萱澤商店

奈良県は降水量の少ない土地柄から、古くから木綿栽培が発展し、副業として機織りが盛んに行われました。明治初期からは海外との貿易活発化によって安価で良質なインド産コットンが流入し、奈良での綿花栽培は衰退。同時に、近代的な紡績技術が導入される中で、アメリカ製の靴下編機が持ち帰られ、靴下生産が始まりました。現在では、国産靴下の約60%を生産する一大産地となっています。萱澤（かやざわ）商店は、こうした産地の糸商として1948年に創業。紡績メーカーの糸を靴下工場の希望に添うように加工するなど、差別化された糸でメーカーのものづくりを支え、現在に至ります。2014年には、3代目の萱澤有淳さんと妻・良子さんで自社ブランド「saredo」を立ち上げます。国内の紡績工場で出た落ちわたを100％使用した靴下やニット帽などを展開。環境負荷だけではなく、見た目と使い心地の良さにもこだわったプロダクトを通して、昔から丁寧に作り上げてきた靴下工場の期待に応えるものづくりを続けています。