【企画意図】世界の絣を見てみたい。 その一つの想いから。

グアテマラ 絣

世界の絣を見てみたい。
その一つの想いから。

2年前のことです。福岡市内のセミナーで講演させて頂いた時に、一番前の席に絣(かすり)のような服を来てる若い女性(絣を着てる人は年配の方が多い・・・失礼)の方がいるのに気づきました。「この布は何かな?」と考えながらセミナーを終えて、何人かと軽く挨拶を交わしました。そして、その女性と話してみると「これ、グアテマラの絣なんです。」とその女性は言いました。その女性こそがグアテマラで工房も持ちながらやっているilo itoo(イロイトー)の大久保綾さんです。僕は日本でグアテマラの絣が福岡で見れるんだー。と感慨深くなり、なにか日本の絣とコラボレーションみたいなことや、技術交換、意見交換ができるかもしれない。と思い「日本の絣も一緒に見に行きませんか?」とお誘いして、大久保さんと一緒に活動をしてる高崎真理子さんと共に3人で久留米絣の織元さんを何件かまわりました。その時は、いつになるかわからない時のことを想像しながら「いつか久留米絣とグアテマラの絣を見せる展示会ができればいいですね。」と少し曖昧な約束を交わし、その場は別れました。

絣も多く使われている、コルテ(巻きスカート)を通して
久留米絣との履き心地や、模様の違いも楽しんでほしい。

それから2年、ilo itooさんの企画展が実現しました。グアテマラの布でよく紹介されているのはウィピルという伝統的な衣装(上着/写真参照)で、刺繍や複雑な柄でカラフルな「おー、中南米!」というような色使いのものも多いです。しかし、今回はコルテと呼ばれる巻き衣式のスカートをピックアップしました。なぜそれを選んだのかというと、この巻きスカートには絣の技法が多く使われていたからです。
この巻きスカートを通して久留米絣のもんぺやスカートと履き心地を比べたり、柄の違いを楽しんだりしてもらいたいなと思っています。

グアテマラの布文化についてはまだまだ
ただ、布はやっぱり文化・環境・習慣などの背景が見える媒体である。

イロイトの大久保さんがグアテマラに行くきっかけになったという「五色の燦き」など、いくつかの本を取り寄せ目は通しました。理解はそこまで深くはありませんが、紀元300年~900年くらいがマヤ文明の最盛期と言われており、その時代に作られた伝統や技法が今も受け継がれているという形です。色に関してもこの本のタイトルにもあるように5色「赤、白、黒、黄、緑」とマヤ人の世界観に基づく基本色があり、各々にそれを司る神様が居り、各々にきまった色が定められていました。すなわち東の色は赤、北は白、西は黒、南は黄色、そして世界の中心の色は緑でありました。儀礼や祭礼、神殿のペイントから古文書の着色、王や神官の盛装から貴人の衣服に到るまで、すべてマヤ人の世界観に根ざした各々の関連色で彩られていたのです。ここでは、詳しくは説明することは割愛しますが、興味ある方は資料を置いていますので、ぜひご覧ください。

◯展示会の情報はこちら

うなぎの寝床
白水高広

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