDEGOAは、ラストをスリッポン用に開発し直し、より良い履き心地になっています。
◯うなぎの寝床 スタッフが履いてみた感想○
- アッパーの一部にゴムが入っていることで脱ぎ履きが楽々。
- シルエットは細身だが、締め付けられる感じはなく、足に馴染んで程よくフィットしてくれる。
- アッパーはキャンバス生地で軽やかな印象だが、底はしっかりしていて安定・安心感がある。
②PLAIN COURT(プレインコート)
「アッパーに上質レザーを使用。革靴のようなたたずまいのスニーカー」
ムーンスターを代表する製法の一つに「ヴァルカナイズ製法」があります。靴のパーツを一つずつ切り抜き、組み立て、貼り合わせるなど、工程のほとんどが手作業で、ひとつの靴が出来るまでに多くの職人の手を渡っていきます。
多くの工程を経て組み立てられた靴は、最後に「加硫缶」と呼ばれる窯に「窯入れ」され、「加硫」の工程へ。120℃の窯で約1時間ほど熱と圧力を加えることで、ゴムに混ぜられた硫黄分が化学変化を起こし、しなやかで丈夫なゴムになり、靴が出来上がります。時間と手間を要するため量産が難しい製法で、国内でもごく僅かな工場でしか生産できません。
アッパーに上質な姫路産レザーを使ったPLAINCOURTも、ヴァルカナイズ製法でつくられています。アッパーにキャンバス生地だけではなく革も使えることからは、ムーンスターが長年続けてきたヴァルカナイズ製法の奥行きや、今後のさらなる可能性を感じます。
◯うなぎの寝床 スタッフが履いてみた感想○
- 姫路産レザーを使ったアッパーは柔らかで滑らかな質感。
- 見た目は革靴のようなたたずまいで、履き心地はスニーカーのように歩きやすい。
- 歩いていて、革がつっぱらず、しなやかにしなってくれる。
③LITE BALLET(ライトバレット)
「上履きをベースにした細身なシルエットのスニーカー」
ムーンスターは、病院や厨房、農業や土木など、専門職向けの靴づくりも担ってきました。ゴム加工の技術を持っているからこそ、靴の種類に応じてゴムを加工でき、各現場に合った機能の靴をつくることができています。
専門靴の中でも、ムーンスターの「学校指定靴」と「上履き」は、九州で生まれ育った老若男女にとって、子供の頃からお馴染みです。成長過程の子どもの足を支える靴なので、機能や製法、素材の使い分けにこだわっており、特に耐久性についてはムーンスター社内で高い品質基準を設けています。
上履きのデザインをベースにしたLITE BALLETは、ムーンスターが上履きづくりで培ってきた技術や知識をもとに、シルエットは細身に、ソールには十分な厚みを持たせて作られています。
◯うなぎの寝床 スタッフが履いてみた感想◯
- 同じスリッポンタイプでも①SIDEGOAとは雰囲気がすこし違い、女性よりの型。
- 見た目の印象がラインが細くて華奢なイメージだけど、履くとソールは厚めなので履き心地に安心感があってインソールもフィット性と弾力性がある。
- 履き始めのうちは「アッパーのゴムの部分が痛いかなぁ」と思ったけど、慣れたら痛くなくなった。
- 軽いし、さくさく履ける。
④SK STIP(エスケーシュティプ)
「学生用革靴をベースにしたレザーシューズ」
こちらのSK STIPも、学校用の靴づくりのノウハウを生かしています。ロングセラーの学生用革靴をベースにしたレザーシューズで、つま先が横一文字に切り返されたストレートチップは、カジュアルな普段履きからフォーマルまで幅広いシーンで使えます。アウトソールには、ウレタンの劣化しやすい弱点を大きく改善した独自素材(ベステック)を使用。軽量性・弾力性・防滑性に富んだソールとなっています。
◯うなぎの寝床 スタッフが履いてみた感想○
- 内羽根でストレートチップなので、シナジークラフトシリーズの革靴(GEN/TANG)と比べるとフォーマル感がある。
- 普遍的なデザインで老若男女、場所を問わず、1足あると困らない。
- しっかりしたつくりだが、革は柔らかく、最初から楽に履ける
- 軽い!!(ソールに軽量な独自素材・ベステックを使用)
【うなDIGTIONARY ムーンスター 特集記事】
地域に根ざしたゴム靴メーカー 前編 / ムーンスターから見えるNATIVESCAPE