【つくりて訪問記】大宰府木うそ保存会
嘘を誠の心に取り替える、神の使い!
日本に古くから伝わる神事のひとつ「鷽かえ神事」。福岡県の大宰府天満宮で毎年1月7日の夕刻から行われる神事です。参詣した人が参加すると、知らず知らずのうちについた全ての嘘を誠の心に取り替えることができると言われています。
その神事に必要なものが、木彫りの「木うそ」。夕刻から行われる神事では「かえましょ、かえましょ」のかけ声のもとに、「木うそ」を互いに交換し合う「うそ替え」が行われます。
(鳥の鷽(うそ)と嘘(うそ)をかけている、とも言われています)
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神事に欠かせない「木うそ」
コシアブラの木から一刀彫でつくられる
↑コシアブラの木の皮を剥いで乾燥させている。保存会で採り、各自で皮を剥ぎ乾燥させる
「木うそ」は、鳥の「うそ」が木に留まっている姿を一刀彫で表現した木彫りの人形です。様々な大きさがあるのは、コシアブラの枝木の太さによります。もともとは神事用に神職の方と数名が製作していましたが、今は大宰府のお土産品としても人気です。「木うそ」のつくりてが少なくなり、現在は2000年に結成された「木うそ保存会」のメンバーが製作しています。
「木うそ」製作歴40年余
「大宰府木うそ保存会」の大倉茂人さん
↑大倉茂人さんの制作場。写真手前の一番小さいサイズは販売しておりません。
うなぎの寝床では、保存会のメンバーでもある大倉茂人さんの「木うそ」を取り扱っています。大倉さんは保存会ができる前から「木うそ」をつくっていて、「木うそ」の製作歴40年余り。
香川県から大宰府に定住後、師匠のつくり方を見ながら製作を覚えたそうです。床の間には、師匠がつくった「木うそ」がガラスケース入りで大切に飾られていました。「まだまだ師匠には追い付かない」と大倉さんは言われていましたが、きっと、大倉さんも保存会のメンバーの誰かの師匠であるのだろうな、と思います。
ひとつひとつ手づくりだから、微妙に表情が異なる「木うそ」。ぜひ、手に取って見比べながらお気に入りを探してみてください。また、大宰府で始まったと言われる「木うそ」ですが、各地の神社でも「鷽かえ神事」が行われ、各地にいろいろな「木うそ」がいるようです。(小西)
↑うなぎの寝床 旧寺崎邸に並ぶ3cm-12cmの「木うそ」。”大宰府”印入りのものは非売品です。
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<参考文献>
・九州各地の「木うそ」について 福岡市博物館HP