【雑感にょろり】黒にもいろいろ。色彩感覚も長年積み重なった文化の一つ。

【雑感にょろり】黒にもいろいろ。色彩感覚も長年積み重なった文化の一つ。

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オランダ絣プロジェクト、現在進行中。

現在進行中のオランダ絣プロジェクト(詳しくはこちら:http://bit.ly/21uoy22)。オランダ在住のデザイナー3人組が、久留米絣を再解釈して、オリジナルのテキスタイルを発表するというゴールを持って進めています。デザインも決定し、少しずつ形が見え始めてきました。久留米絣の複雑な工程を理解した上で、その工程自体を別の視点で捉え直した新しい表現をしようとしていて、私から見てもとても刺激的です。何より、お忙しい中でも、どんな無理難題にも応えようとしてくださる、下川織物さんのおかげで出来ているプロジェクトでもあります。

色のバリエーションも様々。黒は複合的な色。

くくりのパターンは決定したので、いま彼らは「色」を決めている段階。九州に来た時に印象に残っている、土地の色の組み合わせを表現したいと話していました。たて糸の地の色としては、黒も使う予定なのですが、同じ黒色でも実に様々なバリエーションがあります。パッと見てもわかりませんでしたが、日の光に当ててみると、赤系の黒、青系の黒、グレー系の黒など、違いがはっきり分かりました。「漆黒」や「墨黒」など、名前がついてると尚更楽しみが増します。個人的には「なべ黒」はやはり気になってしまいます(焦げ付いた鍋の底のような黒、という意味だそうです)。

環境や文化の世界観を反映させた、色彩感覚や音の世界。

藍染めにも、実に様々な色のバリエーションがあり、薄い藍甕に浸けただけの「甕覗き」という薄い青色から、赤みがかった「茄子紺」、濃いグレー系の紺色「鉄紺」など、想像力を掻き立てる名前が付けられた色が多いです。色の切り取り方は千差万別あるはずですが、どれをスタンダードの色として名前を付けるのかというのは、その文化ごとの色彩感覚が現れる領域なんだろうと思います。日本の雅楽も西洋音階でいう「ファ」と「シ」が抜けた「五音音階」で、それぞれの音にも独特の揺らぎがあるのが特徴だといわれますが、音や色というのは、環境や世界観が色濃く反映されるのだと実感します。
そういった意味でも、オランダという異文化で生活する3人にとって、この地域の織物と環境の見え方がテキスタイルに反映されるのだとすると、とても面白いと思っています。その辺のコンセプトは動画も撮影して、表現する予定ですので、どうぞお楽しみに。以上、オランダ絣プロジェクト、中間報告でした。渡邊

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