冬のMONPEのお供 “もんぺした”
はらまき へやばき したばき “もんぺした”
MONPEと重ねて冬も暖かく
寒い季節が近づくと「冬でももんぺは穿けますか?」という声を必ず耳にしていました。デニムを穿いて寒い季節になると久留米絣のもんぺ一枚では当然寒さを感じます。冬でももんぺを穿きたい、その要望に応える形でうまれたのがこの“もんぺした”です。今回改めて、もんぺしたの機能ともんぺしたができるまでについてまとめてみました。
もんぺしたともんぺ、綿on綿の天然繊維の組み合わせで冬でもあたたかくもんぺをたくさん使ってください。
『もんぺした 4つの特徴』
1. はらまき
冬の寒い日に、夏の冷房の冷えからお腹を守る
*現在Ver.1は販売しておりません。Ver.2では腹巻部分の仕様を変更しました。
2. 裾リブ
3. 綿素材でのびる生地
蒸れにくく適度な調湿で快適に、チクチク感もなく、静電気も起きにくい
4. ポケット
へやばき時のスマホ収納に
生地は2種類
【フライス / Ver.2】 ベーシック
本体部分は綿100%の糸で編まれた生地から作られています。“フライス”という編み方で編まれているため、伸縮性に優れているのが最大の特徴です。手触りがやわらかく、カットソーやTシャツなどにもよく使われています。吸湿性、通気性に優れているオールマイティな素材なので、冬だけでなく季節を問わずオールシーズンで着られる素材で、同じ綿素材のもんぺと重ね着しても静電気が起こりにくいです。
【フライス / 裏起毛】 Ver.2よりあたたかく
Ver.2よりも少し太い糸を使用したフライス編みの生地です。生地の厚みを増し、内側を起毛させたことで保温性を高めています。目印は黒織のネーム「う」です。
*足首/腹巻部分
足首と腹巻きの部分はポリウレタンを5%含むリブ編みです。ポリウレタンとリブ編みで伸縮性がより高まるようにしています。
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“もんぺした”がうまれるまでの思考あれこれ
冬用もんぺの開発を模索
わた入りもんぺ / 綿(織り)on 綿(わた)on 綿(織り)
「昔ははんてんとコタツがセットやったけんね。」という、はんてんメーカーである宮田織物の方の言葉をヒントに、わた入りはんてんのズボン版としてわた入りもんぺを開発しました。中綿を表地と裏地の間に入れて糸で縫い合わせたキルティング加工の生地でつくる冬用のもんぺは、コタツの代わりになるほど暖かく最強の部屋着となりました。ただし、はんてんの広幅生地ではなく、久留米絣の反物生地でつくったため価格が通常の2倍ほどになってしまったため、限定生産となりました。
(最強の部屋着展2014年11月 https://unagino-nedoko.net/archives/26072/ )
課題 : 既に持っているもんぺは使えない、、、
もんぺ2枚ばき!
もんぺ on もんぺで暖かく
「最近、もんぺ2枚ばき試しとるんよね。」わた入りもんぺの次の年の冬、春口は2枚ばきの可能性を探っていました。綿の繊維は、顕微鏡で見ると中空構造になっています。その空洞の部分があるために、夏は汗をかいてそれを吸い、発散してくれる調整する能力をもち、冬は温かい空気を保ってくれます。そのため、綿は夏涼しく、冬は温かいと言われています。 化学繊維の発熱素材や機能的な股引など、さまざまな保温性+〇〇などに特化した素材がありますが、自然本来の調整能力に関しては自然素材がもつ着心地という部分を殺さずに、適度な密度のムラと、ゆるさがある柔らかい生地を活かす可能性を追求したのでした。
(2枚ばきの実験 2015年12月 https://unagino-nedoko.net/archives/26285/ )
課題1 : もんぺの贅沢使い、、もんぺをたくさん持っていればいいけれど、、
課題2 : タイトめ、細身に穿いている人は2枚ばきが難しい、、
ついに登場“もんぺした”
ないなら作ろう、綿のレギンスを!
