川連漆器 寿次郎
川連漆器は、秋田県湯沢市川連町周辺で約800年前の鎌倉時代に、豊富な木材と漆を利用し家臣の内職として武具の漆塗りから始まり、江戸時代後期に碗・膳・重箱など日用品の漆器作りで発展してきました。川連漆器は燻煙乾燥と厚めの木地、堅牢な下地で実用性に優れているのが特徴で、川連地区を中心におよそ半径2キロの密度で木地師から蒔絵師までが工房を構える産地です。「秋田・川連塗 寿次郎」は1868年に寿次郎さんが創業し、現在2代目の佐藤幸一さんと息子で3代目の史幸さん。漆器作りは主に、木地作り・下地作り・塗り・加飾の4つの工程から成り、寿次郎は「塗り」の下地・中塗り・上塗りまでの全ての工程を一貫して手作業で行う数少ない工房のひとつです。川連の風土の中で生まれ受け継がれてきた伝統を守りながらも、湯沢産の漆や下地の素材である珪藻土に秋田産のものを使用するなど、つくり続けるための模索を続けながら、不易流行の道具づくりに取り組んでいます。