【本を読む】日本藝芸館手帖 / 監修 日本民藝館

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民藝を手始めに知る一冊。

僕は民藝恐怖症だった。

何年か前、とある民藝店に行って、長々と「民藝とはこういうもので、良い物を見なければならない。美しいものとはこれで、こういう良い物をたくさんみなければならない...」と2時間ほど話しを聞かされた事があって、僕はその時から若干の民藝恐怖症に陥っていました。実際「民藝店」と呼ばれる領域のお店にあるものは、個人的にもすごく好きですが「これが美しいものだ。なんでお前はわからないんだ!」と言われるのは違うような気がします。
僕らのお店は「民藝店っぽいですよね。」なんて言われることもあり「そーですねぇ。」なんてごまかしごまかし解答することもありました。大阪の民芸館には行ったことがあります。それは良いもの、美しいと思えるものがたくさんありました。しかし、僕は「民藝」という言葉の定義をしっかりと捉えることを意識的にせずに、今まですごしてきました。

今回、東京へ5泊6日の出張に行き、民藝店という領域のお店を何件か回り「やっぱり物は悪くないし、働く人たちも信念を持ってやっているし、お客さんも楽しそう。」という印象を持ちました。そこで、考え改め、一度民藝について軽く触ってみようと思いました。そこでサラッと読んだ本がこの日本民藝館手帖。本当は、柳宗悦さんのガッツリとした本を読んだ方がいいのですが、まずは軽めの本を。

民藝品の特性

1.実用性・・・鑑賞を目的に作られたものではなく、用いるために作られた。使いやすさを追求することで、次第に形が研ぎ澄まされ、美しい形状が生まれてくる。
2.無銘性と職人製・・・無名の工人によって作られたものである。彼らは品物に銘を入れずに仕事をした。つまり、自らを名を誇るのではなく、出来上がった品物や仕事の質で勝負をしたのである。
3.多量性と廉価(れんか)性・・・民衆の日用生活の需要に応えるためには数多く作る必要があった。また、日常で使う為には、買い求め易い適正な値段も同時に求められた。
4.地方性・・・各地の風土や生活様式に根ざして作られた生活の道具には、独自の形や色や模様といった、豊かな地方性が色濃く現れてくる。
5.協業性・・・良い品を数多く効率よく作るためには、伝統に培われた熟練の技による協同の作業が必要となる。熟達した職人たちの仕事が互いを助け補うことで、はじめて美が保証されるのである。

なるほど納得。どういう文脈があるかは別として、ここに集約しているように思います。言葉に付随するイメージは、時代とともにどんどん変わっていきます。今の「民」と、柳さんが生きていた時代の「民」では大きく違うでしょう。そこが結構ポイントなような気がして、現代における民藝の形というのは、これまでの民藝と別にあるような気がしていて、それはしっかりと定義する必要があるとはあまり思いませんが「現代における民藝ってなんだろう?」とそれぞれが考え始めたら面白いのではないかなと個人的には思っています。

刻々と変わる時代。現代の民藝ってなんだろう?

「民衆の日用生活に用いられる実用品」という言葉が度々でてきます。民衆の生活というのは、刻一刻と変化してきています。「座る」という文化は床座から椅子に座るという文化に変化して、「暮らす場所」は戸建住宅からマンションやアパートへ移行してきています。当然、器や生活の中で使われる道具も変わってきています。「美しい」という価値観も変わって来ているようにも思います。そもそも「美しい」という言葉自体、あまりきかなくなったようにも思います。特に僕らの世代では。「かわいい」や「かっこいい」が世の中の大半を締めているように感じます。「美しい」「かわいい」「かっこいい」これは、何気なく使う言葉ではあると思うのですが、実際はみんなそれぞれニュアンスは違と思います。
「美しい」という価値観より「かわいい」や「かっこいい」が国民の大半を締め出したら、それが「民意」ということになるかもしれません(何だか、多数決の政治みたいになってきてしまった)。その中で芸術的なものが民藝かもしれない。それは僕にとっては嬉しいことではありませんが、「現代の民藝」というのは、そういうことなのかな。という気がもしています。

と、大分混乱してきましたが、時代の変化がめまぐるしいので、何事も進めながら、一度振り返ってみる必要があると思います。当時の「民藝」に対する定義と考え方をおさえ、皆さんも「現代の民藝」のあり方について、考えてみて下さい。
僕らのお店は民藝店かどうかはわかりませんが、上の特性からいくと、当てはまらないことはないような気がします。アンテナショップであると同時に、あくまでも生活の道具を売っているつもりです。ともあれ、少し定義と特性を知ったことで、あれこれ考える機会にはなりました。

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伊万里だって。あんまり見た事ないなぁ。

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日本民芸館、一度いかなきゃ。

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柳さんの本も文庫等で出ているのもありそうなので、読んでみよう。

日本民藝館手帖

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – 目次- – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

一章 思想に触れる – 柳宗悦と民芸館

– 柳宗悦と日本民芸館
– 柳宗悦の「心偈」
– 柳宗悦の「民藝」今 見ヨ イツ 見ルモ
– 柳宗悦の言葉1 じかに見ることが直感である

二章 蔵品を見る – 名品案内

– 柳宗悦の蒐集
– 日本民芸館名品案内
1.朝鮮
2.日本
3.沖縄
4.アイヌ・台湾
5.中国
6.西洋
7.同人作家
– 柳宗悦の言葉2 美しさとは無礙である時に極まる

小特集 柳宗理に訊く
– 柳宗理が語る 父・柳宗悦の素顔
– 柳宗理の言葉より

柳宗悦の言葉3 民藝館の使命は美の標準の提示にある

三章 空間を観じる – 本館と西館

– 日本民芸館本館 たてもの案内
– 推薦工芸品売店
– 柳宗悦の言葉4 工芸げは現実に交われば交わるほど美しい
– 日本民芸館西館 たてもの案内
– 日本民芸館展

四章 資料を書く

– 柳宗悦の初版本と雑誌「工藝」
– 日本民藝協会と雑誌「民藝」

日本民藝館年表

掲載作品一覧

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