【地域のこと】いのししハンターたちの日曜日① 探偵ばりの痕跡探し / Yame Gibier Month 02

山を見守り、いのししたちを向き合う、レンジャー集団

2月1日から1か月、八女産いのしし肉を八女市・久留米市の15の飲食店で食べることができる「八女ジビエマンス」を取材させてもらうことになり、まず見にいきたいと思ったのは、いのしし猟の現場でした。
いまや全国の自治体が、農業被害をおさえるために「害獣」として、ワナ猟や銃猟による駆除を進めているイノシシ。多くの場合、その猟を担うのは「猟友会」と呼ばれる地元有志による森のレンジャー集団。
そこで今回は、副業ながらも八女ジビエの食肉加工までされている井手口良文さんと、猟友会のお仲間７名のいのしし猟に同行させてもらいました。
みなさん普段は別の仕事をしていて、農業や建設業、アイス製造業からラーメン屋さんまで業種も様々。だから仕事のない、晴れた日曜日には集まって、猟に出かけるのだそうです。

朝８時に集合で現地へ向かうということで、午前中のうちには終わるのかな〜と軽い気持ちでいったら、とんでもありませんでした。いきなり猟ができるわけではなく、まずは入念な痕跡探しからスタートなのです。
山の周辺を回って、いのししの足跡を探したり、荒らされた畑を辿って行ったり。３〜４時間捜索して、最終的には「ヌタ場」と呼ばれる、山奥にあるいのししの水飲み場・体洗い場まで降りていき、まだ新しい痕跡を発見したのです。

人の世界といのししの世界。食べ物を探す気持ちは同じ。

「ヌタ場」がある山の中と、人が耕した畑のあるところとは、距離としてはそう遠いわけありません。しかし明らかに「山の世界」と「人の世界」には境界線があって、森の中に入った途端になんだかこわいような、侵略したような気持ちになりました。
もしかしたらイノシシたちも同じように感じているのかもしれません。山から一歩外へ出て、人間がいる畑や車が通る道路に出るのは、きっと怖いことのはずです。それでも彼らは生きるため、食べるため、エサを求めて出てくるのです。
今ではスーパーにお肉はいくらでも並んでいますが、本来生物はそうやって危険をおかして、命がけで食べ物を獲ってきていたのです。それはきっと、いのししも人間も一緒です。真剣に向き合うからこそ、命をいただくことができるのです。
そんな感慨にふけながら痕跡探しを終えると、いよいよ猟の本番。いのししを見つけ出し、命をいただくことができるのか。。。続きは来週の「いのししハンターたちの日曜日②」をお楽しみに。渡邊 ∈(゜◎゜)∋ ｳﾅｰ

いのししが体を洗ったり、水を飲んだり（貯まってるときは）、ダニを落としたりする、ヌタ場。