【日々のこと】でん一さんから教わること。
砂地栽培トマト、でん一農場の
でん一さんから教わること。
僕が前職を退職した3年ほど前から毎月通っています、柳川の砂地栽培トマトをつくっているでん一農場。でん一さんのトマトは皮が厚めで、甘く濃厚です。酸味もちょうどいいバランスで入っていて、もう美味いのです。
僕は、北部豪雨災害があった年から通っています。でん一さんのハウスは災害の時に浸水しました。その時に菌が入ったようで、その影響もありトマトに病気が出て、収穫量が落ちました。毎月色々話をさせてもらうのですが、でん一さんは完全に菌を殺してしまうような策をとるというより、砂地の中で微生物活性剤などを活用しながら、土の中の悪玉と善玉のバランスを改善しようという取り組みを続けています。3年たった今も完全に収量は戻った訳ではないのですが、徐々に回復していっています。
商売より、目の前の売上げより
大事なことと、哲学がある。
僕らは基本的にお店(小売業)をやっています。作り手のつくるサイクルなどは考慮しながら物の仕入れなどは行っているつもりではありますが、どうしてもこの時期にこの量が欲しい!過程が大変なのは分かるけどやってください!と無理を言わざるを得ない時も年に何回かはあります。それは、物が人の手に渡る機会が増えるという良い側面と、ただただ自分達の都合だけになりがちになるという悪い側面を持っています。僕らも生活がありますから、もちろん利益はあげたいですし、売れる時にたくさん売りたいというお店側の心理としては当然かもしれません。
農業を見てみると、1回の製造サイクルが物の製造業よりもかなり長いスパンで、リスクも多いです。自然環境に依存する部分も大きいです。食というのは最も人間にとって大事な部分だと思います。衣食住でいうとやっぱり、人間は食べ物から出来ている訳で、それが最優先事項になるでしょう。
通年通してトマト作りを見てみると、年間と押して管理や手入れの作業はあるし、収穫や忙しい時は人を入れないといけないし、ハウスだとボイラー代などもかかるし、台風や自然災害があったらモロに影響を受けるし、小売業などから比べたら恐ろしいほどのリスクがあります。何と言っても1年でやれることが限られすぎてます。僕は正直怖くて商いとしては携わることはできません。なのでただただ、毎日ご飯を食べる時に「いただきます」と農家の人に感謝するくらいしかできないです。商いとしては携わることはできないとうのは、生産者になることはできないという意味で、それはものづくりでも一緒で、今うちに求められているのはその周りの伝えることだと思っています。
僕は今のところ仕事として毎月でん一さんの農場に通っている訳ではありませんが、その精神性と考え方は尊敬でき学ぶべきことがたくさんあります。菌と共存するというのはかなり勇気と根気がいる選択だと思います。なかなかできません。生鮮食品を今うなぎの寝床で販売する予定はありませんが、僕らが直接販売するという以外にやれることがあるような気もしてます。やっぱり体験かもしれませんね。そういう場を創出させ、直接品物をお客さんに届ける仕組みのような物は可能性があるかもしれません。
今からも勉強させてもらいながら、その可能性を一緒に探っていきたいと思います。まずは収量が完全に戻るまで我慢です。
白水