【地域のこと】いのししハンターたちの日曜日② 命と対峙する瞬間 / Yame Gibier Month 06

【地域のこと】いのししハンターたちの日曜日② 命と対峙する瞬間 / Yame Gibier Month 06

(HPブログ:http://bit.ly/2DZqY3I
山奥から里に下りてきて、大好物の果物や芋類をたべ、エサ欲しさに畑を荒らしてしまう習性のあるいのししたち。少しでも農業被害を減らそうと、毎週日曜日に猟に出ている森のレンジャー集団「猟友会」の皆さんに同行させてもらいました。
前回(http://bit.ly/2EF1lX0)は、ほとんどいのししの痕跡探しで終わりましたが、ようやく有力な手がかりを発見!いよいよ猟の本番がスタートです。
いのしし猟には、箱型のワナを仕掛ける「罠猟」もありますが、猟友会の皆さんはライフルで仕留める「銃猟」を行なっています。猟犬2匹と人間8名という、大人数で行うのは、5チームに分かれて山をぐるっと囲み、どこに逃げても仕留められるようにするため。
今回私たちは、普段はアイス製造販売のお仕事をしている、城後一彦さんに同行させてもらい、道路から少し奥に行った山の中へ。いのししは音や匂いにも敏感なため、人間の気配をできる限り消して(できていたかは定かではありませんが)、ひたすらじっと待ちます。
5チームに分かれているので、こちらに逃げてくる可能性は単純に考えても5分の1。それでも遠くで猟犬のハウンドたちが、いのししを見つけて吠えているのを聞きながら、山の空気が緊張感で震えるのを感じるのはそれだけで貴重な体験でした。
じっと潜んでいると、最初は山がとても静かに感じましたが、だんだんと鳥の声とか木のざわめきとか、とても賑やかなのに気づきます。そんなときに車が近くの道路を通ると、びっくりするほどの大きな音に感じました。森の生き物たちも、普段から「うるさいな〜」と思っているのかもしれません。
そんなことを考えていると、ふと猟犬たちの吠え声が、近づいてきました。すぐ反対側の山にいるようです。城後さんもライフルを構えています。これは・・・もしかしてこちらに逃げて来ているのか!?取材チームにも緊張が走ります。
すると山の斜面をドドドドドッと駆け上がってくる、いのししの群れが現れました。家族連れなのか、小さい子供のいのししもいるようです。「猪突猛進」とはよくいったもので、右から左で怒涛の勢いで駆け抜けていく中、パンっ!パンッ!パンッ!と数発の銃声が響きます。
銃声を聞くのは初めてでした。すごく大きな音で、空気の振動まで感じるほど。体が動かなくなるような感覚でした。
銃声が静まり、いのししの群れがかけていく音も遠ざかっていくと、また森に静けさが戻り、一匹のいのししが横たわっていました。どこに弾が当たったのか、まだ苦しそうに動いています。城後さんがトドメの一発を打つと、ぱたっと静かになりました。
目の前で、さっきまで生きていた生き物が撃たれ、死んでいく。いのししの気持ちになれば、群れの気持ちになれば、「かわいそう」という気持ちも湧いて来ました。
と同時に、私が昨日も食べ明日も食べるであろうお肉は、こうして生き物が殺されて、初めて食べられているというのも事実。目の前の生き物だけに「かわいそう」と感じ、見えないものは考えもしない、というのも偽善的だなとも思いました。
食べ物と向き合うということは、こうして命が消える瞬間と向き合うということ。現代の生活では、なかなか知ることのできない、肌感覚での経験。目の前で見せていただくことができて、とても重く大事な瞬間だったように思います。
そしていただいた、いのししの命を、より美味しくありがたく頂かないといけない、ということも改めて感じました。来週の「いのししハンターたちの日曜日」では、ただ殺すだけではなく、それを美味しく調理し食べてもらうためのハンターたちの取り組みを紹介します。渡邊∈(゜◎゜)∋ ウナー

読み込み中…