【つくりて訪問記】宝島染工・前編|ブレない強みの裏側。保ち続ける「精度の高さ」のヒミツ

うなぎの寝床では、MONPEの型を用いながら、宝島染工のさまざまな染色技法を施したMONPEを制作し、実際に穿き比べていただくことで、その違いや魅力を伝えてきました。

この春、新たに登場した、宝島染工の現代風MONPE「THORN」
染めの技法による表情の違いを見比べながら、実際に穿いて体感してもらえるよう、宝島染工とともに制作した一着です。

いつも斬新でありながら、繊細で緻密な模様を生み出す宝島染工の染め物は、どのように仕上がっているのでしょうか。
今回は、うなぎの寝床で販売予定のMONPEを実際に染めていただいている工房へ、お邪魔してきました。

 

代表・大籠さんが自ら、染め作業中

4月某日・午前中。
染めの工場へ伺った時にはすでに大籠さんともう1名のスタッフが作業の真っ最中でした。この日染色されていたのは、うなぎの寝床でも定番人気のMONPE藍 板締め藍 手絞り格子

数cm単位の決められた幅で、規則正しく折られた白もんぺがずらりと並んでいる様は、清々しく、美しい。
これから大きな儀式(セレモニー)が執り行われるかのように、工場の片隅にそっと佇む白もんぺたちは、自らの門出を迎えるかのように「キュッと」身を正して、染めのデビューに備えて待ち構えているかのようです。

白いもんぺが藍色に変わる、この瞬間

まるでマジックショーを見ているかの如く、瞬く間に白から藍色へと白いもんぺが変貌します。その見事な変貌ぶりに、思わずため息がもれます。

藍の色を定着させ、宝島染工らしい色味に仕上げるまでには、何度も藍甕(あいがめ)の中にもんぺを沈めては、頃合いを見計らって取り出すという工程を繰り返します。この日のもんぺは、3回ほどその作業が繰り返されていました。はじめは薄い青色が回を増すごとに藍の深みのある青に染まっていきます。

板締めMONPEは、折りたたんだMONPEを2枚の板で挟み、強く締めることで生まれる圧力によって染料の浸透に差をつくり、藍の文様の出方を変化させながら染め上げる染色技法です。そのため、藍の色が濃く現れる部分、うっすらと藍が重なる部分、そして白がそのまま残っている部分との組み合わせやバランスによって、独特の模様が生まれ商品一点ごとに異なる表情が生まれるのも魅力です。

染めのキホンは「背中で絞る」

藍は酸化によって染まっていくため、それほど長い時間、藍甕に浸けている必要はないそうです。
「1回の染め時間は、1分から1分半くらい」と、大籠さん。
藍に浸す時間が長いほど色が浸透していくのかな?と思いがちですが、実際はまったくそうではありません。

藍は、染液に浸している間ではなく、甕(かめ)から引き上げて空気に触れることで酸化し、少しずつ青く発色しながら染まっていきます。1回目より2回目、2回目より3回目と、回数を重ねることで、藍の青はさらに深みを増していきます。こうした現象も、現場で大籠さんの作業を見ながら、一つひとつ教えていただく中で知ったこと。

手作業で藍染めを進めている過程を見ているうちに、ふと、疲労感による作業差ってでるんじゃないだろうか、という疑問が浮かび上がり尋ねるとーー

身体の使い方にもやはりコツがあるようです。例えば30枚染めるとして、手だけで染めてしまっていると、1枚目と最後に染めたものとでは、染めの出方が明らかに異なるそうです。手だけで染めるものではない、全身で染め、背中で絞る。それが、染めの流儀・基本なのだとか。

—–後編へ続く—–

オンラインショップ 上山

 

今年2026年の新作コラボMONPEは、こちら

MONPE 宝島染工 墨 柿渋 ミロバラン THORNは、藍染の様々な技法を草木染めで行った応用編です。MONPEのサイズ感にあわせて模様の原案から調整されたそうです。
棘(とげ)という意味の「THORN(ソーン)」は、んぺ生地をプリーツ状に細かく折り畳み、柿渋のみで染めるパートと、墨とミロバランを合わせた染料を用いるパートを組み合わせ、プリント技法を応用しながら染め上げることで、棘のような模様を生み出します。 

〇今回の技法

墨 ミロバラン 手絞り手捺染

手で折りたたみ絞った生地に、柿渋、墨とミロバランを配合した染料を線状に手捺染していく技法です。ベースには、柳絞り染めの技法を使用し、さらに柿渋のみ、墨とミロバランを配合した染料と染め分けし、手捺染の応用で棘を表現した後、鉄媒染で仕上げています。墨にひよこ豆の粉を混ぜて適度な粘度をもたせることで、針で描いたようなシャープな線を生み出しています。

〇今回の新作で使用している染の原料 ~宝島染工HPより引用

ミロバラン/インド・ビルマ原産:
モモタマナ科の樹木で、実を染料として使用しています。ピロガロールタンニンと云う色素を含みます。

墨:
日本人には書道や水墨画で馴染み深い墨は松など油分の多い木と菜種油などの油脂を不完全燃焼させて得た煤と膠(動物の骨や皮に含まれるゼラチン質状のもの)を練り合わせて作ったものです。墨が染料に用いられはじめた時期は不明ですが、布を染めたのは室町時代以降であると言われています。墨汁の濃度によって仕上がりをコントロールし、色の濃淡を表現します。

その他、柿渋も今回のMONPEには使用されています。

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