【もんぺ博・文化祭まで18日!】海水淡水化を目指す化学ベンチャーが、なぜ化粧品を作る? / 九州ちくごの作り手④FILTOM

【もんぺ博・文化祭まで18日!】海水淡水化を目指す化学ベンチャーが、なぜ化粧品を作る? / 九州ちくごの作り手④FILTOM

福岡県北九州市の学術研究都市「ひびきの」の一角に研究室と本社を構える、株式会社FILTOM(フィルトム)は、ナノサイズの粒子を安定的に除去する、世界初のフィルター技術を有する化学ベンチャーです。

「PD膜分離法」と呼ばれるフィルター技術は、私たちの体内で一日200ℓもの血液を浄化している「腎臓」の機能をモデルに開発されたものです。

ナノレベルの小さな粒子を除去したり分離したりできる「PD膜分離法」には、さまざまな応用の可能性が秘められています。FILTOMは2014年3月に、地球環境問題のテーマでもある、「海水淡水化」を目指して設立された化学ベンチャーなのです。

・・・と、そんな一見「ものづくり」とは無縁そうな化学ベンチャーを、地域文化商社「うなぎの寝床」ではなぜ紹介しているのでしょうか・・・?FILTOM設立メンバーである尾池博士を改めて取材させてもらいました。

「科学」は人の役に立ってこそ。化粧品開発はそのプロセス。
FILTOM設立の種は、世界的にも著名な膜分離法の研究者、真鍋征一博士の研究から生まれました。ウィルス除去や下水処理など、多くの可能性を秘めた技術で、真鍋博士の呼びかけで研究者が集まり会社が立ち上がります。

しかし、あまりにも短期決戦型だったために研究資金を使い果たしてしまい、事業として成立しないまま会社は倒産してしまいます。

でもせっかくの研究実績やノウハウを無駄にしてはならない・・・と、研究メンバーだった尾池博士が2014年3月に株式会社FILTOMを立ち上げるのです。

次こそは長期的に膜分離の研究を続けられるように・・・と、尾池博士が考えたのは、人々に必要とされる商品を開発し販売をしながら、研究資金を調達するという方法。

さまざまな応用の呼びかけや提案があった中で、PD膜分離技術が最も生かせるのでは?と思われたのが「化粧品開発」、特にプラセンタ化粧品の可能性でした。

ちなみに「プラセンタ」とは、胎盤のこと。世の中にあるプラセンタ化粧品は「加熱処理」が原則で、大半の生理活性成分を失ってしまいますが、FILTOMのウィルスまで除去するフィルター技術によって、非加熱で胎盤組織液の生理活性成分をそのままの状態で採取することができます。

福岡県内の新鮮なブランド豚の胎盤が、毎週冷蔵便で直送され、すぐに1度以下の冷蔵状態のまま膜分離にかけられて高い鮮度のまま生プラセンタになるのだそうです。

私たちが日常的に顔や体につけている「スキンケア商品」ですが、科学的に肌でどういう現象が起こっているのか、説明できる人は少ないのではないでしょうか。

尾池博士も、男性なので化粧品については一から調べたそうですが、あまりにも科学的に不可解な説明や商品も多く、驚いたといいます。

PD膜分離技術によって生まれた、プラセンタや温泉水を使ったスキンケア商品は、改めて科学技術がどう人間の生活を改善できるのか?科学的にみて私たちの肌や健康、環境はどういう関わりがあるのか?という問いに立ち戻るきっかけになるのではないかと、感じます。

大量生産や工業化の波は、工芸やものづくりの世界だけなく、もちろん医薬品・化粧品の世界にも良い影響と悪い影響を及ぼしました。合成的に作られた物質のおかげで、私たちは安価で強力なスキンケア商品を手にしています。

しかし改めて自然に存在する物質や、私たちが生物として本来持っている機能を研究し、学んでいくことも、科学技術が発達した現代だからこそ必要なのかもしれません。

今回、FILTOMの尾池さんにきていただく、九州ちくごものづくり文化祭のワークショップでは、そんなスキンケアのものづくりの仕組みを、一から丁寧に解説していただきながら、一緒に化粧水作りを体験することができます。

◉「化学ベンチャーFILTOMのスキンケア講座と化粧水作り体験」
① 5月27日(日) 10:30-13:00 @旧寺崎邸
② 5月27日(日) 14:00-16:30 @旧寺崎邸
– 内容 スキンケア化学講座+化粧水作りワークショップ
– 参加費 3,000円(材料費込み) / 募集人数 最大15名
お申込み方法:
① WEBフォーム / https://bit.ly/2qHZfj8
② メール / u-info@unagino-nedoko.net
③ TEL / 0943-24-8021(旧寺崎邸)
企画:株式会社うなぎの寝床

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