【考えたこと】杉の種類は20もある。ということから考えた経営と資源の活かし方のバランス。

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今、月に1回ほど、仕事旅行社の「伝統工芸の編集者になる旅」で作り手の工場に、旅行参加者の方を案内しています。1日の強行スケジュールで3カ所ほど回るので、どうしても八女周辺になるのですが、八女市上陽町の山手で杉の葉を水車の力で粉にして、昔ながらのお線香(現在はお香として提案)をつくってる馬場水車場には連れて行くようにしています。

なぜかというと、馬場さんのものづくりに対する考え方や、馬場さんのユニークな人柄を見て欲しいと思っているからです。もっというと商品だけじゃなかなか馬場さんの魅力が伝わらないと思ってます。仕事旅行に参加される方はわりと(失礼)若い女性の方が多く、山手の人は喜びます。笑 「白水君はいっつも若か人ば連れてくるなー!どこで捕まえてきよっかー!?」と冗談まじりの会話ではじまり、しっかりと杉の葉のお香の作り方を解説してくれます。

やっぱり、長年ものづくりをしている方の感覚は優れています。八女上陽周辺には杉の葉の種類が20種類程度あり、どれも粘性や特性が違うようです。馬場さんはその粘性を木を折って得られた感覚で確かめたり、杉の葉の色や形で確かめたりします。写真の杉の葉も右と左では種類が違うようです。「どこが違うかわかるね?葉っぱの大きさの違うやろ?」・・・「うーん、緑の方が大きいような。。。」その粘性の強さによって【タブ】という葉っぱ(粘性が強い葉っぱ…八女にある)との比率、水との比率を変え、線香として脆すぎず、粘りが強すぎず、適正な強度バランスの線香ができあがります。

昔は大工の人たちも杉の種類をしっかりと見極め、粘性やいろんな事を考えながら「これは床材に向いてる。これは梁材に向いてる、これは柱に向いてる」と判断をしていたようです。

先日、木のお弁当箱を作っている関内潔さんと木の製材の現場を見てきましたが、使う用途によって木をどう製材していくか熟考しながら決めていってました。今の住宅はとりあえずガンガン同じ材を製材して、じゃんじゃん家を建てるというのが主流でしょう。木は一本育つのにかなりの年数が要するのに、それを右から左に流すように使って行く。それは、現代の消費社会では仕方のないことなのかもしれませんが、なんだか残念に思います。

「仕方ない」という気持ちと「なんでこんな仕組みなんだろう」と二つの気持ちが入り交じります。僕も本当に小さいお店ですが一応経営者です。最近そのような意識が少しだけ芽生えはじめました。経営という側面で考えると木はあくまでも「商品」でしかなく、それをどう効率よくとるかを考えます。でも現場の木を活かしたいという気持ちを考えるとそれは「商品」という側面だけではなく、どうやってその材料を活かすことができるか?そこを中心に考えます。

どちらかの側面の意識だけでもだめで、やっぱりどちらの感覚も必要だと思ってます。僕らは日本という社会で生きているのでそこで成立する仕組みを考えないといけない。後者の地方の産業や材料が大事。というだけでは社会のシステムにのっていかない。一方で経営のことばかり考えると資源をおろそかにしてしまう。むずかしい塩梅です。

僕らは、その塩梅を見極めながら商品をつくったり、つくらなかったり、決定をしていこうと思っています。12月は節目の時期です。全てイベントが終わり、一年の反省をする月です。僕らはどういう方向に向かうべきなのか?今やっていることが経営の側面からも、資源を活かすという側面からも有効に働いているか。そのバランスをもう一度調整し、来年に望みたいと思います。では。

白水

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