石田製帽
株式会社石田製帽は、麦わら材を扱う工場として1897年に創業した帽子メーカーです。米と麦の二毛作が盛んで雨が少ない笠岡市では、明治期、麦わら帽子の材料となる「麦稈(ばっかん)真田」(裸麦のくきを紐状に編んだもの)が農業の副業として発展し、欧米へ輸出していました。石田製帽は、麦稈真田を渦巻状に縫って麦わら帽子を長年つくっています。麦わら帽子の被り心地の良さは素材・ミシン調整・縫製技術で決まります。農業用とファッション用は使う紐の太さが異なり、細い紐を使うファッション用は高い縫製技術が必要です。1980年に農業用からファッション用へ転換した石田製帽は、細紐を縫う高い職人技術で帽子をつくっていましたが販路が限られていました。4代目の石田勝士さんは勤め先を辞めて家業に入り、百貨店へ飛び込み営業を行い全国に販路を開きました。現在は自社ブランドの小売販売も行い、美濃和紙や綿などの素材も使いながら、職人が丁寧に縫製した被り心地のよい帽子をつくっています。