10%が不良。窯業界の課題に向き合う / 224
「そりゅ〜しょん展 – ものづくりと資源 –(2025年 8/15〜8/31)」に関連した特集記事です。
地球を壊しながらつくる代償
素材からデザインして課題解決を目指す
100個の納品で、110個つくらないといけない。10%が不良品なんて、製造業の中で異常なことだと思うんですよ。だけど、僕たち窯元の中では当たり前になってしまっている。
窯業界(特に白磁)では、テップンと呼ばれる黒い点や、釉薬の気泡による小さな穴(ピンホール)があいたものは検品基準を満たさない2級品とされ、技術を持った窯元であっても約10%の不良品が排出されていると、224porcelain代表の辻諭(つじさとし)さんは話します。
すでに世の中にいいやきものいっぱいあるのに、自分がつくる必要はあるのか?その意味を自問自答しています。山を削って、石を採って、窯焚きで二酸化炭素を排出する。客観的にみて、窯業は地球を壊しながらつくる仕事だと思います。その代償として何をつくるのか?考えないといけない。けれど、産地の現場を見ると、従業員を守るために、会社を維持するために、そんなことを言ってはいられない。そういう状態なんですよね。当たり前だけど、言うのは簡単で、やるのはすごく難しい。
そうした背景の中、辻さんは1年の歳月をかけてこの問題と向き合い、度重なる試験を重ねて、ついに課題解決に向けた陶土「晟土」を開発しました。
大きな発想の転換は、不良の原因となる「鉄粉」の捉え方。白い肌にポツンと一つあると違和感であっても、全体に広がれば質感となるという視点から、あらかじめ陶土に鉄粉を調合されています。素材という段階から対策することで、不良品率を10%から1%にまで抑えました。
《晟土の特徴》
●不良品率 10%→1%
不良の原因である鉄粉をむしろ表情とした質感。釉薬をかけないのでピンホールができない。●焼成時に排出する二酸化炭素量を40%削減
従来、磁器を焼くとき「素焼き+本焼き」が必要だが、晟土は本焼きのみ。焼成時間が減り、CO2排出量が減る。●一般の磁器に比べ1.5倍の強度
強化磁器がベース。ガシガシ使っても壊れにくい。
有限な資源と環境負荷、そして経済循環。私たちの生活が何の上に成り立っているのか。今ある当たり前を見つめ直し、次世代に向けて何を残すことができるのか。精成舎のプロダクトは、辻さんが今まで向き合い続けてきた思考が反映された大きな一歩のように思います。
「今後は開発した晟土を、224porcelainだけでなく、吉田焼の他の窯元でも使えないか、試行錯誤している」と話す辻さん。辻さんが実行する取り組みが、未来の肥前吉田焼に、ひいては人と資源の関係を見直すモデルケースとして動き始めています。
荻野
224porcelain 辻愉さん
場所 うなぎの寝床 旧丸林本家
日程 2025年8月15日(金)〜8月31日(日)
店休 火、水 (祝日営業)
時間 11:00〜17:00
住所 福岡県八女市本町(モトマチ)267
電話 0943-22-3699
駐車場 あり
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