【雑感にょろり】自分たちの布だからこそ、熱入る。織元インタビュー番外編④丸亀絣織物

【雑感にょろり】自分たちの布だからこそ、熱入る。織元インタビュー番外編④丸亀絣織物

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もんぺ博覧会スタート。火事から復活した丸亀織物さん。

無事にスタートした、福岡もんぺ博覧会。さすが、久留米絣のホームグラウンドとあって、リピーターの方や絣好きの方など、たくさんの方にお越しいただいています。それぞれの織元さんのファンの方も多く、その中でも丸亀絣織物さんのカラフルで独創的な生地で作られた、サルエルパンツやパッチワークのような柄のもんぺなど、「去年も買いました〜!」と言って着てきてくださった方もいました。

丸亀絣織物さんは、5代目の丸山重俊さん(31歳)が若い力と感覚で、オリジナルの生地とデザインの洋服を、日本全国の催事や東京のお店で販売するなど、独自で道を開拓している織元です。しかし、ちょうど3年ほど前の2013年9月、丸亀絣織物さんの工場・倉庫・ご自宅が火事で全焼してしまい、織機も生地も図案も全てを失ってしまいます。それでも、重俊さんは諦めず、父で4代目の重徳さん(63歳)から技術を学びながら、再起をかけて動き出します。そうして無事に今年に入って、新しい工場が完成し、再び丸亀さんの生地が織られるようになりました。

自分たちで作った布だからこそ。受難の時期を乗り越える。

服飾の専門学校で学び、服のデザインも手がけている重俊さん。「火事を機に、布作りはやめて、デザインだけをしようとは思われなかったんですか?」とお聞きすると、「他の久留米絣の布を仕入れてまではしようとは思わない。それだったら、全然違う職業がしてみたい!笑」とのお返事が。仕入れてするには、絣はリスクが高い商材だし、それだったら他の伝統工芸や、もっと儲けの出る仕事もある、と。ただお金を稼ぐためではなく、ある意味「覚悟」を決めないと、商売として関われないタイプの産業だということです。自分たちで織っているからこそ、胸を張って販売できるし、熱が入って売ることができるのだという言葉が、とても印象に残っています。そういう気持ちがあったからこそ、火事という思いがけない受難の時期に、日本全国で行商をしながら一円でも稼がなければ!という気迫で、コツコツと努力を重ねてこられたのだと思います。

覚悟がないと関われない産業。産地に根付き、共鳴する。

うなぎの寝床は、自社で布を作っているわけではなく、織元さんの生地を仕入れて商品を作っています。当然、利益も出さなければいけないのですが、儲け以上の部分で、久留米絣の未来についての思いや、産地に対する思い入れがないと、なかなか継続が難しい織物だなと思います。織元さんとはまた違う立場ではありますが、産地に根付いて、共鳴できるからこその活動をしたいなと、思いながら皆さんにもんぺを紹介する日々です。渡邊

 

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