【新商品】 Farmers’ MONPE クリエイティブチャレンジ No.3 絣産地交流

久留米絣の可能性に挑戦し続けるMONPEシリーズ
“久留米と伊予” 絣産地の交流

第11回もんぺ博覧会 in 愛媛・大洲の開催に合わせて、愛媛の絣「伊予絣(いよかすり)」を伝えるためのもんぺを製作しました。昔ながらのゆったりとしたシルエットのFarmers’ MONPEです。

「絣(かすり:英名 ikat)」と呼ばれる織物は、インドを発祥として世界各地で取り組まれているものづくりの一つです。日本国内においても久留米絣、伊予絣、備後絣など、各地で行われてきた背景があります。しかし、現在ではその多くが生産数の減少やライフスタイルの変化などによってなくなりつつあり、”産業”としてものづくりが行われている絣産地は、世界的にみても久留米絣のみとなっているのが現状です。

クリエイティブチャレンジNo.3では、久留米絣を通して伊予絣を知り、関わるきっかけを生んでいきたいと考えています。現在も伊予絣を製造する白方興業に協力いただき、収蔵されている伊予絣の生地アーカイブから柄を探し、その柄を現代の久留米絣でどのように表現できるかを織元と一緒に考え、形にしました。生地製作は久保かすり織物にお願いしています。

かつて久留米と伊予の絣産地交流は盛んで、お互いに人も生地も行き来していたと聞いています。伊予絣の柄を参考に、久留米絣で反物を生産していく。そういった形で現代における産地間交流もあり得るのではないかと考えました。伊予絣を伝えるために、久留米絣を通して何ができるかを模索していきます。

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左:170cm / Lサイズ
右:158cm / Sサイズ

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伊予絣ってなに?

伊予絣(いよかすり)は、現在の愛媛県松山市周辺でつくられてきた綿織物です。

伊予の地では、江戸時代中期には綿花栽培が瀬戸内海沿岸に広まり、農家の副業として伊予結城(伊予縞)と呼ばれる縞木綿が生産されていました。

その後江戸時代後期に、農家生まれの女性 鍵谷カナがくくりによる絣模様を考案し、伊予絣が生まれます。次第に生産量が増し、明治39(1906)年には、絣の生産量で日本一になるほどに発展します。久留米絣、備後絣と並ぶ「日本三大絣」に数えられ、庶民の日常着や布団生地として広く使われました。

 

【過程と工程】 なぜこの柄なのか?

「?」から伊予絣の風景を想像する

私たちうなぎの寝床は10年近く「久留米絣」に関わってきました。そして、愛媛・大洲市に拠点を構えた今、その土地で続いてきた「伊予絣」のことももっと深く理解していきたいと思っています。

少ない手がりの中で、白方興業の生地アーカイブを見させて頂き、マダラ模様の糸を使った縞やチェックの柄をいくつか見つけました。くくりで染め分けた糸を不規則に使っているのか、実際どのように作っているのかは現段階では分かりませんが、明らかに意図を持って試行錯誤が繰り返されているように伺えます。

久留米絣でも同じことはできますが、ここまで多様な表現はなく、久留米絣産地ではあまり見ない模様だと思いました。 真相はまだまだ謎に包まれていますが、「わからないからこそ、伊予絣があった風景を想像できるのでは」と考え、この柄を選びました。

今回選んだ生地サンプル

 

【過程と工程】 どうやって表現したのか

選んだ「伊予絣」の柄を「久留米絣」で表現するために、久保かすり織物に製作を依頼しました。謎に包まれたマダラ模様の糸。くくりによって染め分けた絣糸を使っている可能性もありますが、今回は「注染(ちゅうせん)」で染め分けた糸で再現しました。

「注染」とは言葉が示すように、染料を「注ぐ」ことで糸や生地を染める技法です。今回使用した糸を製作する筑後染織協同組合では、近代的な注染の技術が取り入れられています。機械上のチューブから染料を噴射し、糸や生地を染色しています。

写真(左):注染で染めた糸束
写真(右):注染で染めた糸をチーズ巻きした状態

色が染まる間隔(ピッチ)が一定だとマダラ模様にならないため、染め間隔が異なる2種類の糸を組み合わせることで模様を作っています。選んだ柄に近い表情になるように、短い間隔の糸と長い間隔の糸、それぞれの割合を探りながら調整して頂きました。

整経(たて糸の準備)

縞模様を表現する、緻密な計算

 

伊予絣と関わるきっかけを生むために

今回は伊予絣のアーカイブを、”あえて”久留米絣で再現しています。そうすることで自分たちなりに伊予絣との接点をつくることを目指しました。

接点をつくるために「伊予絣で何かを作る、扱う」ことも選択肢の一つですが、それだけでなく他の産地と協力することで生まれる何かもあるのではと考えています。同様に、「くくり」は絣特有の技法で大切な部分ではありますが、その技法にとらわれることなく、他の技術を応用することで今後に向けて生み出せる可能性もあるのではないかと思っています。

視点を少し変えて見ることで、産地やこのづくりのこれからを考えるきっかけになればと思い、今回チャレンジすることにしました。

 

【情報求む】伊予絣をより深く知るために

クリエイティブチャレンジ No.3では、過去の生地や記録だけでなく、現代において実際に手に取れるモノ(商品)をつくることで伊予絣に触れる機会を増やし、より多くの方に伝えることができるのではないかと考えています。

以前実際に伊予絣を作っていたという方や家族が関わっていたという方、伊予絣について調べられている方、伊予絣のこれまでを辿っていくきっかけを作ることも模索しています。伊予絣について、何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください。

 

Creative Challenge Project とは?

Creative Challenge Projectでは、糸を括る、染める、織るなどの久留米絣の技法や技術を応用し、新たに活かしながら、久留米絣の可能性に挑戦していきます。現代だからこそ、この産地だからこそできることを考えて、問い続けるプロジェクトです。

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愛媛・大洲で開催!

第11回 もんぺ博覧会 – しる!かう!はく!–
うなぎの寝床 愛媛・大洲店

会期:2024年6月7日(金)〜6月16日(日)
時間:10:30 – 17:00
店休日:火、水
住所:愛媛県大洲市大洲240-2 (会場アクセス
電話:0893-57-6303

参加織元:(順不同・敬称略)
野村織物・丸亀絣織物・坂田織物・下川織物

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