なりたちからみる二大タオル産地、泉州・今治。

この度、大阪の泉州産地のタオルメーカー「神藤タオル」のお取り扱いを始めます。
うなぎの寝床では愛媛県今治市のタオルメーカー IKEUHCI ORGANICのタオルをお取り扱いして、「そもそもタオルってなんだろう?」かを考えてきました。

日本のタオル産地といえば、「今治」を連想する方が多くいらっしゃるかと思いますが、実は「泉州」も今治に並ぶ産地です。
2019年の全国のタオル出荷金額のうち、約60%を愛媛(今治など)、約30%を大阪(泉州など)が占めています。また、出荷数量では、約37%を愛媛、約47%を大阪が占めています(経済産業省 工業統計、2020年)。
大阪の泉州産地と愛媛の今治産地。代表的な2つの産地が国内のタオル製造の多くを担っていると言えます。

産地が違えば、ものづくりも変わり、生み出されるものの特徴も変わります。ひとつの産地を見るときにも、他と比べることで特徴がはっきりと見えることがあります。

今回は、約100年の歴史を持つ泉州のタオルメーカー「神藤タオル」の取扱開始をきっかけに、「泉州」と「今治」の2つのタオル産地について比べながら、両者の特徴について考えていこうと思います。

 

■ 泉州産地ってどんなところ?

大阪南部に位置する泉州産地は、江戸時代から綿花栽培と綿織物業が盛んな地でした。
明治時代には堺に日本初の官営紡績工場が設立されるなど、衣料品、日用品から軍需品まで様々な織物を生み出してきた一大産地です。
現在では綿織物に加え、毛織物、ニット、糸加工、染色まで、テキスタイルづくりの多岐にわたる産業が泉州産地でものづくりを行っています。

 

■ 泉州タオル – 日本タオル産業発祥の地 –

日本で初めてタオルが生産されたのは、1880年頃、大阪の井上コマが手織りでパイルを織り出す手法を考案したことが始まりとされています。
1870年頃からタオルは輸入されていましたが、肌触りがよく、保温性・通気性に優れていたことや当時高価であったことから、主に襟巻として用いられていました。

その後の1885年に大阪で舶来雑貨商を営む新井末吉がドイツ製タオルを入手し、日本でも大いに需要が見込めるとして、泉佐野市の白木綿業者、里井圓治郎にタオル製織の研究を奨励します。里井は、その製織法の研究を重ね、1887年に機械によるタオルの製織に成功します。

その製品をカルキで晒し、日本初の「後晒しタオル」が誕生しました。
これを機に泉州タオルは日本タオル産業発祥の地として今日もタオル製造を行っています。

 

■ 今治タオル – デザインタオルの開発 –

大阪で機械によるタオル生産に成功した後、1894年に阿部平助が綿ネル機4台を改良して作り始めたものが、機械織りの今治タオルの始まりです。当時不況に悩む白木綿業者が次々とタオル産業に投じましたが、この頃はタオル産業が日本中に広まり、今治の産業としては振るわなかったと言われています。

転機となったのは、中村忠左衛門が原糸を先に晒すか染めてから製織する、「単糸先晒縞タオル」という製品を開発し、現在の今治タオルの基盤が作られたことでした。

先晒しは後晒しに比べ手間もコストもかかりますが、綿本来の柔らかさを引き出しながら、糸を先染めすることにより縞柄のタオルを作れるようになります。質・デザインともに優れたタオルは文化織りと呼ばれ、人々から大変人気を集めたそうです。第二次世界大戦では空襲により壊滅的被害を受けましたが、1960年には今治で開発したタオルケットが爆発的に売れ、泉州産地を抜いて日本最大の生産量となりました。

 

■ 泉州タオルと今治タオルの相違点 – 後晒しと前晒し –

泉州タオルと今治タオルの大きな違いは「晒し(さらし)」にあります。
晒しとは、織物や糸から不純物や糊を取り除き白く漂白する工程のことを指します。晒し加工を施すことによって、生産過程で使用する糊が洗い流され、綿本来が持つ吸水性を引き出すことができます。

織物にする前の糸の状態で晒すことを「前晒し」、織り上がった生地を晒すことを「後晒し」と言います。

◇後晒し:泉州タオル
糊が十分に落とされた状態で製品になるので、使い始めから高い吸水性を発揮します。
一方、織り上がった後の生地を晒すため、縮みが起こり、真四角でなくゆがみが生まれやすいという点があります。業務用、日用で使われるタオル作りをしてきたタオル産地だからこその技術です。

◇前晒し:今治タオル
糸の状態で晒してから、染めもしくは織りの工程をします。そのため、先染織物として縞柄をつくれたり、後染織物として単色のタオルを作れたりと、織物として色柄を表現する選択肢を多く持つことができます。
一方で、前晒しは糸を晒した後、製織するために糊付けをする必要があります。織り上がった生地は糊抜きをしますが、使用した糊を完全には落としきれないため、高い吸水性を得られるまで時間がかかります。使って、洗ってを繰り返していくうちに糊が落ちていき、本来の吸水性を発揮していきます。

 

■ まとめ – 比べてみえたそれぞれの特徴 –

日本の二大タオル産地についてあれこれとお話ししました。産地の成り立ちからそれぞれの特徴まで話が広がってしまったため、ここで少しまとめます。

◇泉州タオル
・日本タオル産業発祥の地。業務用、日用のタオルとして発展。
・特徴は「後晒し」。使い始めから高い吸水性を発揮。

◇今治タオル
・デザインタオルを開発。質・デザインともに優れたタオルが人気を集める。
・「前晒し」によって綿本来の柔らかさを引き出しながら、幅広いデザインが可能に。

泉州と今治。同じタオル産地でも、ものづくりには幅があり、それぞれについて知ることで、おのずと特徴がはっきりと見えてくるのではないでしょうか。産地の特徴を知って体感していただき、用途や好みに合わせて自分にぴったりのタオルをみつけていただけたらと思います。