【はんてんマスターに聞く②】 見えない気配り、はんてんの心地よさの秘密

※この記事は2023年11月にメールマガジンで配信した内容をアーカイブ(一部編集)しています。

見えないところを手を抜かない
「手」が生み出す着心地の塩梅

宮田織物で30年働いていた”はんてんマスター” 池田さんに宮田織物のものづくりについて聞くシリーズ。後編は「わた入れ」と「手とじ」について。宮田織物のはんてんがどうして着ていて心地よいのか?その理由に迫ります。

はんてんを探す

引用:宮田織物

手作業でわた入れ
細やかな気配り

宮田織物のはんてんの中わたは、二人一組の手作業で入れられます。

中わたの厚みも部分によって変え、種類によっては背中とお尻が二重、前は一重にするなどして、温かさと動きやすさの両方を吟味した中わたの入れ方をされています。

わたは本当に柔らかいもので、ふわっと左右同じ力加減で広げたり、ささっときれいにちぎったり、簡単そうに見えるそれさえも実はとても難しいものです。わたがもたついてしまうと、はんてんを羽織ったときの着心地に影響してしまうため、手際よくわたを扱い、流れるようにわた入れていきます。

引用:宮田織物

チクチク、手とじ
ちょうどいい力加減による着心地と強度

中わたが入ったはんてんをとじていく作業。これも手作業で行われます。

とじる時に糸を引っ張る力加減も人の手だからこその気配りがされています。縫い糸のテンションが強すぎるとその部分の生地が固くなって着心地に影響し、逆にゆるすぎると強度が弱くなってしまいます。「体に馴染む着心地」と「ものとしての強度」を両立するために、糸を引っ張る程よい力加減でとじていきます。

 

縫い目が表にも裏にも表れない?

はんてんを長く着ていると、中のわたが寄ってしまったり、わた切れが起こってしまったりします。それが起こりにくくなるように、背中の中心や脇は「表地・中わた・裏地」の三層を縫い合わせています。しかし、表にも裏にもステッチが見えることはありません。その秘密は、表地の縫い代と裏地の縫い代同士を縫い合わせていること。指先の感覚だけで目には見えない内側の縫い代同士を縫い合わせているのです。

見た目の印象としてすっきりとするだけでなく、わたの偏りを防いだり、わたを変える場合も生地を傷めずに中を開くことができるなど、ものとして永く使えるような工夫が施されています。

表地と中わたと裏地の止め方の解説。上の手が表地、下の手が裏地として、それぞれの折り重なった縫い代同士を縫い合わせることでわたを固定している。

今回は、宮田織物のわた入れはんてんの「わた入れ」と「手とじ」のこだわりについてでした。宮田織物の見えないものづくりはまだまだたくさんあります。より詳しく知りたい方は、うなDIGTIONARY#5をご覧ください。

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