【はんてんマスターに聞く①】 はんてんは命をつなぐ「道具」だった

※この記事は2023年11月にメールマガジンで配信した内容をアーカイブ(一部編集)しています。

昔とは違う、今のはんてんとは?

うなぎの寝床には、宮田織物で30年働いていたはんてんマスター“池田さん”がいます。はんてんの製造から販売、商品開発まで、ながく宮田織物の仕事に携わってきた池田さんは、その経験をお客さんだけでなく、私たちスタッフにも伝えてくれています。今回は、はんてんマスターに「わた入れはんてんとは何か」を聞いてみました。

 

出典:Wikimedia Commons

布団の再利用
とにかく、あたたかく

池田:そもそも、はんてんは家の中で快適に過ごすものというよりも必死で寒さを凌ぐための防寒具だった。

子どものために使わなくなった布団からわたを取り出してはんてんをつくるなど、物資が豊富ではない時代に各家庭で賄われてきたルーツがあるそうです。

布団用につくった中わたを服にしているからこそ、どうしても重くて肩が凝ったり、均一にわたを入れることができる訳ではないため、洗濯して中わたが偏ったり切れることも。当時は「快適にうちで過ごす」ためというよりも、暖をとるために必要に迫られて生まれたと言ってもよいのかもしれません。そうした背景があるからこそ、はんてんには「重くて動きづらい」というイメージが今も残っているんだろうと思います。

宮田織物では、1965年からはんてんづくりを始めて、衣服として心地よく着てもらえるようにはんてん用のわたを開発。昔のイメージとは違う、軽くそしてあたたかい着心地へと進化しています。

昔ながらの形「藍調袢天

 

現代生活に合わせたシルエットの改良

池田:昔は重ね着することが前提だったから、はんてんもゆったりとしたシルエットだった。

それから時代が変わる中で、発熱素材を使用した薄くてあたたかな肌着などが登場。ゆったりとした形よりも体にフィットしたサイズ感へとシフトしていきます。

池田:はんてんをどのように時代に合わせていくか考えたとき、どうやって1日生活しているのか振り返って考えた。ソファーに座ってチャンネル取る、コタツに入ってみかんを取る、立ち上がってお皿を洗う、ちょっと近所のコンビニへ行く、とかとか… 日常生活の中で「こうだったらいいのになぁ」と思う事を表現したのが現代風の型につながっている。

現代風のはんてんは従来のものよりも袖や身幅を狭くし、スッキリとした仕上がりに。また、奴型やロングポンチョは袖がないので手捌きしやすく、家事炊事などのお家での作業も快適にできるよう考えられています。

 

すっきりシルエット「nagomi HANTEN

“すっきり”だからこそ体感できる”あたたかさ”

池田:なんとなくゆったりとして包み込まれる方があたたかそうなイメージもあるけど、そうでもないんじゃないか?すっきりとしたシルエットの方が体感としてのあたたかさの上で、実は理にかなっているのかも。

はんてんは着ている人の体温をわたで保温することで暖をとる防寒着。だからこそ、中の熱を逃さないように体に沿ったシルエットの方があたたかいのでは?そうした考えと配慮もあり、あたたかくもあり動きやすい、現代生活に寄り添ったはんてんができました。

「着ていてなんだか心地いい」はんてんの背景には、知らない工夫がたくさんあることを池田さんから教えてもらいました。宮田織物の見えないものづくりは、ご紹介しきれないほどにまだまだたくさんあります。より詳しく知りたい方は、うなDIGTIONARY#5をご覧ください。

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