及源鋳造
岩手県奥州市の鉄器の歴史は、1090年頃に奥州藤原氏が平泉に栄えた時代に始まります。及源鋳造は、その鉄鋳物技術を受け継ぎつつ、1852年奥州市水沢に及川源十郎鋳造所として創業、1947年に及源鋳造株式会社となりました。「南部鉄器」の名で親しまれる、鉄鍋・鉄瓶・鉄急須などを時代を超えてつくり続けています。「南部」とは江戸時代の南部藩に由来し、鋳造において必要な砂鉄や鉄鉱石、北上川や山からの砂・粘土、燃料となる木炭などの資源が豊富にありました。岩手県には鉄器の二大産地、美術工芸品としての「盛岡の鋳物」と、生活道具としての南部の「水沢の鋳物」があります。及川源十郎鋳造所時代は、ご飯を炊く「つば釜」や「お汁用の鍋」、牛馬など家畜用の「カイバ桶」など生活に必要なものをつくり、現在は伝統の職人技を継承しながら新たな製法を開発し、暮らしに寄り添う日常使いの鉄器を手間をかけて育てていく愉しみを提案しています。