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【研究まにまに】絣は西へ東へ、飛鳥時代へ現代へ

6月 18th, 2016

絣おちこち。

絣の海は広く深い。そんな今更のことを改めて噛みしめる日々ですが、それをなおのこと実感するのが、絣の世界分布地図を見る時です。

現在東京・渋谷ロフトで開催中の「もんぺ博覧会」ですが、その八女展にいらして下さった方々は、代表・白水による手書きの「世界の絣」地図も会場でお見かけになったかと思います。

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この地図で示されているように、絣という染織品は、インドおよびインドネシアを中核として東南アジアはもちろん、東は日本から西はスペインまで。西アジアのウズベキスタン・中東のイランやシリアを通りながら、ユーラシア大陸を横断するように存在しています。アフリカ大陸でもモロッコ・ナイジェリア・マダガスカルなどで見られるほか、中南米でもグアテマラが一大産地となっています。

『世界の絣』(文化学園服飾博物館、2011年)によると、こんにち見られる技術としての絣は、インドを源として内陸ルートや海洋ルートを通じて伝わったと考えられており、遺物や歴史書の記述から、5世紀には中国、6〜7世紀にはインドネシア、7世紀には日本、10世紀には北アフリカに伝わっていることが明らかにされています(p.8)。

この7〜8世紀に日本に伝来した絣は正倉院や法隆寺に遺され、現在にも伝わっています。

このうち、法隆寺献納宝物である通称「広東裂」については、日本の国立博物館所蔵の国宝・重要文化財データベースである「e国宝」に重要文化財「広東平絹幡」が掲載されています。ぜひ模様を拡大してご覧いただき、飛鳥時代の絣に思いをめぐらせていただければと思います。たての方向の糸をあらかじめ染めて模様を出す、経絣(たてがすり)という技法が使われています。

うなぎの寝床のもんぺでは、「ずらしストライプ」や「十字模様」などが経絣です。

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皆様お手持ちのもんぺの柄も、さかのぼれば7世紀には存在した技術ということになります。

こうなれば、18世紀のフランス宮廷で、マリー・アントワネットが絣を愛好していたというのはそんなに驚くことではなくなってきます。次回はこの話をお伝えしましょう。岡本

 

《本日の文献》(出現順)
文化学園服飾博物館・編『文化学園服飾博物館所蔵品 世界の絣』文化学園服飾博物館、2011年。
「広東平絹幡」“国立博物館所蔵 国宝・重要文化財 e国宝”
松本包夫『正倉院裂と飛鳥天平の染織』紫紅社、1984年。
沢田むつ代「正倉院所在の法隆寺献納宝物染織品―錦と綾を中心に―」正倉院紀要 第36号、宮内庁、2015年。


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