そうだ、あたたくするなら腹巻きも付けたらいいじゃないか!
「冬にもんぺを穿くにはどうしたらいいですか?」と常に尋ねられていたその当時、特に男性向けの綿素材のレギンスのようなものがあまり見当たりませんでした。その頃にはyohakuさんと知り合っておりKATA Tシャツを一緒に作り始めていたので、「ないなら作るか!」ということで模索しはじめました。久留米絣の特徴の一つが綿だからこその着心地の良さだと考えていたので、素材はやはり綿がよいだろう。綿と綿を重ねることで蒸れや静電気をできるだけ抑えつつ、あたたかく快適に過ごせるようにしよう。もんぺの下に穿くだけではなく、家でもそのまま穿いてもらえる方がいいだろうから現代の生活にあわせてポケットを付けよう。などなど意見交換したのを覚えています。
そんな中誰かの「腹巻きってあたたかいよね」との発言から腹巻部分も付けてみるかと、徐々に現在の“もんぺした”の形に近づいていきました。
わた入りもんぺを作ってみたり、もんぺの2枚穿きを試してみたり、冬にもんぺを穿くにはどうしたらよいのだろうかと試行錯誤に辿り着いたのが“もんぺした”です。暖かい季節だけでなく、冬でももんぺしたをお供にもんぺをたくさん使ってもらえると嬉しいです。
どんなときに“もんぺした”?
◯おでかけに / したばき
◯家で / へやばき
◯ワンピースやスカート
◯ハーフパンツ
おまけ
「もんぺした」 = 綿レギンスの理由
モモヒキ、パッチ、ズボン下、ステテコ、レギンス、、同じような形なのにいろいろな名前があります。この機会にそれぞれのその語源を調べてみました。
【モモヒキ】
モモヒキは、日本で昔から着用されていたもので、室町時代に現れたとされます。当時は脚にぴったりと沿わせ、反対に腰にはゆとりをもたせ、左右別々に筒状に仕立てたものを紐でつないだものでした。その後、江戸時代になるとモモヒキは一般に普及しました。
【パッチ】
パッチはモモヒキの一種と考えられており、その語源は朝鮮語のパチから名付けられたそうです。江戸では絹の股引のことをパッチと呼び、木綿ものは長さにかかわらずモモヒキと呼んでいたそうです。
【ズボン下、ステテコ 】
明治時代になると、洋服のズボンが普及していきます。それに伴いモモヒキはズボン下となっていき、このズボン下がステテコの源流となりました。
【レギンス】
レギンスは、英語でleggingsと書きます。1980年代に日本ではスパッツという名前で登場し、伸縮性のある素材で身体にフィットするアイテムとして登場し、その後レギンスと名前が変わっていきました。
モモヒキ、パッチ、ズボン下、ステテコは、室町時代に生まれた日本の「モモヒキ」に源流をもち、これらは「織り」のものです。一方、レギンスは伸縮性がある素材という点で、もんぺしたの「編み」に通じるものです。 素材は同じでも、それを形にしていく方法を変えることでその性能が異なり、「編む」ことで「伸縮性」という機能がうまれます。「もんぺ」と「もんぺした」、「織り」と「編み」の組み合わせは、綿がもつ全ての機能を最大限に活用しているのだと思います。
空気の層であたたかく
「わた入れはんてん」は表地と裏地の間に綿(わた)を入れることで空気の層をつくって保温性を高めています。もんぺしたともんぺも考え方は同じで熱源は自分自身であり、その熱をなるだけ逃がさないように綿と綿を重ねることで空気の層をつくって防寒しています。
【ヒトは「毛」のかわりに「わた」をまとう!】このコラムで動物の毛や羽毛の役割や機能についてもまとめています。よければご覧ください。