【暮らし】散歩で拾う櫨(はぜ)の実。和ろうそくの原料。
櫨(ハゼ)の実を知ってるかい?
和ろうそくや化粧品の原料なんです。
僕は今、うなぎの寝床から車で15分程度の旧八女市の端っこあたりに住んでいます。家の回りは雑木林で、裏には神社があって、たまにその辺散歩します。いろんな植物などが生えていたり、落ち葉が落ちていたりするのですが、神社へ抜ける道の頭の上の方に写真のような実がたくさんなっている木があります。何の木かわかりますか?櫨(ハゼ)という木の実です。櫨の木はウルシ科ウルシで、落葉小高木です。夏には青々とした細長い葉っぱをつけ、冬には枯れ実だけになります。
筑後地域の人にとっては、嫌な思い出の象徴?
ウルシ科なので、ハゼまけを起こす。
筑後地域にお住まいの方に、櫨のことを話すと「あー、小さかころ(小さい時)、ハゼ負けして大変やったー。」という方が多いです。櫨はウルシ科なので、夏の間は触れたりするとカブレルことも多いようです。梅雨時期などに櫨の木の下を通って、雨を受けてカブレタという話しはよく聞きます。これは、どうしようもない悪夢としての思い出で、それを引きずっている方も多いです。しかし、カブレルのは夏の時期が中心で冬になり葉っぱが落ちて実だけの状態になると、実に触れても大丈夫です。逆にいうと、そうでないと実の収穫なんてできませんね(笑)。
この実がどうなるのか?
希少仕事である、実を千切る人と、蝋に精製する工場。
化粧品の原料、瓶付け油、和ろうそくへと形を変える。
今は、この櫨の実から櫨蝋(はぜろう)が精製されます。その蝋を精製する技術を持っている工場は全国にもう3件しかありません。その一つが福岡県みまや市荒木製蝋所です。櫨の実に含まれる蝋(皮と種の間の綿のような部分に蝋分が含まれる。含まれるといってもジュワーっと出てくる訳ではなく、実を指でゴリゴリとすりつぶしてみても「あ、蝋分あるかな?」というぐらいである)を薬剤を使って抽出します。玉締めと呼ばれる原始的な抽出方法もありますが(長崎の方で行われている)、ほんのスコーシしかとれません。そして、その蝋は固められ、欧米の方に化粧品の原料として輸出されたり、瓶付け油に使われたり、和ろうそくに使われたりしています。
需要はしっかりとあるらしいのですが、実を千切る「ちぎり子」さんがいなくなっているようです。櫨の実をちぎる仕事は、昔は農閑期の仕事だったようです。しかし、今は労働として結構大変なこともあり、実をちぎる人が減って、また櫨の木もどんどん切られていっているようです。昔はこの八女地区も茶畑の間に櫨の木がたくさんあったという話しも聞いています。
どうにかしたいという気持ちはあるのですが、まだ仕事としてしっかり僕らが関われる仕組みをつくれてないので、どうにか接点を持てる方法を考えないとなーと思っています。櫨の話しでした。
白水