ぼくたち不良品?「2級品問題」は誰のため? / 224

そりゅ〜しょん展 – ものづくりと資源 –(2025年 8/15〜8/31)」に関連した特集記事です。

使える、けれど、捨てられる
2級品問題にわたしたちはどう向き合うか?

天然の素材を用い、手作業を主とする磁器の製造。こうした中で、釉薬をかける際の小さな気泡による窪み(ピンホール)や、原料に含まれる鉄分などが降りかかってできる黒点など、「規格外品(2級品)」として市場に出すことのできない製品ロスが発生することは避けられません。

しかしこれらは本当に「不良」なのでしょうか?使用には問題ないにも関わらず、ある一つの価値基準で「不良」とされたものは、果たして捨てられるべきなのでしょうか?

こうした問題の要因の一つに、「小売店の検品基準の厳格化」が挙げられます。224porcelain 代表・辻愉さんによると、2000年代から検品基準は厳しくなっており、今まではこのくらいだったら大丈夫と判断されていたものを納品しても、返品されてしまうケースも多いそうです。消費者からのクレームから、小売店側がクレームを未然に防ぐために検品基準が厳格化されてきました。もちろん価値基準は人それぞれですが、この2級品問題において「つたえて(小売店)・つかいて(消費者)」の存在は大きいように思います。辻さんは以下のように話します。

とは言っても、日本全体のやきものの検品基準を変える力は僕にはないので。産地として「えくぼとほくろ*」など、消費者に働きかける取り組みを行い、多くの方に知ってもらって、産地に足を運んでもらって一定の成果はあったけど、根本的な解決にはなっていなかった。そこをなんとかしていくために、コロナ禍をきっかけに2級品が出にくい土の開発に着手しました。

「えくぼとほくろ」から新陶土「晟土」へ。ものづくりと資源という課題の中で、224は224なりの答えを導き出そうと活動を続けています。

さて、私たちはどうでしょうか?有限な資源に対して、つくりてだけでなく、つかいてである我々自身も意識の変化が必要なのではと思います。

荻野

*えくぼとほくろ
「えくぼ」とはピンホールを、「ほくろ」とは生地や釉薬に含まれる鉄分により発生する黒点を指す隠語で、産地で使われている愛情のある言葉。肥前吉田焼では、こうした一般では規格外品として扱われるうつわたちを「えくぼとほくろ」と言い換え、丁寧に作られている製造工程をご覧いただき、規格外品といえども決してご使用いただく上で問題のない品であることをご理解いただける方に、各窯元にて直接ご購入いただける取り組みを実施しています。

廃棄を出さないために
課題解決に向けたつくりての挑戦

場所  うなぎの寝床 旧丸林本家
日程  2025年8月15日(金)〜8月31日(日)
店休  火、水 (祝日営業)
時間  11:00〜17:00
住所  福岡県八女市本町(モトマチ)267
電話  0943-22-3699
駐車場 あり

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