「柄」で楽しむ久留米絣① キホン編
10年越しの久留米絣定番MONPEリニューアル!
初心に帰って久留米絣の魅力を深掘るコラムシリーズ(全5編-1)
久留米絣はプリントにあらず
柄表現のキホンを知ろう!
福岡県南部の筑後地方で江戸時代から200年以上織られ続けてきた綿織物「久留米絣(くるめかすり)」。うなぎの寝床では、この久留米絣に大きく2つの特徴があると考えています。
1つは「生地の風合い」の良さ(詳しくは追って別のコラムでお伝えいたします)。
そしてもう1つの特徴が「柄や模様」の作り方です。久留米絣の柄と模様は、生地の上に後から柄をのせるプリントなどとは異なり、織る前の糸1本1本の色の違いや、1本の糸の中での染め分けによって柄を作っていきます。
多種多様な柄や模様がある久留米絣ですが、その柄はどうやって作られているのか、知ってみるとより柄を見るのが楽しくなると思います。初めての方は入門に、知っている方はおさらいに。今回は、久留米絣の柄表現の基本について覗いてみましょう!
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久留米絣のキホンのキ「くくる・染める・織る」
久留米絣は全部で30数工程を経て織りあがりますが、大まかに「くくり・染め・織り」の3段階に分けることができます。
STEP1 「くくり」
久留米絣の柄づくりは、図案に基づいて糸を縛る「くくり」から始まります。糸でくくっている部分は染まらず、くくっていない部分は染まります。
STEP2 「染め」
くくられた糸全体を染めます。染色後、くくっていた「くくり糸」を解くと染まらずに残った部分と染まった部分に染め分けられます。
STEP3 「織り」
「くくり」によって染め分けられた糸を柄ができるように整えながら織り上げていきます。
柄を合わせながら生み出される細やかな模様は、プリントのようなはっきりとした線になるわけではなく、独特のかすれたような、やわらかな模様になるのが特徴です。
たて+よこ → たてよこ
「たての糸はあなた、よこの糸はわたし」と中島みゆきさんが歌っているように、織物はたて糸とよこ糸の重なりによってできています。久留米絣では、くくりによって染め分けた糸を、たて糸で使用するのか、よこ糸で使用するのか、またその両方で使用するのかで、「たて絣」「よこ絣」「たてよこ絣」に分類できます。
たて絣、よこ絣、たてよこ絣、それぞれでかすれた模様の現れ方(方向)が異なります。一般的には「たて絣」では幾何学的な模様が得意と言われています。「よこ絣」は細かな模様の表現が得意で、絵柄を自由に描くようにして模様を出すこともできます。「たてよこ絣」はその両方を組み合わせた技法で、たて糸とよこ糸の柄を合わせながら織る必要があるため、正確に柄をつくるのには高い技術が必要とされています。
今回は、改めて久留米絣の柄表現の基本を見てきました。久留米絣の柄がどうやってできているのか?また、そもそも織物ってどうやってできているのか?そこには知れば知るほど奥深い世界が広がっています。次回は久留米絣の中でも「絵を描くような絣の表現」について、深掘りしていきます。
続きはこちら↓
「柄」で楽しむ久留米絣② 絵を描く絣編
荻野
【久留米絣ができるまで / 工程動画】
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