【日々のこと】インド、グアテマラの布から、 久留米絣の商品的価値を考える。
インド、グアテマラの布から、
久留米絣の商品的価値を考える。
グアテマラの布でも、インドの布でもそうなのですが、わりと織りの風合や糸の太さにすごく気を使うという感じの布ではないことがわかります。どちらかというと装飾の美ですね。そういう分野では、やはり手間を惜しまずやる必要があります。日本においては、もう発展途上国ではなく人件費も高騰していて、織りを生業にし、平均的な収入を得て生活をしようと思ったら、そこまで手のこんだ布をつくることは不可能に近いと思います。つくれる可能性があるのは、ものすごく高く売れる市場価値があるものを作り出せる人か、世捨て人かです。なので、産業としてそれができるとはあまり思っていません。装飾の部分に関しては、伝統的な風習や文化記録として作り続ける必要はあるとは思いますが、生活用品としてのアウトプットはできないと思います。逆に芸術的な領域ではまだ勝負できるとは思いますが。
逆に、僕は質感の追求に関しては、日本人が商品価値としてまだまだ通用する領域なのではないかと考えています。今は日本のいい職人さんが海外指導などもしているので一概には言えませんが、日本人独自の繊細な感覚は通用すると感じました。こういう風合を出したいから、こういう糸番手を選び、こういう工程を踏んで、こういう織りの強さにし、最後の仕上げを決める。その一貫した姿勢みたいなものは、日本人独特のものなような気がします。単なる白生地をつくる、紺の生地をつくる中にも、幾通りもの可能性が隠されていて、それを探し当てる技術や感覚は日本人はあると思っています。
この機械織りの化学染料染という久留米絣をうなぎの寝床は、オリジナルのもんぺや服に採用しています。その中でも無地が多いです。絣柄をオリジナルにあまり採用していないのは、着にくくなるからです。あくまでも質感を感じてもらえるベーシックなアイテムとして、買える値段で提供したいというところからの決断です。ぜひその着心地を体感してもらいたいと思います。これからの時期は本当に最高です。
久留米絣の見本帳を作成中
できるだけ大きな布で、記録していきたい。
二年前ほどから、久留米絣でもんぺを作り始めました。僕らはもともと売ることが主の目的ではない。と書いてしまうと語弊がありますが(売らないと生活できない)、やはり研究的な領域をやっていきたいと思っています。今までもんぺにした柄を少し余分にとっておいて、40cmに切って保存していくという活動を去年の半ばくらいからはじめました。糸の番手や、価格(ここでは公表できませんが)などをメモしておいて、またこの生地をつくりたいという時に、しっかりと復刻できるようにするレシピのようなものです。織元には縞帖などがありますが、小さくてみにくいので、思い切って生地幅でしっかりと保存する試みをはじめたのと、僕らはいくつかの工房さんとおつきあいがあるので、様々な柄をストックできると考えたからです。そんなこんなで、少しずつ柄が増えていき、今からも増えていく予定です。どこかの美術館などでダーッと並べて展示したいなーとも思っています。どうぞお楽しみに。興味ある方はペラペラとめくって見てください。