【ムーンスター小話】 似た靴の”違う”話
見た目は似てても全然違う?
足に合う靴選びのものさしに
うなぎの寝床の荻野です。
ムーンスターのシューズのラインナップにLOW BASKETが仲間入りしました。
正直なところ、LOW BASKETが入ってくると聞いて、「似たような見た目の靴はあるのに、どうして仕入れたんだろう?」と思いました。
そこでバイヤーのハルさんにその話を聞いてみたところ、似た形の靴でもそもそも色々と違うことがわかりました。そしてそれは、「千差万別なヒトの足に合う靴選び」のためにありました。
今回は、自分なりに靴を選んでもらうためのものさしの一つとして、「似た靴の違う話」をしてみます。
「木型」によって”形”が違う
靴は木型(別名:ラスト)に生地やラバーを貼ることで形をつくります。そのためこの木型の形によって靴の形状が決まります。
写真の4足は全て足囲が同じ1Eです。
GYM CLASSICとLOW BASKETは同じ木型を使用しています。日本人の平均的な足の形を考えられた若干甲に高さがある形です。
それに対し、UBALとSIDEGOAは同じ木型です。
この木型はまずSIDEGOAをつくるために考えられた木型で、スリッポンタイプは履き口の固定がゴムのみのため、靴の中で足が動いたり、靴が脱げるのを防ぐために甲の高さを抑えた形となっています。また、甲を抑えたぶん少し幅広な形です。見た目もよりすっきりとしたシルエットです。
脱ぎ履きしやすいSIDEGOAやすっきりとしたシルエットのUBALですが、甲が低いため甲高の方にはもしかしたら足に合わない場合もあるので注意が必要かと思います。
「アッパー」によって”調節範囲”が違う
この4足の中で木型は2種類ありましたが、アッパー(靴の底を除いた甲を覆う部分)の形はそれぞれで異なります。
ここでは足と靴をフィットさせる「サイズ調整」についてみてみます。
・GYM CLASSIC
内羽根・先割りタイプ
調節できる範囲:やや広い(足先は調節しにくい)
縫い目がつま先に集まるため足に当たりにくい、シンプルな印象
・LOW BASKET
外羽根タイプ
調節できる範囲:広い(足先までサイズ調節が可能)
サイズ選びしやすい
GYM CLASSICが足に合わない方でも履けるという声もあり
試着できないオンラインショップでもおすすめ
・UBAL
足先までこないU字型
調節できる範囲:やや狭い(履き口のみ)
・SIDEGOA
スリッポンタイプ
調節できる範囲:狭い(ゴムの伸縮のみ)
もの選びのための「ものさし」を集める
子供から大人まで履ける日本人のための靴をつくり続けてきたムーンスター。
制作してきた木型の数は累計約1万6000種。その木型を制作するための重要なデータとなる足型は、累計約26万人分を測定されています。それはムーンスターが、履く人にとって本当に足に合う靴を履いてほしいと想い続けてきたからこそだと思います。
こうしたムーンスターの考えも靴というものを通じて伝えることができればと思い、うなぎの寝床では靴屋なみにたくさんの種類の靴を並べています。
ものには色々な角度の選び方「ものさし」があります。色々あるのがいいと思います。
見た目、用途、履き心地、健康(足に合うかどうか)、値段、Etc…
色々ある選び方の中で、色々なものさしを当てがって、「自分にとってこれがいい」を見つけてもらえたらいいなと思います。
一つのものさしだけでなく、「こういうものさしもあるんだ!」と知ってもらえたら、ものとの向き合い方にまた新たな視点が持てるのではと考えています。また、そのものさしはもの選びだけでなく、普段の生活や見知らぬ土地で目にするもの、はたまた今まだ目の前にないものにも活用できたらいいなとも思います。
そのために自分たちは、いろんな「ものさし」を集めています。これからもそうしたいです。
荻野