冨岡商店
1970年創業の冨岡商店は秋田県大仙市で樺細工の製造をしています。樺(カバ)は野生の山桜の樹皮の事を指し、18世紀末に佐竹北家により、秋田県北部の阿仁地方から角館に技法が伝えられたのが始まりといわれています。山桜皮をはぎ、表面と裏面を削って薄くしたものを熱したコテで伸ばし成形して、表面に磨きをかけて完成します。樹皮を活かす工芸品のため、どの工程も繊細な熟練技が必要になってきます。山桜の樹皮には、ひび皮、あめ皮、ちりめん皮など12種類ほどあります。樺は強くしなやかな素材で湿気を避け乾燥を防ぐ特質があり、古くは薬籠や煙草入れとして使われていました。冨岡商店では現在、茶筒や箱物、名刺入れなど現代に取り入れやすい生活道具を製作しています。代表の冨岡浩樹さんは樺細工の魅力を多くの方に知ってほしいと、国内には工房近くにギャラリーを設置し、海外にも目を向けドイツの見本市に出展するなど発信を続けています。