【入荷情報】家内安全・無病息災を願う。会津若松の起き上がり小法師と赤べこ。
【入荷情報】家内安全・無病息災を願う。会津若松の起き上がり小法師と赤べこ。
福島県会津若松地方の張り子人形起き上がり小法師、久々の再入荷です。一度にこれだけの数の起き上がり小法師が揃う風景は圧巻ですね。安土桃山時代、時の領主蒲生氏郷公が殖産振興のため職人を呼び寄せ、藩士に玩具・人形を作らせて正月に売り出すようになったそうです。会津の郷土玩具・人形の中で最も歴史が古いといわれ縁起物として古くから親しまれています。
背丈は約3cmちょっと。七転八起といって転んでも転んでも起き上がるところから、体は小さいが健康忍耐をあらわします。2011年の東日本大震災以降は東北地方の復興のシンボルとしても注目されました。家族や財産が増えるよう家族の人数より一個多く買求め、家内安全・無病息災を願って神棚に飾り正月を祝う風習があります。
起き上がり小法師は張り子の人形です。張り子とは木などでつくった型に和紙を何枚も貼り重ねて作る人形です。中は空洞になっています。土で作ったおもりを用いることで倒れても起き上がる構造になっています。昔ながらの起き上がり小法師を継承しているのは山田民芸工房一軒のみで、火の神・水の神も作っています。木型は旧寺崎邸で見ることができます。
起き上がり小法師の木型とおもり
赤と青の2種類がいます。旧寺崎邸店頭、またはうなぎの通販でお求めいただけます→通販こちら。
さて、会津若松を代表する郷土人形には赤べこもいます。起き上がり小法師と同様、氏郷公による殖産振興政策によって作られるようになった張り子の牛の人形です。かつて円蔵寺院建立の際、牛の群れがどこからともなく現れて材木を運び、最後まで働き通したのが赤い色の牛だったという言い伝えにあやかって作られました。模様には意味があり、背中には水の大切さを表す井戸を意味する井桁模様、脇には結束を表す巴が描かれており、黒い斑点は痘を表しています。子供のための魔除けの人形として、子供が誕生した時には赤べこを備えてお祝いしました。赤色自体に魔除けの意味があり、天然痘が流行った際赤べこを持った子供は病気にかからなかったという言い伝えがあるほどです。
赤べこは胴体と首から上が分かれています。べこの顔がゆらゆらと揺れるさまはなんとも穏やかな気持ちになります。赤べこが長く親しまれ続けているのも頷けます。うなぎで取り扱っているのは荒井工芸所が作っています。江戸時代から代々赤べこづくりを継承されており、年賀はがきの切手図案に採用されたこともあるそうです。
柿渋で彩色された柿渋べこは素朴な味わいがあります。こちらには子孫繁栄・家内安全の文字が書かれています。
こちらは赤べこの木型です。旧寺崎邸の店頭で見ることができます。
家内安全・無病息災・災避け・子孫繁栄etc….これらの人形に共通するのは健康でありたいという人々の思いや、健康に育ってほしいという親から子への思いが込められていることです。願掛けや迷信の類は私たち現代人から見れば滑稽でバカバカしく見えるかもしれませんが、科学や医療が未発達の時代に何の手立てのしようがない中、人々の心の拠り所となったのが魔除けや縁起物とされた人形や玩具であっただろうと想像できます。単純に見た目の愛らしさや美しさから永く愛され続けることもあります。
各地の郷土玩具・人形を調べると、需要がなくなったり作り手がいなくなって断絶したものも少なくはないです。しかし保存会などが発足して復活したところもあります。物質的に豊かになった今、古くから作られている郷土玩具や人形は、逆に新鮮味を感じたり、荒みがちな現代社会において癒しや楽しみをもたらしてくれる清涼剤、もしくは歴史や文化に興味を持つきっかけを与えてくれる教材のような役割を果たしてくれているものだと思っています。鬼木
ーつくりて情報ー
山田民芸工房(福島県会津若松市)
通販→https://shop.unagino-nedoko.net/?mode=grp&gid=2022978&sort=n
荒井工芸所(福島県会津若松市)
通販→https://shop.unagino-nedoko.net/?mode=grp&gid=2033478&sort=n