【雑感にょろり】循環する資源 サステイナブルな杉の粉線香
【雑感にょろり】循環する資源 サステイナブルな杉の粉線香
材料と土地の強い関係性。江戸時代から続く八女の林業。
伝統工芸と言われる「ものづくり」がその土地で根付くためには、原料・技術・需要などの様々な条件がありますが、特に原料に関しては、今のように流通が発達していない時代だったからこそ土地との深い結びつきがあります。今でも材料を100%地元で作っている工芸品はそれほど多くはありませんが、杉・檜などの木材は今でも地元のものが使われています。特に江戸時代、久留米藩・柳川藩は「山奉行」を置き、松や杉の植林を奨励していたそうで、今でも八女の林業では、民有林の8割強を杉が占めています。
自然の循環型ものづくりモデルの一つ、杉の粉線香。
そんな地元に根ざした伝統的な循環型モデルの一つが、馬場水車場の「杉の葉線香」。現代のお線香は、海外産の安価な粉を使い、少量だけ国内の杉粉を使い「国内産」と称し、香料・着色料を加えたもの。しかし元々は、純国産の自然の産物だったのです。馬場さんのところでは、伐採された杉の木の残った葉を拾い集め、火室で乾燥させ、矢部川の水の力を用いた直径5.5mの水車の動力で、15本のつき臼でお線香の原料となる杉粉を作っていくのです。
サステイナビリティのお手本でもある馬場水車場。現代社会に問う。
「うちは森のお掃除屋さん」と語る馬場さんのお仕事は、有限の資源を使い切る消費型の現代社会の中で、大きなインスピレーションです。特にサステイナブル(持続可能)な考え方に基づいた生き方やものづくりに関心のある方が来られた時など、なるべくお連れするようにしています。先日来たオランダからのグループも連れて行ったらとても感激していましたが、同時にもう日本で数件(八女と日光)しか残っておらず、どこも後継者がいないため、あと10年以内に国内の杉粉は全て失くなるかもしれないという話に衝撃を受けていました。これは作り手だけではどうしようも無い問題です。私も八女に来るまでお線香の原料について考えた事もなかったので人のことは言えませんが、いかに消費者が身近なものに関心を持ち、原料や産地についての知識を持つかということは、地球の資源を使って生きている以上は必要なのではないかと思います。渡邊
【馬場水車場 杉の粉線香】
通販:http://bit.ly/1VJs2yC
【参考資料】
八女杉について:http://lohas-home.com/area/2012/11/yame-sugi.html