【企画展】裏山の石から生まれる 緑のガラス工芸展 – 萩ガラス工房の取り組み –

家にあるガラスのコップが何からできているか知ってるかい??

山口県萩市の萩ガラス工房では、工房の裏にある笠山の石英玄武岩を砕いて溶解・精製し、コップや小鉢、醤油差し、花器などのガラス工芸品を一貫生産している。初めて工房に伺った際、到着して早々ホワイトボードが出てきて代表の藤田さんによる化学講義が始まった。化学の基礎・萩の歴史・土地性をおさえ、他にないガラス工芸を生み出す事に挑戦している。工房設立は平成4年、萩では江戸時代の末期からガラス製造をしていた歴史があり、その歴史を古文書から紐解き途絶えてから145年余りの時を経て現代の技術で復元した。萩ガラスを特徴づけている要素の2つに原料と色がある。笠山の石英玄武岩はカリ(K)の含有量が多く、ガラス成分が初めから65%ほど含まれていて必要以上に余計な添加をしなくても硬質で良いガラスができる。石の中のガラス成分が85%以上になると透明度が出てきてガラスと呼ばれ、一般的な石にも40~50%ほどのガラス成分が含まれているが65%は多い方である。また、ガラスの緑色は天然の原石に含まれる鉄分(Fe)の色である。透明にするには、Co/コバルト(青)、Cu/銅(赤)を添加して調整することで、光の三原色の原理により透明なガラスができる。溶解時の酸化・還元状態により色の雰囲気が変化し……、耐熱ガラスは熱膨張係数が……
化学の話ばかりでだんだん小難しくなっていきそうですがなんてことはありません、国産原石が主原料の硬質で丈夫なガラス製品の取扱いを始めましたというお知らせです。春口

ガラスについて

一見同じに見えるガラスにも、カリガラス、ソーダガラス、クリスタルガラスなど原料の違いで種類があり、融点や硬度、加工のしやすさが変わってきます。細かく分類するとさらに種類はあります。用途に合わせてその原料の配合が変わり、食器用、ビーカーなどの理化学用、シャンデリア・オブジェといった装飾用などが作られます。一般的に見かけるガラス食器はソーダガラス(溶解温度1200~1250℃程度)が多いですが、萩ガラス工房ではカリガラスと呼ばれる約1520℃の超高温度域で溶解するガラスで製作しています。融点が高いのでわずか30秒程度で硬化が始まり、素早い加工技術の繰り返しが必要ですが、硬くて傷つきにくく、丈夫なガラス食器が作れます。

展示・販売品

淡い緑色の【玄武岩ガラスシリーズ】、
3層構造で内側にヒビを封じ込めた【内ヒビ貫入ガラスシリーズ】
高杉晋作愛用復刻 萩切子ワイングラスなど

【萩ガラスの通販】
https://shop.unagino-nedoko.net/?mode=grp&gid=2081924

裏山の石から生まれる 緑のガラス工芸展 -萩ガラス工房の取り組み-

会期: 2019年8月2日(金)~2019年8月18日(日) →9月1日(日)
会場:旧寺崎邸2F
時間: 11:30-18:00
休み:火曜・水曜
住所:福岡県八女市本町327
電話:0943-24-8021

 

大人のための化学講座・ガラス工芸編 「ガラスは何から出来ている?」
-地元の石英玄武岩で萩ガラスを復活させた藤田さんに聞く-

開催概要

日時 2019年8月3日(土)
時間 14:00-15:00
場所 うなぎの寝床 旧寺崎邸
参加費 500円(冷茶付き)
定員: 20名(要予約)
予約方法 当日はお電話のみの受付となります。(0943-24-8021)

講座について

1992年に萩ガラス工房を立ち上げ、地元産の石英玄武岩からガラス製品をつくる藤田洪太郎さんは、ガラス工房からイメージするような職人やデザイナーというよりも「技術者・科学者」に近い、日本におけるガラス作りの第一人者です。

国内のほとんどの工房やメーカーが、業者から購入したガラス原料のカレットを溶かして加工することが当たり前の中、自身のファインセラミックス分野でのキャリアの中で、化学の理論上、地元の石英玄武岩からもガラスが作れるはず、と確信した藤田さん。
地元萩に帰郷し、研究と実験を繰り返しながら、本当に一から純萩産ガラスを生み出したのです。

今回、私たちが萩ガラス工房で藤田さんにしていただいたガラスの化学レクチャーが、とにかく分かりやすくて面白すぎたので、より多くの皆さんに聞いていただける機会を作りたい!というそのままの気持ちで企画しました。

化学はガラスに限らず、陶磁器・染色・金物・花火などあらゆる分野のものづくりで登場します。教科としては化学は苦手でしたが、身近な道具にここまで関わっていると思うと、一気に親近感が湧きます。根本的なところで理解するには、避けて通れない分野なのです。

そういえば「ガラス」ってなんだ?と思った方、職業でものづくりに関わっている方、0→1を生み出す藤田さんの思考回路が知りたい方、ご参加お待ちしております。

ちなみに基礎的なところはネットでも勉強することができます。専門的なところまで藤田さんにお聞きいただける良い機会ですので、下記のサイトでの事前学習もおすすめします。もし事前にお聞きになりたいことがあれば、予約フォームにてお書きください。お申込みお待ちしております。渡邊

【事前学習おすすめサイト】
http://www.glass-kougeihiroba.jp/arekore/
http://www.hagi-glass.jp/

プロフィール

萩ガラス工房 代表 / 藤田 洪太郎 Kotaro Fujita
1944年萩市生まれ、近畿大学理工学部卒。京都でセラミックス関連の会社に勤めた後、1986年に仲間と滋賀県で日本特殊セラミックス株式会社を設立。萩に帰郷後1992年には萩ガラス工房有限会社を設立。幕末の萩で考案された萩ガラスを復興させるとともに、オリジナルガラスの製造に取り組んでいる。

 

 

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