【企画展】福助さんて、何者?
うなぎの寝床2階で開催中の津屋崎人形展。展示している人形のなかに、「福助」さんが3人いらっしゃいます。
誰もが一度は見たことがあるであろう、日本のラッキー・キャラクター福助さん。しかし、彼はいったいどのようにして誕生したのでしょうか?筑前津屋崎人形巧房さんよりご紹介いただいた『福助さん』(荒俣宏・編著、筑摩書房、1993年)という本に依って、その由来を調べてみました。
と気楽に言いましたが、実のところ福助さんの起源はなかなか深いものでした。ここではかいつまんでご紹介しますので、ご興味のある方はぜひこの『福助さん』をお読みいただければと思います。
福助というキャラクターの成立は、江戸中期後半の可能性が高いようです。福助さんの裃を着る習慣、座布団をしいて正座する習俗、扇子の使用などは8代将軍吉宗の時代よりも前にはさかのぼらないと考えられています。その背景には禅や小笠原流作法の市民層への普及があり、また、福助に関するきわめて古い文献も、このあたりの時期に求められるようです。
しかしながら、この福助についての伝説はいくつもあり、どれが発祥かはわかっていません。とはいえ、いずれも「頭が大きく、背の低い男が真摯な商売をし、店を繁盛させた。それにあやかるようにと人形が作られ、祈られるようになった」という点では共通しています。特徴的な体つきで、熱心に商売をした男性がモデルであることは間違いないようです。
現在の福助の顔はたいてい子どもの顔をしていることについても、いくつか理由が考えられています。例えば身長が低いことから、天使やビリケンなど、子どもの姿をした西洋由来の神が影響したということ。また、日本の「福子(ふくご)」についての伝承が関係してきたということ。後者の伝承は、さまざまな理由で健常に生まれなかった子がいる家庭は、その子のおかげで裕福になるといわれたというものだそうです。両親や一家じゅうがその子のために団結して働くので、自然に裕福になるということなのでしょう。こうした子を、一家に福をもたらすから福子とか福助と呼んだそうです。
荒俣宏によると「つまり、子ども顔の福助は、福をめぐんでくれる大店の店主にはじまって、福を呼びよせる身内の福子に終わる、とても幅ひろいイメージが重ねられていることになる」。いずれにしても、福助は「真面目に働くことが福を呼ぶ」ということの象徴的な存在となってきたといえるでしょう。当然のことかもしれませんが、だからこそ忘れやすいことを思い出させる存在として、数百年間親しまれてきたのが福助さんなのですね。自戒をこめて。岡本
福助 左うちわ羽織
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福助 手つき裃
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福助 お年寄り羽織
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◉企画展情報◉
日程:12月 8日(木)〜12月11日(日)
12月15日(木)〜12月18日(日)
時間:11:30〜18:00
内容:筑前津屋崎人形巧房の人形展示販売会
節句人形受注会
場所:うなぎの寝床 2階
通販→http://shop.unagino-nedoko.net/?mode=grp&gid=898401&sort=n