【シリーズ紹介】 山と暮らしをつなぐ器「ヤマオウリョウキ」
山で使うアプリの開発や、様々な企業と組んで環境保全などにも取り組んでいる「YAMAP(福岡市)」と「うなぎの寝床(八女市)」が「山」をテーマに、作り手と一緒に日本のものづくりを考える「山×ものづくりプロジェクト」。
プロジェクトの第一弾として、応量器(オウリョウキ)と呼ばれる禅宗の修行僧が使用する入れ子になる漆器に着目しました。収納性に優れ、持ち運びしやすく、道具としての佇まいは程よい緊張感があるものです。これを山の道具として再考したのが「ヤマオウリョウキシリーズ」です。
<POINT>
●「山と暮らしをつなぐ器」
●クッカーの中に収めて持ち運びできる
●普段から応量器をつくる木地師だからできるギリギリを攻めた寸法
<ヤマオウリョウキシリーズの紹介>
ヤマオウリョウキシリーズは3種類あります。
それぞれについて詳しくは上のリンクからご覧ください↑
「山と暮らしをつなぐ器」
ヤマオウリョウキシリーズは登山などのアウトドアと日々の暮らしの間を行き来しながらお使いいただけます。
家用の食器とアウトドア用の食器とを分け隔てずに、日常で使う器を山でも使うことができると、山を暮らしと地続きなものとして、身近に感じることができるのではないでしょうか。
クッカーの中に入れて持ち運びできる
荷物を多くは持っていけないアウトドアや登山で重要となる「パッキング」。
山やキャンプに行き調理をする時は、調理道具であるクッカーの中にガス缶を収納して持って行くことが多いです。そこで、「クッカーに収納できる」を念頭において設計を考えました。
※全種類をクッカーに入れると、クッカーの蓋は少し浮きます。
普段から応量器をつくる木地師だからできる
ギリギリを攻めた寸法
【つくりて:我戸幹男商店】
ヤマオウリョウキの製作をお願いしたのは、山中漆器の産地である石川県加賀市山中温泉の我戸幹男商店(がとみきおしょうてん)。山中漆器は木地加工の高い技術による「薄挽き」が得意で、素材となる欅の木目を活かした塗り技法「拭き漆」で仕上げます。
我戸幹男商店は、伝統的な山中漆器を受け継ぎ、天然の木目を活かすごまかしの利かない木地作りの精度と、塗りの高い技術で、実用性がありながらも美しい漆器をつくっています。我戸幹男商店の、「轆轤挽き物(ろくろひきもの)」の技術で、軽量で収納性、携帯性に優れ、且つ屋外でも使える漆器を作りました。
「ヤマオウリョウキ」のシリーズは、横方向の力に強く、木地の歪みが出にくい「縦木取り」と呼ばれる方法を採用しています。木地は普段から応量器を製作している木地師に依頼し、クッカーの中にも収まるギリギリを攻めた寸法を実現しました。
ー山中漆器についてー
山中漆器の歴史は安土桃山時代に伝わった「轆轤挽き物(ろくろひきもの)」の技術により、木地挽きを生業とした木地師(きじし)たちによって基礎が築かれました。江戸時代の頃に伝わった「塗り」や「蒔絵」の技術で、茶道具を中心とした塗り物の産地としても有名です。
photo: Koichiro Fujimoto
・「薄挽き」の高い技術で実現した、精密な重なり
・強度があり、収縮や歪みに強い「縦木取り」
Photo: Koichiro Fujimoto
パッキングには「ヤマフロシキ」がおすすめ
ヤマオウリョウキの収納には中身に合わせて自在に形を変えられる風呂敷がおすすめ。山をモチーフにした「ヤマフロシキ」は大分県国東市の型染という技法をベースにデザインする「よつめ染布舎」の小野豊一さんに2柄をデザインをしていただき、京都府の「馬場染工場」による手捺染で作り上げています。