【地域のこと】ちくごの祭り探訪1

【地域のこと】ちくごの祭り探訪1/ 久富観音堂盆綱曳き

日時:2018/08/14(火)

場所:福岡県筑後市久富1635 熊野神社内 久富観音堂

江戸時代より約400年ほど続いている祭りで、毎年8月14日に子供たちが黒鬼に扮して大綱を引いて地域を回る行事。
「盆綱引き」という行事は全国にあり、北部九州にも多く分布している。
他の地域では二手に分かれて綱引きを行い勝敗によって豊作・豊漁を占うことが多いが、ここ久富の盆綱引きは珍しく綱を引き合うことはしない。
地獄の釜番である黒鬼が綱を引いて地域を回ることで、地獄に落ちた亡者をせめてお盆の間だけでも地上に引き上げて供養するという施餓鬼(事故や災害などで非業の死を遂げた亡者の供養)行事の一種として伝えられている。

準備を見るなら8時半ごろには到着しよう

朝スタート地点である久富熊野神社では法被を着た大人たちが準備を行っている。
神社の本堂の梁を使って大綱を編む光景や子供たちに塗るススを作っている様子を見ることができる。

子供たちが黒鬼に変身する様子も魅力的だ。
法被を着た大人たちから顔、上半身と手際よくススを塗られていく。
変身の様子を見物、撮影しようと人が殺到し、いい具合にカオスな空間となっていく。

ススを塗り終わると、頭に角に見立てた縄を巻き、腰には藁でできた蓑を巻くことで黒鬼に変身完了する。

黒鬼とともに歩く

9時半頃から開会の挨拶などがある。黒鬼たちが一堂に集まり話を聞いている姿はなかなか見ものだ。
10時熊野神社内の観音堂から伸びた大綱を黒鬼が引っ張っていくことで行事が始まる。

「わっしょい」という掛け声をあげながら久富地区を練り歩く。

道路に水を撒く軽トラが先導しながら車道なども含め久富地域内を回る。
車道を行くためお巡りさんが車を誘導したり、信号機の時間を調整しながら炎天下の中約1時間半練り歩いた。
途中で団地の公園で休憩があり、黒鬼がアイスを食べたり水分補給している姿もなんだか微笑ましく魅力的だ。

 

約3キロほど歩くので黒鬼も最後の方は疲れた厳しい表情になってくる。


最後の最後は小走りに熊野神社の境内へ戻っていき、綱で土俵を作ることで祭りが終わる。

子供たちが黒鬼に変身するときの場の空気感、黒鬼が休憩中にアイスを食べる姿など伝統行事の中に日常が混じり込んできて生まれるカオスを楽しむことができる祭りだったように思う。
また主役が子供たちであることもあり、当日までの準備や当日のサポート体制など地域でしっかりと支えられている祭りだと感じた。
地域内に子供たちが少なくなっていきている今日、お盆で帰省している子供たちや周辺地域の子供たちも巻き込みながらこの行事はまた来年も続いていく。
ぜひ来年のお盆はちくごに「久富観音堂盆綱曳き」を見に来てはいかがでしょうか。 鋤田

羽犬塚駅から見える久富観音堂盆綱曳きを描いた子供の絵

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