【地域のこと / 観光協会】液体から構造が生まれる。繊維の長い丈夫な和紙を体感できる、八女手すき和紙資料館の体験工房。/ Yame Rediscovery vol.42

【地域のこと/観光協会】液体から構造が生まれる。繊維の長い丈夫な和紙を体感できる、八女手すき和紙資料館の体験工房。/ Yame Rediscovery vol.42

仏壇や提灯などさまざまな伝統工芸品の産地でもある八女ですが、その中でも最も長い、1200年の歴史を持つといわれるのが八女手すき和紙です。手すき和紙とは、近代化以前の技法で作られる紙のことで、水に溶けた原料を掬って、簾の上に平らに敷き、干すことで作ります。

747年の古文書に「筑紫和紙」という名前で残されており、その後、1600年ごろに日蓮宗の僧侶である日源上人により筑後地方の手すき和紙は復活し、現在も6戸が手すき和紙の伝統を引き継いでいます。質の良い手すき和紙をつくるためには、豊富な水と清流が必要とされますが、八女を流れる矢部川がその条件を満たしていたため、和紙の産地として発展したのです。

八女手すき和紙の特徴は、原料である楮(こうぞ)という木の繊維が、他産地と比べると長く太く絡みやすいといわれているため、耐久性に優れ丈夫であるとされています。

繊維や布を同じように、紙づくりは身の回りにある植物の特性を活用し、人間の生活に欠かせない技術として重宝されました。書くための紙にとどまらず、照明や建築にも活用される重要な素材でした。

その原点ともいえる手すき和紙の技術を、気軽に体感できるのが、八女伝統工芸館に併設されている「八女手すき和紙資料館」です。手すき和紙職人の福田さんに教えていただきながら、葉書を製作してみました。

作ることでわかる和紙の構造。その丈夫さの秘密とは。

これは楮の繊維質が漂白されたものに水と「ネリ」を加えたものです。
ネリは一見糊のように見えるのですが、トロロアオイという植物の根から取れる液で、その役目は楮の繊維を均一に水の中に広げさせ、簀の上での水の引き方を調節し、繊維をよく絡ませることにあります。

触ってみた感触としては、少しぬめりのある感触で、紙の原料とは想像しがたいものでした。

そして、簾の中に液体をすくい上げたのち、縦横に木枠を動かしていきます。こうすることによって、繊維が絡まっていきながら漉き上げることができます。

繊維がしっかりと絡まることで、八女の手すき和紙特有の強度が生まれるそうです。これを3回繰り返すと、木枠の中に糊のような面ができます。表面が一般的な紙と異なり、凸凹としているのが印象的でした。

漉き終わった後に、飾りとして花を紙面上に添えました。その後、薄く繊維液を追加することで上から表面に花を定着させます。

その後、紙床板と呼ばれる紙面に載せ、下から掃除機によって吸い込むことで脱水した後に、乾燥機で15分程乾燥させて、完成しました。

完成した葉書は、初めの液状の状態からは想像できないほど丈夫なものになっていました。

八女手すき和紙は破れにくい。だからこそ生活に欠かせなかった。

書道に使われる和紙や、住宅に利用される障子からの想像で、和紙というものは、薄く破れやすい印象がありましたが、完成した手すき和紙は、厚紙のような表面に芯のある紙で、端部に糸のような繊維が残り、樹脂から和紙ができていることを想起させます。

今回丁寧に教えてくださった手すき和紙職人の福田さんによると、八女の手すき和紙はその丈夫さから障子紙や、提灯紙、書道用紙の他にも室内ランプなど様々なプロダクトや、熊本県の山鹿灯籠などにも利用されています。

八女手すき和紙資料館では、手紙だけでなく名刺やしおり、うちわなどの製作も体験することができます。伝統工芸品を見るだけでなく、実際に体験することで、1000年以上続く生活に欠かせなかった技術に触れる機会となります。日常的に利用する紙とは一味違う、手すき和紙の世界に触れてみてはいかがでしょうか。

・八女伝統工芸館 八女手すき和紙資料館
住所: 834-0031 2-123-2
時間: 9:00 – 1700
問合: 0943-22-3131
八女伝統工芸館HP: https://yamedentoukougeikan.jimdo.com/

・手すき和紙体験
時間: 9:00 – 16:00
会場: 八女手すき和紙資料館
問合: 0943-22-3131
参加費: 600円-800円 (体験メニューにより異なる)

 

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