【漆器特集】 「木と漆」 漆器の産地から4つのつくりてをご紹介
温かいお味噌汁が身に染みる季節になりました。もちろん磁器や陶器も良いけれど、漆器で頂く料理もまた格別に美味しく感じるように思います。
うなぎの寝床では特徴や用途も様々な漆器を取り扱っています。今回はそんな漆の器をつくりてごとの特徴を交えながらご紹介してみようと思います。
<つくりて紹介>
●翁知屋(岩手県・平泉町)
●川連漆器 寿次郎(秋田県・川連町)
●ろくろ舎(福井県・鯖江市)
●関美工堂(福島県・会津若松市)
●翁知屋(岩手県・平泉町)
金箔で文様を描く秀衡塗の漆器。料理やお菓子を華やかに引き立てる。
「秀衡塗(ひでひらぬり)」と呼ばれる漆器を制作している翁知屋は、世界遺産「中尊寺金色堂」でも知られる岩手県平泉町にあります。特徴は金箔で描かれる「源氏雲」という雲の形と、菱形の組み合わせで作られる「有職菱文様」です。
滑らかで艶があり、ふっくらとした丸みのある器で、料理やお菓子などを盛り付けると華やかに引き立ててくれます。ご自宅用はもちろん、お祝いや記念品などの贈り物にも最適です。
明治・大正時代、加飾のない無地の「増澤漆器」が主流となり、秀衡椀の装飾技術は一度途絶えますが、翁知屋2代目の佐々木誠さんが秀衡椀の特徴である「金箔はり技術」を研究し、独自の工夫で開発し復活させました。その技術は今も受け継がれています。
◯翁知屋 銘々皿 花塗り 黒
サイズ:直径約15.3×高さ約3.7[cm]
原材料:栃、漆、金箔
価格 :11,000円(税込)
●川連漆器 寿次郎(秋田県・川連町)
シンプルで丈夫。普段使いにぴったりな漆器
秋田・川連塗 寿次郎がてがける、川連漆器のお椀です。加飾のないシンプルなデザインで、日々の食卓にお使いいただけます。一般的な椀よりも高台が高いため持ち上げやすくなっています。
川連漆器は鎌倉時代に、秋田県の川連町周辺で武士の内職として武具の漆塗りから始まり、江戸時代後期に碗、膳、重箱など日用の漆器作りで発展。燻煙乾燥と厚めの木地、堅牢な下地が特徴で、漆本来の光沢と、やわらかなふっくらとした質感があります。
川連漆器 寿次郎は1868年創業。漆器作りは主に、木地作り・下地作り・塗り・加飾の4つの工程から成り、寿次郎は「塗り」の下地・中塗り・上塗りまでの全ての工程を一貫して手作業で行う数少ない工房のひとつです。川連の風土の中で生まれ受け継がれてきた川連の伝統を守りながらも、つくり続けるための模索をし、不易流行の道具づくりに取り組んでいます。
◯川連漆器 寿次郎 小町椀 赤
サイズ:直径約11×高さ約7[cm]
原材料:栃、漆、砥粉、地ノ粉(珪藻土炭化粉)、顔料
価格 :3,850円(税込)
●ろくろ舎(福井県・鯖江市)
「木地師」の視点から生まれる木目を生かしたお椀
福井県鯖江市では、越前漆器と呼ばれる1500年以上の歴史を持つ漆器の製造が盛んです。越前漆器は、木地製作・手塗り(下地・上塗り)・加飾(蒔絵・沈金)と各工程で分業制を敷いています。
その産地において、ろくろ舎の酒井義夫さんは、丸物木地をつくる木地師として技術を磨いてきました。また、従来の製法や造形に捉われないプロダクトを生み出すなど、幅広い世代に漆器の魅力が伝わるような働きかけもされています。
この汁椀を含む「BASE」は、木地師の視点から生まれたシリーズです。拭き漆で仕上げられており、真塗りの漆器だと隠れる木地の美しさや、素材感が活かされています。使い込むほどにツヤが増し、味わい深くなります。木地表面にランダムに筋を入れてあります。
◯ろくろ舎 汁椀乱筋 黒漆
サイズ:直径約10.4×高さ約7.5[cm]
原材料:ミズメサクラ、黒漆
価格 :7,700円(税込)
●関美工堂(福島県・会津若松市)
「日々の暮らしで使える道具」としてのアウトドア向け漆器
関美工堂は1946年に福島県会津若松市で創業。三代目である代表の関昌邦さんは完全分業制である会津漆器の世界にプロデューサーとして関わり、職人らと共に日々の暮らしで使える道具としての漆器とは何か考え生まれたのがアウトドア漆器ブランド「NODATE」です。
敷居が高いと思われがちな漆器ですが、漆器には軽さと強度があり、落としても壊れにくいので、小さなお子様が使っても安心です。アウトドアシーンだけでなく日常で長くお使いいただけます。
ヘラジカの革紐を取り付けられており、携帯に便利なことに加え、洗って乾燥させる際に水切れが良くなるように飲み口が下を向くデザインとなっています。高温のものから低温のものまで入れられます。飲み物を入れて、またスープカップや食器としても利用できるサイズです。
◯NODATE one 紅緋
サイズ:直径約11.5×高さ約7.2[cm]
原材料:栃材、本漆、エルク革
価格 :8,250円(税込)
知っておきたい!漆器のこと
「使うことこそ良い手入れ」
上でも少しお話したように、漆器はなんだか敷居が高くて、お手入れが大変なように思ってしまいがちですが、日頃の食器洗いにほんの少しだけ気を使うだけで末長く使うことができます。
「漆」は漢字に「さんずい」があるよう、水とは切っても切れない関係。「常に使って洗う」ことが良いお手入れです。また木でできた漆器は使ってお手入れすることを繰り返す中で美しい艶がでてきます。使い込むほどに増してくる「味わい」や「愛着」が木の漆器の良さの一つです。
<ご使用・お手入れのポイント>
・通常の食器用洗剤で洗えます。
・長時間のつけ置きはお控え下さい。木と漆が剥離する原因になります。
・洗った後はお早めに水気を拭き取ってください。
・食器洗い機、電子レンジ等、電熱で高温になる中に入れないようご注意下さい。
店頭にて特集中!
今回はさまざまなつくりての漆器をご紹介しました。
ひとえに漆器といっても特徴や用途は様々です。みなさまも好みや使い方に合わせて自分にぴったりの器を見つけていただけたらと思います。
また、ただ今うなぎの寝床 旧寺崎邸にて漆器を店頭に展示しています。ぜひお店にも足を運んでいただき、実際に器を手に取って体感していただけたらと思います。
店頭特集
「木と漆 ~漆器の産地から4つのつくりてをご紹介~」
日程 : 2021年12月9日(木)〜12月20日(月)
※毎週火・水曜日は定休、祝日は営業
時間 : 11:00〜17:00
場所 : うなぎの寝床 旧寺崎邸
住所 : 福岡県八女市本町327