わたから糸へ tamaki niimeの現在地
このコラムは「【八女・福岡】 tamaki niime てんてん 2024秋 “どんどん”」に関連した記事です。
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tamaki niimeの今、ここ
紡績の現場
現在、旧大内邸（八女）とららぽーと福岡店にて開催中の「tamaki niime てんてん 2024秋 “どんどん”」。どんどん進化を続ける「tamaki niimeの現在地」のご紹介として、「紡績」が挙げられると思います。
綿花栽培や国産綿買い取りの取り組みを始めて数年。なんとついに次の一歩として紡績（糸づくり）を始めたとのこと。作綿と播州織というこれまでの活動を結び付けて糸を生み出す紡績の現場をこの目で一目確認したく、私たちは兵庫県西脇市へ向かいました。
“日本でいちばん小さな紡績工場”
tamaki niime初の紡績ラボへは、紡績を担当されている藤原さんと向かいます。ショップ併設のラボから、車で5分ほどの田園風景の中に工場はありました。
藤原さんより「長年繊維関係の仕事に携わってきたけど、おそらく日本で一番小さな紡績工場だと思います」、と。
シャッターを開けると、目の前に大きな機械が並んでいて、藤原さんは小さいと仰っていましたが、ひとつひとつはとても大掛かりな装置のように見えました。
ここで行っている紡績の工程は、大きく5工程。
1. 混打綿（こんだめん） ：原綿からごみや種子片を取り出して解きほぐす
2. 梳綿（そめん・りゅうめん） ：繊維をくしけずって平行に引き揃える
3. 練条（れんじょう） ：むらのない紐状にする
4. 粗紡（そぼう） ：引き伸ばしながら撚りをかける
5. 精紡（せいぼう） ：求める太さにしながらさらに撚りをかけて巻き取る
常に「実験」の繰り返し
同じく兵庫県の姫路市に本社を構える龍田紡績の熊本工場より譲り受けられたというその機械たちは、決して新しいものではありません。現在一般的にはコンピュータ制御で操作する紡績工場が多いそうですが、ここでは沢山のギアを組み合わせるアナログな仕組みで行われています。
「何百通りもの設定ができる中から、いろいろ試しながらやってみています」と分厚い説明書をめくりながら一通り工程の説明をしてくださいました。
最後に、糸になった段階で、それが設定通りの番手の糸にできているかどうか、秤で重さを測ることによって確認します。最近つくった糸を試しに測ってみたところ、残念ながら規定範囲を超えてしまっており、「いや～紡績は難しいねえ！」と笑いながら話してくださった藤原さん。まだまだtamaki niimeの紡績は、壮大な実験過程のようです。
tamaki niimeというストーリーを届けること
練条工程の説明では、「新雌さんからは、表情のある糸がいい。きれいな糸はうちはいらない、と言われています」と仰っていて、通常であれば均一化された状態にするために4回ほどくり返す工程を2回にしているそうです。素材の風合いを大切にしながらイッテンモノを産み出しているtamaki niimeらしい考え方がここにも宿っていることを実感し、その糸から産み出される作品がとても楽しみになりました。
また、最後に藤原さんが「このラボでつくられた国産糸を使ったショールは恐らく店頭に並ぶ時は数万円になると思うけど、それでも利益は恐らくほとんどない。そんなことで会社は動いてないと思う。だからこそ、tamaki niimeというストーリーとともにそのショールはお客様の手に渡るといいなと思っています。」と話してくれました。
今回の訪問では、どんどん進化する「tamaki niimeの現在地」として紡績の現場をみせていただきました。これまでの常識を当たり前とせず、スケールの大きさにも怯むことなく、自分たちが本当にいいと思うあり方を探るために、大胆に軽やかに真っ向から取り組むtamaki niime。その活動は、思っていたよりもずっと実直で、スタッフ一人ひとりのコツコツとした努力と思いと挑戦の積み重ねによって、進化し続けているのだと実感できた訪問となりました。
そんなtamaki niimeの作品たちが、期間限定で八女（旧大内邸）・福岡（ららぽーと福岡店）にたくさん届きます！ぜひ、この機会に手に取っていただき、一緒にそのストーリーに思いを馳せてみませんか。店頭でお待ちしています！
渡邉・神田
tamaki niime てんてん 2024秋 “どんどん”
白城の里 旧大内邸
営業 11:00〜17:00
休み 火・水
住所 福岡県八女市立花町白木3245
電話 0943-35-0415うなぎの寝床 ららぽーと福岡店
営業 10:00〜21:00
休み 施設休業日に準ずる
住所 福岡市博多区那珂6丁目23-1 1F
電話 092-586-7860
